三段論法
syllogism
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作成日 2003/1/12
「形式論理学におけるもっとも典型的な演繹的推理。前提となる二つの判断(命題)から、その判断の形式だけにもとづいて結論となる第三の判断をみちびきだす推理。すなわち
1)すべてのMはPである(大前提)。
2)SはMである(小前提)。
3)だから、SはPである(結論)。
このように1、2、3ともに定言的判断である場合は、定言三段論法といい、この論法のもっとも基本的形式をなす。
上例で、Sを小概念または小名辞、Pを大概念または大名辞、Mを媒概念または中名辞という。Mの位置から、二つの前提でこれが主語になるか述語になるかによって4個の型が区別される。この型のことを<格>という。
両前提と結論とが、それぞれに全称肯定(記号をAとしている)、特称肯定(I)、全称否定(E)、特称否定(O)の組合せからつくられるとき、妥当なものとして24個のちがう組合せができ、これを<式>という。つまり24の式ができるのである。すなわち第1格では、AAA; EAE; AII; EIO; (AAI); (EAO), 第2格では、EAE; AEE; EIO; AOO; (EAO); (AEO), 第3格では、AAI; IAI; AII; EAO; OAO; EIO. 第4格は略。( )内のものは実際には不要。最初にあげた三段論法の例はAAA式である。
これらの格および式が妥当性をもつことを保障して、定言三段論法の真なる推理であることを保障するのが<三段論法の規則>である。この規則はまず、<全体に肯定、または否定されるものは、それに属するものについても肯定、または否定される>という公理をもとにし、三段論法は3個の概念と判断をふくみ、かつ3個にかぎること、媒概念はすくなくとも前提の一方において周延されなければならないこと、などが要請される。これらの規則のどれにそむいても正しい結論には達しえない。
なお、三段論法には上例にみる定言三段論法のほか、大前提・小前提ともに仮言的判断からなる<全仮言三段論法>、大前提だけが仮言的判断で、小前提は定言的判断からなる<半仮言三段論法>があり、また大前提に選言的判断をもち、その選言肢のどちらかを肯定または否定する定言的判断を小前提とするのは<選言三段論法>で、これには、1)小前提で大前提の選言肢のどちらかを否定して、結論で肯定をうる<否定的肯定式>、2)小前提で大前提の選言肢のどちらかを肯定して、結論で否定をうる<肯定的否定式>がある。」
哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より
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