〜 本 の 紹 介 〜



参考文献


このホームページを作る上で参考にした書籍


新校本宮沢賢治全集
1〜16巻,別巻1
宮沢清六 他 筑摩書房 〜8200円
ISBN:略
 1995年から連続して発売された宮沢賢治の全作品を網羅した全集。その内容は短歌や詩, 童話,さらにはメモや書簡にまで及び、各巻ごとに「本文編」と「校異編」 に分かれている。また童話については完成形の他に初期形や推敲前の物まで含むなど、 賢治研究において現在最も資料的価値の高い全集である。 何故か16巻の上巻で刊行が中断の模様。

宮沢賢治必携 佐藤泰正(編) 學燈社 1750円
ISBN4-312-00509-9 C3395 P1750E
 複数の論者による賢治作品の評論に始まり、賢治を論ずる上で必要なキーワード (国柱会,友人,音楽等)の解説,さらに賢治の詩/童話の辞典等を214ページに 詰め込んだ書籍。極めて密度が高く、まさに「必携」と言えよう。
 とくに詩辞典と童話辞典は作品の成り立ちや他作品との関連,粗筋が整理されており、 賢治をグローバルな視点で読む上で欠かせない。

宮沢賢治論
−賢治作品をどう読むか−
岡屋昭雄 おうふう 3800円
ISBN4-273-02806-9 C1095 P3800E
 宮沢賢治の作品を、その制作の過程における賢治を取り巻く環境や心情とからめて解説する。 また、著者の小学校教師としての経験を元に、子供達が賢治の作品に対してどのような反応を示したか等、 学校教育の場における賢治作品についてまとめられているのが興味深い。

宮沢賢治 愛と信仰と実践 多田幸正 有精堂 2800円
ISBN4-640-30586-9 C3091 Y2800E
 この本は、宮沢賢治作品論ではなく、宮沢賢治という人物に関する論評を中心とする。 賢治作品に潜む慈愛や信仰を読みとり、賢治がそれをどのように社会的実践に移していったかについて論考する。 この本では、賢治の作品は主として賢治の生涯や宗教観を解く鍵として読まれている。

宮沢賢治 名作の旅(「国文学 解釈と鑑賞」別冊) 渡部芳紀 至文堂 2500円
ISBN:-
 生誕の地花巻を始め、賢治がその生涯で訪ねたあらゆる土地,及び作品に登場する土地を写真 (カラー,白黒)とともに紹介する。またその地に因んだ作品や架空の地名についても 簡単に紹介している。その土地は東北のみならず北海道から近畿にまで及んでおり、 賢治ファンが旅行する際には役に立つことだろう。なお、著者の渡部氏はホームページを 開設している。http://comet.tamacc.chuo-u.ac.jp/
(私の所有しているものは雑誌扱い(別冊)となっているが、後に単品で刊行された模様)

宮沢賢治の世界展 原子朗(総監修) 朝日新聞社 ?円
ISBN:-
 生誕百年記念として1995年〜1996年に各地で開催された同名展の図録である。 催し自体は岩手県花巻市の記念館にある物の展示のみで目新しい物は全くと言って良い程なかったが、 この図録には展示物の写真のみならず研究者や各界の人々の(松本零士まで!)評論が載っており、 読んでいて楽しい。(ただ、まとまりがない点は見受けられるが・・・) 入手困難か?

宮沢賢治 星の図誌 斉藤文一・藤井旭 平凡社 2900円
ISBN4-582-36702-X C0091 Y2900E
 賢治作品に数多く登場する星雲・星座名。この本は賢治童話(の部分)を紹介するとともに、 そこに登場する星雲や星座の美しい写真を載せ、解説したものである。 (写真は雑誌「天文ガイド」や新聞の天文コーナー等で活躍の藤井氏によるものである!)
 賢治作品を視覚的に楽しむ事ができる名著。同シリーズに「花の図誌」「宝石の図誌」等がある。

新宮澤賢治語彙辞典 原子朗 東京書籍 15000円
ISBN4-487-73149-6 C1591 Y15000E
 賢治作品に登場する地名・人名・動植物名・・・その他ありとあらゆる単語について解説。 「辞典」という形態をとっており、サイズも価格も大。しかしその価値はその価格をはるかに超えている。
 改めて原子朗氏の研究のレベルの高さを知った。

