どこからか佳い香りが漂ってくる。 これは、薔薇・・・薔薇の香りだ。 帝劇地下、薔薇組の居室では真夜中のお茶会が開かれていた。 ただし、ただのお茶会ではない。薔薇組を名乗る三人組の 定例報告会である。 そして、秘密会議の席ではお茶はローズティーと決まっていた。 清流院琴音、太田斧彦、丘菊之丞。 彼らは秘密部隊「薔薇組」であるほかに もう一つ別の顔を持っていた。 「さて、今月のあの御方について報告してもらいましょうか。」 分家衆筆頭、薔薇組隊長の琴音が第一声を発する。 「はい、では私から。今月のお屋形様は相変わらずお忙しく雑用されました。 いつものように、売店でブロマイドを買って、いつものように 花組さんのお風呂を覗かれました。」 「あらぁ、羨ましいわねぇ。覗くんなら、あたしにして欲しかったわ。」 「斧彦、不謹慎ですよ。あの御方の覗きは立派なお仕事です。 茶化してはいけません。まあ、気持ちは分かりますけどね。」 「はぁい。では、次はあたしから。いちろ・・・いえ、お屋形様は 今月の戦闘でも、風林火山を使い分けあっと言う間に片づけたわよ。 しかも退却ゼロ。」 「流石はお屋形様。着実に目覚めは近づいていると言えますね。二人とも ご苦労様でした。 では、今後のわたしたちの方針についてアンケートを採りましょう。」 「「と言うと?」」 「つまり、お屋形の御正室はどの方が良いと思うかということですよ。 それによってわたし達の動き方も変わってきますからね。」 「「・・・」」 「何を黙っているの?二人とも。」 「「だって・・・。」」 「私情は抑えなさい。私たち犬神御三家は大神宗家を補弼し、ひとたび宗家に 事あれば宗家を次ぐ血筋なのですよ。お屋形様には大神の血筋を残し、 より強くしていただかねばなりません。そのためには霊力を持った花組の みなさんの血が必要なのですよ。」 「分かりました。では、私はさくらさんがいいと思います。」 「あたしもぉ。」 「・・・そうですね。裏御三家最後の直系の血が大神の家に入れば、 大神宗家の力は飛躍的に増しますね。いいでしょう。わたし達薔薇組は 全員一致でさくらさんをサポートすることにします。」 「「・・・」」 「・・・私だって辛いのよ。でもね・・・(^一^)。 お世継ぎが生まれてお屋形様が目覚められたら、 お屋形様は私たちのものよ。」 「「!」」 ぴんっ、ぴろりろりろりろりろりろりぃ〜ん×3 その時、もぎりの青年の背筋を強烈な悪寒が走った。 「あれぇ、風邪でも引いたかな。」 大神一郎、彼はまだ自分の真の出自も待ち受ける未来も知らなかった。 #また、クズネタです。「よき、こと、きく」は犬神家、 #犬神は大神ダッシュだから1回積分すると大神になるということから #薔薇組(犬神御三家)は大神家の分家という設定にしました。 #全国の薔薇組ファン、大神ファンのみなさん寛大な心で許して下さい。 |