Harmonica virtuoso |
1920年代終わりから、30年代にかけては、デルタブルーズの巨匠BUKKA WHITEとともにミシシッピ州ウエストポイント辺りを流していたというからわくわくしてしまう。残念ながらこの2人がともに吹き込んだ録音はないが、ワイルドかつリズムの跳ねたウハウハの演奏であったであろうことは想像に難くない。
彼のハモニカを特徴づけているのが、吹音1-4穴、2-5穴又は3-6穴のオクターブを出しながら、裏声(しかも大声)で唸るという技。地の底から響くようなその効果は一度耳にしたらもう忘れられない。ハウリング、グロウリングを得意にしている芸人は他にもいるが、この"BULLET" WILLIAMSの芸ほどの存在感は他に例のないものである。
もちろん、ヴォーカルエフェクトだけではなく、引きずるような重厚なリズム、野太い音、正確なピッチなど、さすがはBUKKA WHITEをして奴は最高だったと言わしめたプレーヤーだけのことはあると納得させられる。
例えば、汽車真似の"FRISCO LEAVING BIRMINGHAM"を聴いてみると、トレインピースの部分は、非常に単純といってもよいくらいの音使い(下図参照。このパターンを応用した例をFREEMAN STOWERSの"RAILROARD BLUES"にみることができる。)にもかかわらず、ぐいぐいと力強く汽車が進んでいくさまが素晴らしいリアリズムで表現されていることに気付かされるのである。
ところで、この曲の途中に入る"blow it! blow it!"という掛け声の主は誰なのか。"TOUCH ME LIGHT MAMA"の歌手同様、気になるところではある。
A LITTLE PIECE OF
Chicago , c.May.1928
THE SOURCES
生年など不詳。アラバマ州セルマの出身であるという。1928年5月頃にシカゴで残した数曲の録音が知られているハモニカ芸人。
"FRISCO LEAVING BIRMINGHAM"
by GEORGE "BULLET" WILLIAMS
"↑"=blow,"↓"draw
*1 on DOCD5100,*2 on WSE127
GEORGE "BULLET" WILLIAMS, h solo/sp; unknown, v-1; unknown, sp-2 20590-2 TOUCH ME LIGHT MAMA-1 *1,*2 20592-1,-2 FRISCO LEAVING BIRMINGHAM *1,*2 20592-3 FRISCO LEAVING BIRMINGHAM *2 20593-1 THE ESCAPED CONVICT 20593-2 THE ESCAPED CONVICT *1,*2 20596-1,-4 MIDDLIN' BLUES-2 *1,*2
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