自然哲学


philosophy of nature

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作成日 2003/3/30

哲学的原理に基づいて自然の包括的な考察や説明を目指す場合に、これを個別科学としての自然科学から区別して、自然哲学と呼ぶ。従って、自然哲学では自然を主観から切離して機械的に見る科学的自然観は斥けられ、自然はむしろ有機的・生命的存在とみられる。即ち、物活論ないし汎神論的自然観がその基調である。自然哲学の祖は、一切のもののアルケー(初め)を自然物の裡に求めたミレトス学派の物活観に見出される。しかし、そのアルケーは存在と生成という自己の両立し得ぬ二性質の区別には至っていない。この区別を超越神と自然との対立において捉えた中世の自然観を脱して、自然を神の現われとみるルネサンス期の汎神観は、上記の自然哲学を一歩進めたものである。しかしなお、主観に対する客観的な自然は概念的に自覚されておらず、その自覚に基づく最も体系的な自然哲学は、ドイツ・ロマン主義哲学において 初めて見出される。


現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より




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