野生イルカと出会う

かなり前の話ですが、東京に住んでた頃、今以上にいろんな所へダイビングにでかけていました。ある年の夏に友人に誘われ、約10日間で小笠原へ訪れました。それはもう毎日がダイナミックなダイビングの連続で、とても楽しく過ごしていました。そうやって楽しい日々はあっという間に通り過ぎ、小笠原滞在の終盤にさしかかった日のこと。それは、ボートで移動中の出来事でした。推定100頭ほどのハシナガイルカと遭遇。通り過ぎるまでに何度もジャンプとスピンの連続。ボートの上ではみんなは大興奮。そのあと、数頭のバンドウイルカがやってきて、海の中で一緒に泳ぐことができました。上にある写真が、その時に僕が初めて撮影した野生イルカの写真です。

言葉ではうまく言い表せませんが、彼らと一緒に泳ぐと何故か妙な幸福感に包まれます。それまでの僕は、イルカにはあまり興味がなかったのですが、この日から彼らが大好きになりました。野生のイルカに会いに御蔵島やバハマを何度か訪れましたが、その幸福感をいつも味わっています。ただ、ボートで一緒になる女の子達は「かわい〜い」っていつも叫んでいますが、僕が受ける印象は、「力強さ」だったり、「自由奔放」、「のびのび」、「いきいき」だったりします。人それぞれ感じ方はいろいろですが、とても惹きつけられる生き物であることは確かなようです。

また、野生のイルカのことをきかれる時に、よく「エサをやると寄ってくるの?」って質問されますが、彼らはただ人間と一緒に遊びたくって、近くに来てくれるのです。そして遊びに飽きると、また広い海原に去っていく。その度にいつも思うんだなあ。「一緒に連れてって」てね。で、取り残された僕は、また彼らに会いに海へとむかうのでありました。

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