Boorin's All Works On Sacra-BBS

「日記」


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5月○日

 日本に到着。
 帝国華撃団花組に配属。
 初戦闘、問題なし。黒鬼会、金剛、木喰。
 ザウアークラウト、マッシュポテト、ソーセージ。
5月×日

 戦闘、黒鬼会、木喰。
 問題なく勝利。
 米田長官狙撃により重傷。
 花組は混乱。
 ザウアークラウト、マッシュポテト、ソーセージ。

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6月○日

 舞台稽古。
 桐島カンナ復帰。
 リア王を喜劇に。
 ザウアークラウト、マッシュポテト、ソーセージ。
6月×日

 戦闘。
 黒鬼会土蜘蛛。
 神崎すみれ復帰。
 藤枝副司令着任。
 米田長官は快方に向かう。
 ザウアークラウト、マッシュポテト、ソーセージ。

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7月○日

 李紅蘭復帰。
 戦闘、黒鬼会火車。
 マリア・タチバナ復帰。
 ザウアークラウト、マッシュポテト、ソーセージ。

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8月○日

 夏期休暇、温泉旅行。
 旅行中、戦闘。黒鬼会水狐、金剛。
 敵方連携悪く非効率的。
 なんら問題なし。
 食欲不振。原因不明。
 ミルク、サラダ。

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9月○日

 精神状態不安定。原因不明。
 食欲不振、ミルク。
9月×日

 「青い鳥」稽古。
 混乱している。
 脚本、参考文献も読破。
 役の分析も完璧に行った。
 にもかかわらず役が降りてこない。
 今までこのような事はなかった。

 隊長がカウンセリングに訪ねてきた。
 「何のために戦っているのか?」と質問。
 自分でも何故そんな質問をしたか分からない。
 そして隊長の答えには納得できない。
 後刻、アイリスと隊長が訪れ、アイリスから花輪を贈られた。
 トモダチだからという。
 もらったとき、体温、脈拍が上昇。
 トモダチという人間関係は構成したことがない。
 おそらく未知の体験に対する反応だろう。
 だが不快ではない。

 こんな長い日記は初めてだ。
 ショ糖を入れたホットミルク。
9月△日

 昨日の記憶は断続的。
 影山サキ、水狐の術に陥ちコントロールを奪われた模様。

 花組との戦闘中隊長が話しかけてきたのは覚えている。
 攻撃しても隊長は決して攻撃しなかった。
 仲間だからと言う。
 仲間という人間関係も構成したことがない。
 精神の動揺。
 アイリスの花輪。
 隊長の言葉。

「大切な人を守るために戦う」

 隊長はボクを「大切な仲間」と認識しているらしい。
 彼の言う大切が何か、仲間が何かはまだ理解できない。
 だけどコントロールが解けたのは事実。
 その際に精神の高揚があったことも事実。
 あるいは自分の心の中にもそのような概念があるということかもしれない。

 その後水狐との戦闘で隊長の霊力との共鳴現象。
 この霊力共鳴はかなり大きな破壊力を持つようだ。
 隊長に助けて貰って「嬉しい」と感じたことと関係があるのかも知れない。

 戦闘は勝利。水狐死亡。
 彼女の死は「仲間」の問題と関係があるのだろうか。

 トースト、ミルク、サラダ。

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10月○日

 戦闘。
 火車爆死。
 織姫は父親と和解し隊長に対する態度が急変した。
 彼女にも同じ現象が起こったのか。
 隊長は何者だろう?

 ライス、ミソスープ、野菜の煮物。

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11月○日

 太正維新軍蜂起。
 帝劇も一時制圧。
 新型霊子甲冑の投入で撃退。

 黒鬼会との最終決戦。
 赤坂にて戦闘。
 黒鬼会幹部を掃討。
 京極慶吾自殺。

 花組のみんなとナベ。

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12月○日

 クリスマス公演「奇跡の鐘」
 主演に選ばれる。
 選ばれたことが「嬉しい」と感じたのは初めてだ。
 隊長が選んだからなのか。
 全力で期待に応えよう。
12月24日

 公演は成功。
 自分自身の充足度は過去最高。
 何が特別だったのか。
 公演終了後、花組のみんなが誕生日を祝ってくれた。
 これも初めての体験。
 胸部体温上昇、精神高揚。
 この感覚が「仲間」の感覚なのかも知れない。

 隊長と教会へ。
 非常にリラックスした状態。
 隊長といるということが心地よい。
 神様がボクたちの上に降りてきた夜。

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1月○日

 隊長と二人だけの初詣。
 その後戦闘。降魔兵器。
 鬼王、金剛、土蜘蛛、京極は生存。
 そして「武蔵」復活。
 過酷な戦闘になりそうだ。

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2月○日

 日記も久しぶりだ。
 全てが終わった。
 帝撃での数ヶ月で自分自身の心の在り様はずいぶんと変わった。
 仲間を信じること、決してあきらめないこと、死にたくないと言う気持ち。
 そして隊長への気持ち。
 それがどういうものなのかは実はよく分からない。
 だけど自分の心が隊長を求めているのだけは分かる。
 隊長は色んな事を教えてくれた。
 隊長は自分にとって「大切な人」だ。

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3月○日

 春公演終了。
 隊長とお祭りへ。
 かえでさんに浴衣を選んで貰う。
 浴衣に袖を通して隊長と歩く。
 胸の中に温かくて湿っぽい固まりがある。
 この気持ちは「嬉しい」と「哀しい」のどちらにも似ている。
 これはどういうものなのか。
 それはこれから確認していくことになるだろう。
 隊長と一緒に。

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4月1日

 隊長が中尉昇進。
 同時にフランス留学が決定。
 初めて別離の辛さを知る。
4月8日

 隊長を見送り。
 手紙を読んでくれただろうか。
 今夜は眠れないだろう。
4月△日

 アイリスと散歩。
 ボクのことを心配してくれているようだ。
 自分も辛いだろうに。

 散歩の途中アイリスが名残雪の隙間から顔を出す花を見つけた。
 アイリスに花の名前を聞かれたのでこう答えた。

「オオミスミ草、キンポウゲ科。別名『雪割草』…春を告げる花だよ」

 そう。隊長に出逢ってボクはこんな風に花を説明できるようになった。


(了)


#一応、レニ誕生日記念のSSです。
#実はこのお話、大元のアイディアの部分でみおさんがご自分のHPに載せられたものとかぶってしまっています。
#言い訳させていただけるのならあくまでも偶然です。
#そして実はみおさんの方が切り口が鮮やかです。
#みおさんのお許しも頂いたのでこうやって載せさせていただきます。


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