宮沢賢治論1〜3巻 恩田逸夫 東京書籍 各2800円
ISBN4-487-75171-3(2巻は75172-1,3巻は75173-X) C0395 P2800E
 1巻「人と芸術」,2巻「詩研究」,3巻「童話研究」の全3巻。
賢治研究家・恩田氏の長年に渡る研究成果(小論文)をまとめたもの。 童話の解説のみならず、時代背景と賢治を取り巻く環境,造語解説,接続助詞等その研究は多岐に渡っている。 (個人的には3巻の「どんぐりと山猫」の解説に興味を引かれた。)
 「賢治作品はみな読んだ。更に深く作品世界を知りたい」という方向き。あまり一般的でないためか、
私の家の近所の図書館では発行以来20年間で借りた人は5人にも満たない。(^_^;)
また、入手困難で古書店によってはプレミアがついていることもある。

伯父は賢治 宮沢淳郎 八重岳書房 1200円
ISBN4-89646-116-9 C0095 Y1200E
 書籍名の通り、賢治の甥(ただし賢治の死後に生まれているため直接会ってはいない)による本。
 いわゆる「賢治論」ではなく、前半は父(賢治の義弟)や母(賢治の妹・クニ)から聞いたエピソードが中心である。
 後半は筆者自宅から発見されたトシ(賢治の妹)の手記を掲載している。 「賢治を支え、良き理解者であった」とされるトシが、女学校時代に教師と恋に落ち、失恋した際に書いたものらしい。 さらに信仰についても書かれており、兄である賢治と相似している部分も見られる。(故に「良き理解者」でありえたのか?)
 ともすれば聖人のように思われがちなトシの意外な一面を見ることができる。



おすすめ


とくに参考にはしていませんが、私のおすすめの本です。


NHK人間大学
宮沢賢治<宇宙羊水>への旅
畑山博 日本放送出版協会 550円
ISBN:-
 1996年4月〜6月放送のNHKの同名番組のテキスト。この番組では、 畑山氏は賢治作品を整理するために幻想世界「イーハトーヴ」の歴史を仮定し、 それを神話時代,失楽園の時代,文化の堕落時代,ルネッサンスの時代,死を越えた再生の時代と分けている。 そして各時代に賢治の作品を当てはめることで各作品の位置づけを明確にしようと試みている。
 個性的ではあるが、賢治の童話群を整理する上で解りやすい手法と言える。入手困難?

宮沢賢治幻想辞典 全創作鑑賞 畑山博 六興出版 3000円
ISBN4-8453-7174-X C0095 P3000E
 恐らく上の「宮沢賢治<宇宙羊水>への旅」のもとになったと思われる書籍。「イーハトーヴ」の歴史を仮定し ている点は同じだが、ここではさらに各作品について突っ込んだ考察を行っている。賢治世界の宇宙観については 私もほぼ畑山氏と同じ考えを持っており、この本を初めて読んだときには驚いた。(もちろん、感じ方は人により 異なるので「?」と思う箇所もあることにはあるが・・・)

講談社現代新書
宮沢賢治 修羅に生きる
青江舜二郎 講談社 650円
ISBN4-06-115740-X C0295 P650E(8)
 賢治をとりまく家庭環境や当時の時勢から、賢治の影の部分にも目を向けて書かれた賢治の生涯の解説書。 既存の(美化・聖化された)資料を参考にすることなく、著者独自の取材に基づいて「一歩引いた視点から」 冷静に賢治を見つめ直している。
 法華経団体の国柱会への参加を「若気のいたり」と書くなど、賢治の良い部分(の情報)にだけ目を 向けてきた人には少し厳しい内容か。

おもしろくてやくにたつ 子どもの伝記6
宮沢賢治
西本鶏介 ポプラ社 880円
ISBN4-591-05757-7 C8023 Y880E
 ポプラ社の子供向けの伝記シリーズの一冊。作品紹介は最低限(数作品の冒頭部分のみ)にとどめ、 賢治の一生を読みやすくまとめてある。保坂嘉内との確執に触れられていないのは少し物足りないが、 通常の研究書等では知ることのできない幼少時の出来事などにも触れられており、賢治という「人」を 知るのに最適な本かも知れない。
 ちなみに、同シリーズには野口英世,マザー・テレサ,ライト兄弟等があり、今後も続巻予定である。

KENJI WORLD 賢治ワールド 結城美栄子 平凡社 2800円
ISBN4-582-36706-2 C0072 P2800E
 女優/陶芸作家の結城美栄子の手による、「焼物」を用いた賢治童話の3次元界への投影。 賢治の童話をモチーフにした陶芸作品写真集であるが、童話の一部を抜粋し、臨場感溢れる作りになっている。 (掲載順が童話と合わなかったり、物語の全体像が解らない等、賢治の童話を知らない人にはつらい内容だが・・・)

