第7回・PowerランプのBlueLED化


今回は、外部からみた本体の印象を大きく変える改造を行う。
だれもが、今までとは違う98を再発見する事だろう。ひょっとしたら、98の新たなる可能性に気づくかもしれない。
ちょっと大袈裟に書いたが、掛け値なしにそう思うかもしれないくらい、本体の印象はがらりと変わる。(※1)

で、これが現物のBlueLED(※2)である。


色が青っぽくないのは、まあしょうがない。かなり輝度が高い物を使用したからで、白飛びしてしまっているのだ。
1500mcdくらいの物なのだが、目で直接見れないくらい明るく感じる。元から明るい色であるためでもあるが。
しかしながら、本体にあるくもりプラスチックを通せば結構いい感じになるので、こんなものだろう。

そして、これがオリジナルで搭載されているLEDコネクタである。

本体に刺さっているコネクタは一般的な5V電源に使われているコネクタである。
このコネクタからは、4本の線がのびており、電源LEDとアクセスLEDが直結されている。
今回の改造では、ここをすっぽり変えてしまおうという魂胆だ。
5Vのコネクタは比較的簡単に手に入るはずだ。最近では、電源分岐ケーブル(200円くらい)などを買うと、
おまけのように5Vコネクタ(※3)がついてくるので、これを使用する事にする。
そして、そのケーブルの先にオリジナルのようにLEDを直結してしまってもいいのだが、LEDは熱に弱い。
半田ごてを扱いなれていない人や、汚くなってしまう、熱収縮チューブが無いなんてこともおおいだろうし、他の色に交換
したいなんて時に、簡単に交換できるようにしてしまおう。
反対側には、大きいコネクタを用意するのだ。今回は9ピンのコネクタを用意した。(9ピンコネクタ以外では、幅が足りない)
この9ピンコネクタと5ピンコネクタを直結してしまい、9ピンコネクタ側に直接LEDをさしてしまう。
これが現物。

なお、LEDには極性が存在する(※4)ので、+と−を間違えてしまうと光らない。
その場合には反対側にさし直してもらいたい。方向があっていれば、きちんと光るはずだ(※5)
しばらくその状態で加熱していない事などを確認して、大丈夫なようなら改造は終了である。

なお、IDE98を搭載したとき、HDDのアクセスランプが光らなくなるのは前回説明したが、光らせる方法が改造している人たち
から報告されている。
IDEでは、アクセスランプ情報を39番ピンで供給している。そこで、39番ピンと40番ピンであるGND(※6)のみを残したIDE
ケーブルを用意する(その他の線は全部カットしてしまう)。このコネクタを本体のIDEコネクタに指してしまい、もう反対を
IDE98のコネクタに強引にはんだ付けしてしまう。
これにより本体のアクセスランプを光らせる事が出来る。直接IDE98から39番のみを持ってきてLEDをつけてもいいのだが、
その場合には、間にトランジスタなどをかまして、LEDのドライブ回路を用意しなければならない。
そのままでは、IDE98にダメージが加わる可能性があるためである。

ちなみに、これが接続した状態である。



ところで、今回は青を使用したが、もちろん緑色でもかまわない。緑色なんか珍しくも無いと思われるかもしれない。
標準で搭載されているLEDも緑色ではないかと。だが、よーくみてもらいたい。
本体のLEDは緑色だろうか?  ・・・多分違うと思われるはずだ。
そう、黄緑色なのである。
最近緑色のLEDも開発されている。はっきり言って、緑色のLEDもかなりきれいである。
機会があればこのLEDにも交換してもらいたい。今回のアタッチメントならば簡単に交換できるはずだ。
その時には、きちんと使用するLEDの使用電圧のチェックなどを行ってからだが。

