Boorin's All Works On Sacra-BBS

「星降る夜の豪快一郎」



千の星が降る夜。

それは獅子座流星群の夜。
天に咲く花火のように流れる星のかけら。
降り注ぐ星の中にレニとアイリスはいた。
圧倒的な光の競演にただ立ちつくす二人。

隊長と一緒に見たかった。
そんな思いに沈むレニであった。

「うわぁ、こんだけも星が流れたらどれにお願いしていいかわからないねぇ。」
「うん。」

「はっはっはっ、小さいっ、小さいぞっ。レニっ、アイリスっ。」

闇を裂くバカ声に振り向くと、そこには豪快やな雄一が立っていた。

「加山のお兄ちゃん。」
「・・・・・。」


「男なら一つなんて、ちまちましたこと言うなっ。全部の星に願掛けするんだっ。
一郎ならそう言うだろうっ!」

「男じゃないんだけど。」

「そんなことはどうでもいいっ。とにかく願掛けだっ!」

「でも、あんなにはやいの全部におねがいできないよぉ。」

「そんな必要はないっ。全部まとめて一回大声で願えばいいっ!それが豪快という事だっ!行けっ、どおぉぉぉおんとなっ!」


なんだか訳の分からない迫力に押されて二人は願い事を叫ぶ。

「お兄ちゃんに」
「隊長に」

「「会いたいっ!」」

その時。


「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜んっ!お待たせっ!」


「た、隊長!」
「お兄ちゃんっ!」


「はっはっはっ、呼んだか?レニ、アイリス。」


「何、夜鷹?一郎、お前いつから宮沢の賢ちゃんになった?」


「はっはっはっ、甘いな雄一っ!それはヨーダだ。」


「なるほど、そうかっ。フォースだなっ。やるな一郎っ!」


「はっはっはっ、それはそうとレニ、アイリスっ。何か用か?」

「い、いや用と言うほどのことは。」

「何だ、そうなのかっ。まあいいっ。折角来たんだ。俺達があの流れ星に負けない花火を見せてやるぞっ。行くぞ雄一っ!」


「おうっ!」

またもや二人は辺り一帯を意味もなく走り回った後、豪快やな雄一が豪快一郎を肩車した。



「ファイトぉっ!」
「いっぱぁぁぁっつ!」



その瞬間、異様な迫力が二人の身体から放射され、豪快一郎は天高く舞い上がった。



「狼虎滅却・天狼転化っ!」



空に大きく白く輝く狼が描き出される。


「見たかっ?これが豪快という事だっ!」


ある晩秋の日。
獅子座流星群の夜のことだった。

(了)

#元々はかけそばさんのSSに対するレスです。
#無断転載、ご容赦下さい。


(了)

Back