a little more ...ふわふわと、どこか心もとない温かさ。 起きなくちゃ起きなくちゃと、いつもは感じる憂鬱さが、今朝に限ってないのはどうしてだろう? あれ、れ・・・と思いながらゆっくり瞼を持ち上げる、と。 どこかいつもと違う、部屋の気配。 なんだろう・・・なんだっけ・・・・・? まだ意識の半分を夢の中に置いてきたまま。 とろとろと考え込む啓太の耳に、くす、と聞こえた笑い声。 「・・・・・?」 あ・・・――――― そっか。 ふわ、と幸せが胸を占めて。 ゆっくり、ゆっくり、窓の方を見遣る。 「おはようございます、伊藤君」 はだけたシャツから覗く白い肌が、真新しい朝の光に眩しい。 眩しくて、なんだかまだ頭がとろんとしていてはっきりと映らない姿だけれど。 聞こえた声が嬉しくて、啓太はとろりと笑みになる。 「まだ、夢の中ですね・・・」 ふふ、と笑う七条さんが。 ゆっくり、ゆっくり、近づいて。 枕元にかがむ動きに合わせて、ふわりと、香りが・・・。 七条さんの、いい匂いがした。 その甘さを胸に吸い込んだら、また少し幸せになって、笑みが深まって。 「もう少しおやすみなさい、伊藤君」 大きな掌で啓太の髪を梳いて、撫でながら、笑みを含んで告げる。 指先の優しい感触も、耳に届く甘い囁きも。 どこまでもどこまでも心地よくて、うっとりとまた瞼が重くなる。 とろとろと意識がとろけてしまって。 「君がもう一度起きるまで、僕はここにいますから」 だから、ね・・・。 額に触れて、優しくささやいた唇が。 ゆっくりと、離れていってしまうのが寂しくて。 ん・・・と、駄々をこねるように呻いたら。 どうしました? ともう一度、顔を寄せてくれた。 行かないで、側にいて・・・。 重くて重くて仕方のない両腕をどうにか伸ばして、甘えるように首に絡めて。 やんわりと抱きしめる。 「・・・伊藤君は・・・」 甘えん坊ですね、と。 僅かにベットがきしんで、傾いて。 近くに降りた、大好きな温もり。 嬉しくて、また笑みが深くなる。 安心できる体温に頬を擦り寄せて。 もう少し、もう少し・・・。 |