次は美女丸くんだ!と考えたとき
『愛を語るエリニュス(上)』 123ページからのシィンが
いちばんに思い出されました。なにげに好きなの。
*
Untitled
焦がれし君の涙のわけを
問えず、拭えず、抱きしめられず
ただ…
「眠れないわ」
震える肩、震える声
その不安を慰めることは、できない
できないなら、せめて、せめて笑顔で君に跪こう
「眠れるよ」
吹き荒れる風の中、雪野に分け入り
その冷たさで
情熱を醒ましたつもりで
君を見つめて眠り木を添える
「ありがとう」
頬に乾いた涙の跡が痛々しいから
「おやすみ」
悪夢はすべて、僕が引き受けよう
けれども
「だって、ゆ」
引き受けたはずの悪夢を君にぶつけ
「ごめん…」
醒ましたつもりの情熱で君を奪った
火のような後悔
胸を締めつける自己嫌悪
嗚呼、だのに
触れた唇は、どうしてこんなに…
「一緒にやろうぜ」
ここを抜け出したなら
手紙の返事を伝えに行こう
君を眠らせる木、要らなくなるように
僕に吹き荒れる嵐、そよ風になるように
そしていつか、君を包み込めるように
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