Harmonica virtuoso
Who's who!!
by
Boogie Woogie

WILL SHADE

1898年(又は1894年)テネシー州メンフィスに生まれる。メンフィスジャグバンドの主宰者にして、ハモニカ、ギタープレイヤーである。1927年から30年代の半ばにかけて、様々な伴奏者とともに多数の録音を残しており、人脈の広さをうかがわせる。

1966年に死去。

ハモニカ吹きとしては、いわゆる芸能ネタの録音は知られておらず、全てバンドをバックにつけた演奏となっている。一音一音の音圧というよりは、むしろメロディで勝負するタイプとお見受けする。ほんわかとした音色は押しつけがましくなく、バンドの中にきれいにとけ込んでいるのが好ましい。

1st、2ndポジションともにこなし、明らかに1曲の中で両者を使い分けている例("PAPA LONG BLUES"(1928))、さらにはどこで持ち替えているかさえよくわからない例("STEALIN' STEALIN'"(1928)美しい!!)もある程。これらは、いかに彼がハモニカをメロディ楽器として意識していたかを示すものであると受け止めたい。

また、2ndポジションでは、中域から降りてくる決めのフレーズを持っており("SUN BRIMMERS BLUES"(1927)など最初期の録音から後期にいたるまで多数。)、これがなかなか唐突でかっこいい。時々、例えばJAZZ GILLUMなど他のプレイヤーの演奏の中にこの影響を見ることができる。

なお、"SOMETIMES I THINK I LOVE YOU"(1927)と"SUNSHINE BLUES"(1927)のハモニカ吹きは若干9歳のビッグウォルターであるという説があるが、特に後者には、この決めのフレーズを始め、随所にウィルシェイドらしさが感じられ、少々疑わしいようだ。(CHRIS SMITH氏によるDOCD5021のライナー参照。)

フレーズを研究するなら、ぶっ飛んだ2ndポジションのブギ"JAZZBO STOMP"(1934)、相変わらず決めのフレーズがうなる"GATOR WOBBLE"(1934)、1stポジションでは、"JUGBAND WALTZ"(1928)が楽しい。賛否はあるが、1934年のセッションでは曲調もよりジャズ臭くなるともに、録音技術の進歩からかハンドエフェクトも多用され、フレーズにもアイディアが盛りだくさんに詰め込まれている。

参考音源(兼参考文献)

MEMPHIS JUG BAND/THE SAME/YAZOO1067
1927〜34年のレコーディングから主要曲を網羅。

MEMPHIS JUG BAND COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER Vol.1/DOCD5021
MEMPHIS JUG BAND COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER Vol.2/DOCD5022
MEMPHIS JUG BAND COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER Vol.3/DOCD5023
MEMPHIS JUG BAND COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER/BDCD6002
MEMPHIS JUG BAND ASSOCIATES & ALTERNATE TAKES/WBCD004

全録音集。はまってしまった方には是非。

RCAブルースの古典/BVCP8733-34

丁寧な編集の定番オムニバス。ライナーは貴重な文献です。







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