生気論


vitalism

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作成日 2003/4/1

生命現象には、物質的な原理によって解明することのできない特有の原理が関与し、生命と物質とを截然と区別しようとする立場。機械論に対する。

このような考え方は、アリストテレスにすでにプシュケーという概念として現われるが、近代的自然科学の発展の過程のなかで、生気論的生命観は徐々に刈り取られて行った。例えば有機物と無機物との間に截然たる一線を引いたベルツェリウスの考えを弟子のヴェーラーが否定し、また現代では、生命体と見られるヴィールスのなかには、結晶として取り出せるものがあることなどは、生気論的発想への衝撃であったと思われる。

しかし、ウニの卵発生の実験などを根拠にして、機械論的に説明できない自律的な目的をもつ生命力としてのエンテレヒー(アリストテレスのエンテレケイア<完成態>に由来する)という概念を導入し、新生気論者と呼ばれるドリーシュの如き生物学者もあり、生命とは何か、という基本命題とも相まって、生気論は依然生物学の一つの 問題と言えよう。


現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より




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