アキレスと亀


ゼロと無限小

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作成日 2002/3/30

「亀がアキレスより先にO地点を出発したとする。アキレスが追ってO地点を出発するころ、
亀はすでに先のA地点にいる。そのA地点にアキレスが到着するまでに、亀はさらに少し先の
B地点に着いている。アキレスがそのB地点に着くころには、亀の方はすでにC地点にいる。
このようにアキレスは亀に追いつかない」


参考文献 「数学迷宮」 小島寛之著  新評論


「アキレスと亀」のパラドックスについて、このようにいう人が多い。「そんなもの数学を 使えば簡単に解ける。無限回の追いかけをすれば、有限の時間で追いつく。かかった時間は 無限等比数列の和だ。」

しかし、彼らは明らかに間違っている。「アキレスと亀」を注意深く考えてみると、無限回 の追いかけをしても、アキレスは亀には追いつけないことが解る。なぜなら、厳密にいうと、 分子の項が無限小になってもゼロではないからだ。数学では、この場合、分子の項が無限小になるとゼロとして 片付けてしまうが、ゼノンはそれに待ったをかけている。ゼロではなく、無限小になるのだ。 私が思うに、数学ではこのパラドックスは解けないと思う。無限小を議論している時に、 無限小をゼロに近似してしまうのだからどうかしている。このパラドックスを解くには、 「位置としての点」そのものが、客観的実在ではなく、矛盾した「概念」であることに気付く 必要がある。有なのに無。無なのに有。それが「点」の「概念」だ。その「位置としての点」 が、主観的思考の世界においてアキレスを亀に追いつけなくさせる。それが主観外の世界でも、 そうだと錯覚するとパラドックスになるのである。




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