エースバット


エースバットというお菓子がある

うまい棒にチョコがかかったようなお菓子で
値段は20円

そしてその袋にはこどもたちが胸ときめかす
当たりつきのお菓子特有の黒い部分がついている

開けて黒い部分の裏を見ると
そこには「はずれ」「ストライク」「エース」
の3つのどれかが書いてある

そして「ストライク」なら3枚
「エース」なら1枚をはがきにはって送れば
エースバット特製文房具がもらえるというのだ

これは当てるしかない

ちなみにリスカ(スーパービッグチョコ等で有名)
というお菓子会社がこれとよく似たようなことをしていて
ぼくはそれに応募して3セットくらい当てたという過去がある

さらに今となってはなつかしい「ハンコください」の
「トケデンタ」(時計と電卓が一緒になったもの)
というものを当てた経験もある

こういうものには応募する人なのだ

そしてかなり前にゴミリーがうちにきたときに
エースバットを5本くらい買った

さっそく分担して開ける
ぼくが開けたのは残念ながら全部はずれ

そしてあまり期待せずにゴミリーの方の結果を聞く

「エース」
ゴミリーが地味につぶやいた

ゴミリーは「エース」のすごさを知らなかったのだ

ぼくはひとり興奮してこのすごさをすぐさま伝えた

するとゴミリーもこのすごさがわかったらしく
ふたりしてよろこんだのであった

しかし勘違いをしている人間がひとりいた
おれが開けたからおれが当てたのだと主張する人間だ

ちょっと待ちなさい

ぼくが全部選りすぐり
ぼくが全部お金を出して買ったエースバットだ

当たる環境を作ったのはこのぼくだ

そこに開けるという作業のみに貢献した人間が
主役づらしていばっているのである

こんな世界があってはならない

こんなことをひとり熱く語った結果
まあなんとか「エース」はぼくの手にわたった

そして家に帰るなり急いで送る準備をする

はがきに住所・氏名・年齢・電話番号・性別を書く

「年齢20歳」が光ってみえる

後悔はしていない

ところが急いで書いたはいいが
書いたまま出すのを忘れて
2〜3ヶ月くらいほったらかしにしてあったのだった

そして当たったときのよろこびを忘れかけていた今
そこらへんに落ちている例のはがきを発見した

発見した瞬間なにやらわくわくしてきたので
急いで投函してきたのである


送られてくるのが待ち遠しいな

どんな姿の文房具であれ
積極的に使っていくつもりである

そしてみんなに見せびらかしていくつもりである



もどろうか