Harmonica virtuoso |
1927年から翌28年にかけて録音した18曲のうち11曲のみを聴くことができる。その全てがソロハープで、完成されたテクニックに裏打ちされた超一級品の録音ばかりだ。
家族も音楽好きで、おじいさんがフィドル弾き、兄弟にはバンジョー弾きなどもいたというから他の楽器のスケールにインスパイアされる機会も多かったことだろう。録音でも、フィドルの真似は常套としても、ピアノ真似までこなしているのは驚異という他はない。電波に乗ったこれらの演奏に触発されたハモニカ吹きも多かったことだろう。
現存する音源は、すべてのハモニカ芸を網羅しているといっても過言ではなく、汽車真似芸("PAN-AMERICAN BLUES","DIXIE FLYER BLUES")、狐狩り("FOX CHASE")といったネタが3曲。オールドタイムのフィドルの真似が2曲("OLD HEN CACKLE","ICE WATER BLUES")、残りの6曲がブルーズやバラッドの名曲をあつかったものとなっている。いずれの曲も、異常に正確なピッチとリズム、丸く豊かな音色、さらには最初から最後まで完全に計算された構成をもっている。あまりにテクニック的に完成されているので、良くも悪くも危うさがまったくなく、一発勝負のスリルを求める方には物足りないかもしれない。
なお、ハモニカをアンプリファイドしていると思われる例("JOHN HENRY"(1928))もあり、サウンドエフェクトにもかなり意欲的だったと考えられる。
参考音源(兼参考文献)
1899年(又は1900年)テネシー州スミス郡に生まれる。黒人にして唯一、ヒルビリーの殿堂"Grand Ole Opry"に15年以上の間出演し続け、毎週土曜日にラジオの前の聴衆をうならせていたというとんでもないハモニカ吹きである。1982年に亡くなった。
HARMONICA SHOWCASE/MSE218
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