宮沢賢治の「夜」 宮沢賢治・畑沢基由 新潮社 1800円
ISBN4-10-602410-1 C0393 P1800E
 新潮社の写真集「フォト・ミュゼ」シリーズの一冊。賢治の童話と写真家・畑沢氏の写真で構成される。 畑山氏の写真は一見CGか多重露光にも見えるが、実は夜の風景に数色の光を組み合わせて撮影しただけの物である。 雪原に浮かび上がる光る足跡や茅葺き農家,鮮やかな蛍のような光など、幻想的な風景が賢治の童話とマッチしている。

イーハトヴ詩画集 雲の信号 宮沢賢治・黒井健 偕成社 3000円
ISBN4-03-016230-4 C0071 P300E
 新潟市出身の画家黒井氏の色鉛筆画と賢治の詩の組み合わせによる、詩画集。 色鉛筆画とは思えない柔らかい雲や山々の絵が賢治の素朴な詩の雰囲気を再現している。 黒井氏は空や川を描いた画集の他、「手袋を買いに」等の絵本,幼児向けのイラストでも活躍している。
(私事ながら、新潟市のサイン会でサイン戴いたときは最高に嬉しかったです。)
同じ作者2人による「私のイーハトヴ」もおすすめ。

賢治先生 長野まゆみ 河出書房新社 980円
ISBN4-309-01015-6 C0093 P980E
 「少年アリス」著者の長野女史の小説(?)。汽車で旅をする賢治先生の前に現れた少年、カンパネッラ。 そして少女ジョヴァンナ。まるで賢治自身が銀河鉄道に乗っているかのような不思議な雰囲気の作品である。
 (文章では上手く説明できないのでとりあえず読んでみて下さい。(^_^;))

楽しい鉱物図鑑 堀秀道 草思社 3900円
ISBN4-7942-0483-3 C0644 P3900E
 202種類の鉱物をカラー写真により紹介した図鑑。賢治作品には直接関係ないが、 「楢ノ木大学士の野宿」に代表されるように、賢治の作品には鉱物の登場する物が数多くある。 それらの鉱物を知らずして賢治の作品を読むのは不可能、とまでは言わないが、鉱物を知る事で より一層イメージが湧くというもの。さまざまな原石は美しく、見ているだけでも楽しい。

楽しい鉱物図鑑2 堀秀道 草思社 3700円
ISBN4-7942-0753-0 C0644 Y3700E
 鉱物図鑑の続編。前巻より少し地味だが、前巻に収録された鉱物のバリエーションを掲載する など、さらに深く掘り下げている。まえがきにあるように、2冊合わせて「持ち歩く鉱物博物館」 として使うことを意図して編集されている。




その他(CD,CD−ROM,映像作品他)


使用権フリー作品集シリーズ2 宮沢賢治全詩集
(CD−ROM for Mac/Win)
宮沢賢治他 マイクロテクノロジー(株) 7800円
 宮沢賢治の詩集をCD−ROM化。エキスパンドブック(写真や解説つき)の他,WORDや一太郎,テキスト形式で収録。 MIDIデータや多数の写真も収録し、ひょっとしたらこれだけで賢治のWEBページが作れるかも知れない。 (それはこのCD−DOMの編集者の意図に反する行為ではあるが)
 ちなみにシリーズ1は賢治童話集。他に太宰治作品集もあり。

銀河鉄道の夜 探検ブック
(CD−ROM for Mac/Win)
畑山博他 (株)IMAGICA 5800円
 以前NHKの人間大学を担当された畑山氏の同名の著書(文藝春秋 刊)をベースに作成された。 畑山氏らしい独自の切り口から銀河鉄道の世界(機関車の動力源(!)や登場人物の生活等)を推理する。
 本が元となっているためかCD−ROMという媒体にしてはビジュアル面が少し弱い気がするが、 非常におもしろく、購入の価値のある1枚。

Kenji 引き継がれる人の心
(CD−ROM for Win)
CANDYBOX/JTBモチベーションズ メガソフト(株) 9800円
 賢治の作品だけでなく、その活動や年表,影響を与えた人物,ゆかりの地を紹介した総合的なCD−ROM。 あらゆる情報が濃縮されており,賢治という人間を知る上で最も適したCD−ROMと言える(私感)。ミニゲームもあり。



戻る