Boorin's All Works On Sacra-BBS

「米田の夢」



何も見えない。
体を動かすこともままならない。
自分の心音だけが、異様に大きく響く。
闇の中にぼんやりと青い光が灯った。
光の中心には、岩に鎖で縛り付けられた少年の姿。

「瞬・・・」

弟、ある時は敵対し、ある時は共に神話の時代から続く戦いを 戦った最愛の弟。
次々と灯る光。その中心にはかつて共に戦った友達の姿。

「オレもようやくそっちへ行くことになりそうだ。」

それらの光は一度、二度瞬き、消えた。

今度は、別の光が灯る。
三つの光だ。

「一馬、山崎、あやめくん、くたばりぞこないがもうすぐそっちへ行くぜ。」

光は瞬き、消えた。

どこからか、声がする。誰の声とも知れない声が。
一人のものとも聞こえるし、大勢のものとも聞こえる。

「まだだ。あなたの体の中にフェニックスの聖衣が一体化している限り、 あなたの中にまだ生きようとする意志がある限り、あなたは死ねない。 生きて戦い続けるのだ。」

そして、眩い光が闇の中心から急激に視野一杯に広がった。

「・・・う」

オレは重傷の床で目覚めた。
夜だ。虫の声が聞こえる。
また、生き残ってしまった。そんな思いが頭を掠める。

だが・・・。
枕元に俯して眠るチャイナドレスの少女を見たとき、そんな自分の 思いが恥ずかしくなった。

そうだ。
オレはまだ死ねねえ。今度こそ、こいつらを守りきる。
もう二度と友を、仲間を目の前で逝かせねえ。

オレはフェニックスの一基、帝撃司令官米田一基だ。

#米田長官の不死身ぶりとファーストネームから、
#こんなバカネタを思いついてしまいました。
#米田ファンの方、元ネタファンの方ごめんなさい。
#寛大な心で許して下さい。


(了)

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