フェリーむろとの座礁事故について


 7月27日高知シーラインのフェリーむろとが甲浦入港中に突風にあおられ、バランスを崩し防波堤に接触した後、港外の浅瀬に座礁してしまった。幸い船長以下乗組員の懸命の努力により御客様には奇跡的に怪我人もなく全員が無事救助されました。同じ船員として不幸中の幸いであったと胸を撫で下ろす心境でした。実は私は平成4年5月から平成5年2月までの10ヶ月間次席一等航海士としてフェリーむろとに乗船していました。南海フェリーからの出向で一級海技士の乗船履歴を付けるために御世話になったのです。当時は室戸汽船と言いました。船体に描かれたトレードマークの赤いクジラの絵は、私が乗船時、三菱下関のドックで描かれたものでした。乗組員は高知の方がほとんどで大変厳しく教育されており、安全に対する意識も高く、1隻運航であったため家族的な雰囲気があり、船内のチームワークも大変充実していました。偶然にも私と同級生の乗組員が多数乗船していて、出向という立場で乗船した私がこの船に馴染むのにはいくらの時間も必要ではありませんでした。今回不幸にもこのような事故になってしまいましたが、1人の怪我人も出さずに全員を救助に導いた乗組員の皆様の御努力にに心より敬意を表したいと思います。甲浦は、非常に狭い港であり、荒天時には、うねりも入り、フェリーむろとのような7000トン級のフェリーを扱うには、大変な技術と経験が必要であると当時より認識していました。当時御世話になった船長も荒天時にには非常に苦労されていたのが印象に残っております。連日フェリーむろとの座礁がテレビで報道されていますが彼女の少し傾いた姿を見るたび私の心も強く締め付けられる思いです。1日も早く彼女もまた救出してやってほしいと思っています。そして出来ることなら彼女を手当してやってもう一度思いっきり走らせてやりたい。そう願ってやみません。これから再建までの道のりは大変なものだと思いますが、こんな時こそ、乗組員一同そして社員一同となって頑張ってほしいのです。ぜひもう一度大きな赤いクジラを思いっきり泳がせてほしいと思います。高知シーラインの乗組員の皆様が努力すればきっと道は開けます。なにも出来ない私ですが心より応援しています。”努力はすべての扉を開く”どうか頑張って下さい。     Capt.Morimoto


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