オーナーの独り言

シドニーオリンピック
最近のスポーツ界を見ていて、思うことがある。業界全体がプロ化してしま
い、スポーツの原点が、忘れられていないか。千葉すず選手のオリンピック
選考落選にも象徴されている。水連の落選理由が世界で戦えないからで
ある。まったくふざけた選考基準である。メダルを狙えない人間は、オリン
ピックには、出場出来ないのか?オリンピックとは、国境を越え、人種の壁
を越え、世界の選手が一同に集まり、自分の持てる力を出し切って燃え尽
きる。その姿が、我々に感動を与えてくれるのだ。”参加する事に意義が
ある”と言うのは、そう言う事である。もちろん金メダルを取ることは、すばら
しいことで、金を狙える有力選手も沢山いる。選手も金メダルを目標に人生
を賭けてきた。しかし、オリンピックに出場する事に人生を賭けて来た者だ
っているはず。メダルは、あくまで結果であり、オリンピックやスポーツの
意義ではない。私は、千葉すず選手の裁判の際に、ここが問題にならな
かった事に寂しさを感じた。国民全体がスポーツの原点や意義を忘れかけ
ていないか?テレビで見ていると、最初にゴールに飛び込んでくる選手に
我々は感動し興奮する。しかし最後にフラフラになり、倒れ込むようにゴー
ルする選手にも、短距離で、肉離れを起こし、足を引きずり、泣きながら
ゴールする選手にも感動するのである。そこにスポーツのすばらしさがある
のでは、ないだろうか。


最近相次ぐ医療ミス。患者にとっても、医療スタッフにとっても最悪の事態である。人間のミスにより、人の尊い命が奪われる。これは、遺族にとって耐えがたい悲しみであり、諦めきれないでしょう。また、看護婦や医師にとっては、取り返しのつかないミスであり、その胸中を思うと同じ人の命を預かる職業に従事する者として何とも言えない気持ちに襲われるのです。本来、看護婦や医師は、患者の命を救うために日夜最大限の努力をしているのですから、それが自分のミスにより命を奪われるとなると、まったく耐え難いことになってしまいます。
人間とは、必ずミスを犯す動物であります。これを基本にして事故防止を考えない限り、事故を防ぐ事はできません。人間である以上100%ミスを無くすことはできません。ミスを防ぐにはどうするかと言うのも必要であるが、ミスをしても、気がつく、また、ミスを犯しても事故にならない環境作り、対策が必要なのです。
家庭内事故が減らないのは、これが原因とされています。ほとんどの場合事故対策をすることが無いし、ましてや、お金をかけて対策を講じることもないからです。
事故対策には、お金も、労力もかかります。しかし、やっぱり人の命ほど尊い物はありません。これぼど悲しい事故は無いのです。お金をかけてもやるべきものなのだと私は思うのです。
必ず、人間のミスに対応出来る環境作りが可能であると思っています。


「海と船と家族」

みなさんは、海にどんな想いを懐きますか?生命の源なる海、限りなきロマンを秘めた海、心にやすらぎを与えてくれる海。陸にも四季があるように、海にも四季があるのです。私は物心ついたときから海と接してきました。そして今は、船乗りとして小さな頃から憧れてきた海を見つめて生きています。まわりを海で囲まれた島国、日本と切っても切り離せない船が私の職場です。船乗りの目から見た海の厳しさ。休日にはダイバーの目から見た海の素晴らしさ。そして私と一緒に海で生きている乗組員の姿、支えてくれる家族のこと。みなさまに伝えたいことが、とてもたくさんあります。私の海への憧れはこれからもずっと続いていきます。船乗りとしてダイバーとして、心から好きな日本の海が汚れていく姿が、残念でなりません。単に「海が好き」なだけではなく、個人レベルからでも環境問題に真剣に取り組んで、今以上の海や空を子供や孫に伝え残していきたいと思い、いろんな分野で海と接している方々との対談も掲載しています。また、これから船乗りになりたいという方々に、少しでも力になり、アドバイスできるよう、商船学校での遠洋航海のこと、船内の様子も許される限り公開しています。海を語るHP「BlueSea」では、一人でも多くの方々に海の素晴らしさ、海で働いている船乗りの姿を知っていただけたら、と思っています。海にたずさわる多くの方々の訪問を、心からお待ちしております。 

「Blue Sea」
Capt.Morimoto


今日4月2日、私が艤装を担当したフェリーかつらぎが7時40分徳島港を出港し、泉佐野港までの処女航海に出た。私は、フェリーくまのから彼女の勇姿を見届けて後、徳島港に入港した。艤装を担当した2ヶ月の想いが、彼女の勇姿の中に吸い込まれていくような思いがした。子供を嫁に出す親父の思いに似ているのかもしれない?フェリーかつらぎの永遠の御安航をお祈り申し上げます。