では、今回はこの辺で。




※1
写真を貼ろうと思ったが、ちょっと暗いところで撮影したらまったく映らなかった。うぬぅ。
はっきり言って、CCDの画素数よりもそれ自体の性能が大きいであろう。
CCDとは結合電荷素子というもので、ようはすごく小さいコンデンサが並んでいるような物だ。
コンデンサは電荷をためる物(ためるといっても微々たる物である。電子の数レベルでためているような物で、
バッテリーのように大電流をためられるわけではないが、非常にコンパクトに出来る。最近では、スーパーキャパシタ
と呼ばれる、結構ためられる物も出来ているが、所詮SRAMを2,3日生かしておくくらいの電流しかためられない。
コンデンサは高電圧をかけると割れたり、物によっては大爆発したりするので、注意されたい。
余談だが、近年台湾のマザーボード制作工場などで、電解コンデンサよりも安いタンタルコンデンサを使用している、
工場があったそうなのだが、このタンタルコンデンサ、組み立てている最中によく爆発するらしく、工場のおばちゃん
たちが、嫌がっているとか)
で、普通は密閉されているのだが、CCDでは反対側に光が当たるようになっている。
光が当たった部分には、光電効果が発生(光がぶつかる事によって、電子がたたき出されて、電荷が発生する状態。
それまでは、+と−がバランスよく収まっているので、電荷的には0)
し、電荷を持つ。あとは、この電荷を縦方向に
スキャン(シフトさせていき、端から順番に出す)し、電気信号に変換するのだ。縦方向に順番に読んでいくので、
途中に強い光が当たってしまうと、そのライン全体が反応してしまう。これは、スミアと呼ばれている。よく、夜の映像で
街灯などに縦に強い光の柱が立つあれである。
あと、CCDでは、光が当たっていない部分である暗部にノイズがのりやすい。通常ではキャンセラにより、目立たないが
(もっとも、CCD自体の性能向上により最近ではのりにくいが)、暗視カメラの映像などで、粒子が遊んでいる部分が
よく見られると思う。あれ。
なお、CCD自体には色を識別する力はない。その手前で、各色別(加法混法なので、RGB(赤緑青)の3原色)にわける
必要がある。
それぞれ別のCCDに分けてしまう3板式と、ライン別にフィルタなどで赤青緑の順番に当たるようにして、そのラインのデータは何色と
判別する単板式に分けられる。
この別々のCCDに色を分けるには、昔はプリズムを使用していたのだが、現在ではダイクロイックミラーが使用されている。
これはいわゆる光のフィルターを実現するような物である。
簡単に言えば、虹の色の真ん中だけを通したり、赤から緑だけを通したり、逆に緑から紫までをとおしたり、などという
フィルターである。もちろんミラーというだけあって、通さない光は反射する。


※2
LEDはライトエミッティングダイオードというものである。言い方はえるいーでぃーで、最近ではレッドなどと呼ぶ人
もいるようだ。
これは一般的なランプとは違い、半永久的に光りつづける代物である。電子の移動により、その原子構造がだんだんと壊れて
光らなくなっていくが、現在出荷されている物は実用時間で数万時間分の性能を持っているはずなので、まず問題ない。
一般的なランプでは、フィラメントタイプである、不活性ガスとフィラメントの組み合わせで光らせるもの、と、キセノンなどの
ガスと放電電極で光らせる放電タイプなどである。それにたいして、LEDではまったく違う原理で発光させている。
原理を簡単に言うと、電子を高エネルギー状態に導くが、その状態には長くとどまっていられないので、電子はエネルギーの
低い状態に落ちる。このとき、持っていたエネルギーを光として放出する。 この光の波長(色と思ってもらえばよい)は持っていたエネルギーによるので、エネルギーを導く原子構造できまってしまう。
そのため、LEDはそれ自体が様々な色を出す。のだが、その色の波長を出すだけのエネルギーを持たせるための、原子接合(半導体を
2種類組み合わせて、その間にエネルギーの差を生み出すため)
が非常に難しく、まず材料探しから始めなくてはならないため、
新しい色(だいたい高エネルギーな色)がなかなか出てこない。


※3
HDDなどのでかいコネクタの分岐用に買ったのだが、おまけのように5Vのラインも1つついてきてくれた。
しかも配線もついてきているので、今回の改造用にあつらえてくれたような物だ。
舶来マシンさまさまである。
このコネクタを買ってきて、その先にコネクタを取り付ければもう完成である。
なお、余った部品はHDDの電源分岐ケーブルとしても使用可能である(笑)


※4
LEDもダイオードの一種なので、極性を持つ。ダイオードとは、一方向にしか電流を流さない素子の事である。
半導体には、電子が電流の運び役であるn型半導体と、正孔が電流の運び役であるp型半導体の2種類を主に用いる。
この2種類を接合する事により、電子と正孔を結び付ける方向の電流のみ流す事が出来る(文字で説明するのは難しいので
興味がある人は関連書籍をみてみるべし)

あまり電圧をかけると、絶縁が破壊されて壊れてしまうので注意されたし。
LEDでは、中央の配線部分が変色して焦げてしまい、光らなくなる。


※5
一般的なダイオードは3V、20mAくらいなので、これよりも電流が大きかったり、電圧が小さかったりする物を使用
してはいけない。LEDだけでなく、本体の回路を破壊してしまうかもしれないからだ。
ここで使用したLEDは3.5V20mAのものである。これより電圧が高い物では光らないかもしれない。


※6
もっとも、GNDはあちこちで接続されているので、39番のみの接続でもかまわない。



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