相対性理論


theory of relativity

戻る

作成日 2003/3/22

運動が本質的に相対的なものであり、運動、つまり位置の変化が、何らかの位置、あるいは系を特別なものとして指定しない限りは、定義されないことは、ガリレイによって、はっきりと把握されていた。したがってこの原理は、ガリレイの運動の相対性と呼ばれる。

これを、電磁現象、とりわけわれわれが最も確実な信号手段として用いる光に関する現象に対して拡張したのが、1905年にアインシュタインによって提起された相対性理論である。とくに、等速度で運動しあう系と系との間の電磁現象を取り扱う領域を特殊相対性理論、相互に加速度をもって運動する系同士の間のそれを扱う領域を一般相対性理論と呼んで区別する。

相対性理論の内容そのものには、ここでは立ち入らないが、それが哲学の分野に与えた問題のいくつかを拾ってみることにしよう。その最大の問題点は、やはり時間と空間との関係についてであろう。

ニュートンの絶対時間と絶対空間、およびそれを基盤としているカント流の時間・空間把握は、相対性理論の出現によって基本的な改変を要求された。その一つは、時間と空間の同質性、時間=空間を一体化させた四次元時空の概念の成立であり、第二には、相互に等速度運動をする二つの系があったとき、その速度が光速度に近くなればなるほど、一方の系から他の系を観測する場合の長さは、進行方向に短縮し、時間は遅れる、という問題である。しかもこの現象は、時空そのものの性質として考えなければならないもので、そこから、あの有名な、高速度で飛ぶ宇宙旅行者が浦島太郎になる、というパラドックスが生まれてくる。

また、一般相対性理論からの帰結によれば、四次元時空のもつ空間的関係は、ユークリッド幾何学の範囲で記述できるものではなく、ある曲率をもった非ユークリッド幾何学で始めて記述できるものと考えられる点である。もちろん、この言い方にはある留保が必要で、光や電磁波に関する物理法則を、通常のものと考えておく限りでそうなのであって、時空に普遍力を与えて、数学的操作を施せば、ユークリッド幾何学で表現できないことはないとも考えられる。

古典力学では、物体の質量は不変であり、それ自体絶対的な概念であるが、相対性理論の枠組みのなかでは、物体の運動エネルギーと質量との間には相関があり、この間は可換であると考えられる。

こうして、相対性理論は、時空と物質との関係の間に、エネルギーを媒介として新しい視野を拡げ、量子力学的なミクロの世界における問題とからんで、世界の新しい解釈を要求するのである。


現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より


上記の「その一つは、時間と空間の同質性、時間=空間を一体化させた四次元時空の概念の成立であり、」という部分であるが、私の時間論とは、だいぶ異なる。私の時間論では、時間と空間はセットになっておらず、時間とは、あくまでも「脳内における情報処理の手法」であり、空間だけが、脳外にも存在するということになる。また、上記の「第二には、相互に等速度運動をする二つの系があったとき、その速度が光速度に近くなればなるほど、一方の系から他の系を観測する場合の長さは、進行方向に短縮し、時間は遅れる、」という部分についてであるが、長さの短縮はうなずけるとして、私の時間論では、時間が遅れることを「ものの動きがのろくなる」ととらえる。脳外に「時間」はないのであるから。




ご意見ご感想等ありましたら下記へメールをください。
asanami@mxb.mesh.ne.jp


戻る