自然主義


naturalism

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作成日 2003/3/30

哲学の用語では、観念論に対立する一元論として成立する。自然科学的な説明の範囲を超えた実在の存在を認めないという立場で、科学主義や唯物論に近い。しかし、唯物論が純粋に存在論的な地平にあるのに対し、自然主義は、現在では通常方法論的・機能的な発想に由来し、その点で、唯物論と混同されるべきでない。

倫理学の分野では、同じように、価値の問題は、事実についての言い立てと本質的に変わらず、自然界についての何ごとかの陳述以上の意味付けを価値判断に認めない、という立場を指す。良心の起源を、進化の概念で定式化する社会ダーウィニズムは、この例である。ゾラを始めとするいわゆる文学の自然主義も、こうした発想の展開と見ることができ、客観主義的な描写を基本とする科学的な技法を、 その主張の中心に据えている。


現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より




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