Boorin's All Works On Sacra-BBS

「攻撃的アイリス」



「まさか、これ程のものとは!」
蒸気演算機のコンソールからの光に
端正な顔が驚愕にゆがむのが照らされた。

大神一郎にはかねてから一つの疑問があった。
花組最強の霊力を持つと言われるアイリスの
必殺技を攻撃用にしたら一体どれほどの効果を
発揮するのかと言うことである。
といっても強敵と戦うときにアイリスの回復技は、
欠かせないものであり、今の花組の戦法は
十分バランスが取れていると大神は考えている。
しかし、大神とて軍人、しかも士官学校を首席で
出るくらいの男であるからそういう興味を持つのも
致し方ないと言えよう。

武蔵突入直前、少しの空き時間を利用して
蒸気演算機中のアイリスのデータの
必殺技部分を攻撃型に変更した。そして先の災厄で花組を
最後になって大いに苦しめた強敵悪魔王サタンを
相手に選び、自分の五感をリンクして大神は
仮想戦闘を行わせた。

アイリスの通常攻撃はやはり軽い。サタンにはほとんどダメージを
与えることは出来ない。いよいよ、業を煮やしたアイリスが必殺技を放つ。

「ピンチだパーンチョ、ハウスだキィック。おいでっ、えへへ。
イリス・グラン・ジャン・ポール牧〜っ。」

その瞬間、視界が暗転し全ての音は消え去った。
そして・・・。
背後から

パチンパチンパチンパチンパチンパチンパチン

と音が近づいてくる。振り向くとそこにはポール牧がっ。
「ひっ」
恐怖に駆られて顔を背けると
「パンチョです。」パンチョ伊藤が立っている。
「うわぁっ」
反対側に顔を背けると
「でゅひゃひゃひゃひゃひゃぁ、ぐぇえっ、ピー!、うげげげげ、
かっがっやっでぇーす。」ハウス加賀谷がっ。
「うぉおっ」
またも顔をそむける。
ガスッ松本キックのシュートな蹴りが脳天に炸裂。
「ぐわっ」
パチン
「パンチョです。」
「でゅひゃひゃひゃひゃひゃぁ、ぐぇえっ、ピー!、うげげげげ、
かっがっやっでぇーす。」
ガスッ
パチン
「パンチョです。」
「でゅひゃひゃひゃひゃひゃぁ、ぐぇえっ、ピー!、うげげげげ、
かっがっやっでぇーす。」
ガスッ

そして、悪魔王サタンの核は崩壊した。
崩壊の直前にリンクを切ったために大神の精神は
危うく崩壊を免れたのだった。

「こ、怖かったぁ。封印しよう。
これでは敵といえども余りにも可哀想過ぎる。」
大神は、今回のシュミレートに関する一切の痕跡を演算機から
消去し部屋を出た。
・・・二つの目がその一部始終を見つめていたのに気が付かずに。

「えへへ〜、アイリス見ちゃったもんねぇ〜。今度ためしてみようっと。」

********************************************************************

京極慶吾、彼は自分を待ち受ける哀しい運命をまだ知らない。

#またもクズネタです。しかも長文。ごめんなさい。
#アイリスファンの方、京極ファンの方、寛大な心で許して下さい。


(了)

Back