【地蔵盆】
この辺りの独特の習慣なのか
地蔵盆は 子供達のお祭りである。 いや お祭りだった・・
8月の 旧盆になると あちこちにある お地蔵が主役になる
500m間隔ぐらいでありそうな お地蔵さんに 近所の子供達が集まってくる
24日は お昼頃から お地蔵さんの飾り付けが始まる
お地蔵さんの前に 大きな縁台を組んで
大概は細い路地にあるから 縁台は長細くて
ちょうど 子供が座れるくらいの高さの縁台を大人達が組んで行く
近所から頂いた お供えものが お地蔵さんの周りに次々と 高く積まれていく
夕方になると 拝みやのおっちゃんと称する
なんだか怪しげな袈裟を着た坊主が現れ
訳のわからぬ 呪文をとなえにやってくる
子供達は その後ろで 大きな 長い数珠を みんなで回し始める
木魚が入リ出すと 大きな声で
「なんまいだ・・ すっぽいだ・・坊主の頭を張り飛ばせっ」と
子供達の 合唱が始まる
日が落ちはじめると 相当な数の子供達で 縁台はいっぱいにあふれる
大人達は 酒を飲み始め 遠くから 盆踊りの炭坑節が聞こえてくる
そう言えば 各町内に 必ず一つの盆踊りがあった
大きな高いやぐらが組まれて ちょうちんが雰囲気を盛り上げる
次の日は 朝早くから 縁台は一杯にあふれる
その上で 子供達は 将棋、碁、すごろく・・
いろんな 遊びを始める
お昼ご飯は 近所から 炊き出しのおにぎりが振舞われる
それも かなりデカい 子供の手には乗り切れないほどの おにぎりだ
夕方 日が落ち始めると 子供達は手に手に お線香を持って
順番にお地蔵さんを周り お供えの お下がりを頂戴する
ぶどう、スイカ、ポン菓子、酢こんぶ、練りあめ、こんぶ飴、・・・
今では駄菓子やでも 見かけなくなった 懐かしいお菓子だ
この辺りは 昔から ヤクザが多く
そこのお地蔵さんは 格別にお供えが上等になる
チョコレート、アイスクリン、花火の詰め合わせ・・
子供達の長い行列が出来るほどだ
でも 近頃のお地蔵さんは変わってしまった
縁台もなく 炭坑節も聞こえない
子供達は 大きな黒いビニール袋をもって お菓子を集めに回る
黙々と・・。。
花火の匂いを嗅ぐと あの頃の 記憶が鮮明によみがえる
[2002/08/27 12:28:34]