  海への憧れ それは、もう25年も前にさかのぼる。私が小学校の4年生ぐらいだったと思う。うちの叔父さんがモーターボートを購入したことから始まった。17フィート、5mちょっとのオレンジ色のクルーザーだった。当時叔父さんは、私の事を自分の子供のように可愛がってくれ、夏休みともなると、休みの日は必ずクルーザーで海へ連れってくれた。当時としては、最高の贅沢であった。いつしか、海に出ることが、当たり前になっていた。海に出ると、学校の事や、勉強の事を忘れ、心から楽しいと思い夢中で、遊んでいた。そして、大きな船を見るうち、この海で仕事をしたいと思うようになった。中学には、早くも私の進む道は決まっていた。一寸の迷いも無かったように思う。そして、25年私は海で生きてきた。海への憧れは、今も続く、心から海が好きなんだと思う。現在は、休みの日もスキューバーダイビングで海に潜っている。これから先も海は、私の職場であり、心安らぐ場でもある。おそらく定年になっても、私は、海を見つめて生きていくことだろう。


  6月14日 日本国民の心が1つになった日。そうワールドカップ日本代表チームが、アルゼンチンと戦った日 日本サッカー界の歴史に新たな1ページを刻んだ日である。私も実の所、サッカーには、さほど興味はなかったが、この日ばかりは胸のたかまりを沈める事ができなかった。試合は非常に残念な結果ではあったが、よく頑張ってくれたと思う。そしてなにより、日本国民の心がこの日、サッカーを通じて1つになれたこと、この事のほうが遙かに大きな意味があると思う。1億人の心を熱くしてくれた日であった。特にサッカーに携わってきた人にとっては、忘れられない日であったに違いない。また、会社を辞めてまで、サポーターとして、フランスに行った人もあり、人生にとっての忘れられねメモリアルデイとなった人も多くいたはずである。今の日本社会には、こんなに夢中になれることが、少なくなってきている。個人主義的な考え方か多く乱立し、大きな視野で物事を見ようとはしない。 今回のように、日本国民が心を一つし、日本の将来を考えることができたら、日本も最強の国になるような気がするのだが。   


  船乗りになって今年で15年目を迎える。 いろんな国々を航海し、いろんな国々の人々と接し、いろんな体験をしてきた。ある国では、現地人に襲われた事もあった。今は、国内のみの航海であるので、他国の人々と接する事はないが、そんな経験を通して感じる事がある。それは、日本のすばらしさだ。国際航海に従事する船員のほとんどがそう感じているのではないだろうか。ツアー旅行では見られない町の裏事情や、そういう中で実際生活している人々との接触が一層そのような気持ちにさせるのだろう。ペルシャ戦争の最中に、ペルシャ湾にも行った。人間が作った武器で、人間同士が殺し合う。今の平和な日本では、到底理解できない事であるが、今も世界では、そんな争いが絶える事なく続いているのが現実である。かつて日本も戦争の時代があった。私の祖父も戦死である。子供3人を残し、なくなった祖父の気持ちは、はかしりしれない無念さがあったに違いない。当時お国の為とはいえ、最期の瞬間は、妻や、子供の顔が浮かんだであろう。今の日本の平和は、祖父のような多くの日本国民の犠牲があって確立されたのである。日本国民である以上これは忘れてはならないと思う。二度と同じ過ちを犯さないことが、犠牲になられた人々に対する我々の義務ではないだろうか。

  もう一つ感じたことが、日本人の環境問題に対する意識の薄さだ。最近ようやく、あちらこちらで、環境が問題にされるようになったが、個人レベルでは、まだまだ先進国に比べ遅れていると思う。消費国日本の象徴であろう。 船員であり、ダイバーである私は、汚れゆく日本の海が、残念でならない。子供や、孫の時代にも、今と変わらない、いや、今以上の海や、空を残すためには、個人レベルでも、環境問題に取り組む必要がある。今一度真剣に 考えてほしい。

    35年生きてきて、忘れられぬ感動が2つある。1つは、商船学校5年最後の夏に1級海技士(当時は甲種船長)の国家試験に合格したこと。これで小学校からの夢であった船乗りになれると思った。船長への道が開けたと思った。頭は、良くなかったが、努力でつかんだ夢だった。 もう1つは、商船学校3年の時、全国商船高専高等専門学校の漕艇大会で優勝したこと。私は、商船学校の5年間カッター部に所属していた。1年生で入部したとき、部員は30人を越えていたが、卒業時同期で残ったのは、たったの4人だった。それほど過酷なスポーツであった。だれもがそれを認めていた。血のにじむような練習の毎日で何度も逃げ出したい気持ちになった。そしてつかんだ優勝であった。それもうちの学校のみが優勝がなかったのだ。あんな苦しみは、それ以来ないし、これからもないであろう。仕事がつらい時は、あの頃の、苦しみを思い出すようにしている。 今長野オリンピックが開催されているが、日本選手の活躍に、あの時の自分がオーバーラップする。感動のあまり涙か流れた。金メダルを取るのは、すばらしいことであるが、それ以上に、たくさんの国民の胸を熱くしてくれた日本選手団に感謝したい。それが真のスホーツのすばらしさではないだろうか。