量子力学


quantum mechanics

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作成日 2003/3/22

量子力学そのものの解説はしかるべき書物に譲るとして、その哲学的な意味合いの問題点を指摘してみることにしよう。

量子力学の対象は、素粒子という極微の世界である。しかも量子力学における運動方程式はニュートン力学と違って、確率的性格を帯びている。そこから決定論的自然観の及ばない隙間が生じるとともに、極微な素粒子の確率的振舞いと、素粒子によって構成されているはずであるにもかかわらず、原理的にはニュートン力学の決定論的性格を備えている巨視的な対象の振舞いとの間にある論理的ギャップはどう埋めるべきであろうか。

ニュートン以来、カントによって人間の思惟にアプリオリに与えられた因果性は、量子力学における不確定性(観測の限界)によってどのように破壊されているのだろうか。

こうした問題は、物理学の問題であると同時に、認識論的にも取り扱われるものであろう。


現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より




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