魚光


かのがわというところに行った



場所は伊豆
詳しい場所はよくわからない

なぜかのがわなどにいるのかというと
サークルの合宿に参加したのであった

社会人として初の合宿参加である
大学1年のときに来て以来であるから
4年ぶりのかのがわということになる

合宿の最終日の飲みのみ参加したため
一人元気であり夜にすることを求めていた

そんな中78がつり道具をもってきていることが判明

彼は私が到着する2日ほど前から合宿に参加しており
釣りに行く機会を狙っていたらしいのであるが
誰もいっしょに行ってくれる人がいないということで
結局いかずじまいだったらしい

そこへ私が登場
行かないわけがない

そして若干眠そうな78とともに
寝ずに夜が明けるのを待って釣りに行くことにした

78の持参した道具は
釣り竿、仕掛け、エサと必要十分なものであった

竿は78が父親から受け継いだ伝説の竿であり
仕掛けは川釣り用の適当なものであった

ただエサに対しては疑惑の目を向けざるを得なかった



「魚光」というチューブ入りの練りエサである

「マル秘」マークに加え
「強烈な濃縮魅惑性ねり餌」
「魚心をつかむ魔性の釣餌」
などの仰々しい文句

私はいくらか川釣りの経験があるが
こんなエサを使ったことがない
しかし道具はこれ以外にないので使うほかない

夜が明けるのを2時くらいからじっと待つ



部屋で竿の状態を確認する78

夜が明けてきたので
忍び足で川に向かう



朝6時頃に出発
右の明かりの部屋は人がいるので
気づかれないように裏口から回って脱出する

  

着実に道路を進み、坂を下り、橋の下のいい感じの場所に向かう78

さて釣る準備をする

するとそこへなにやらあやしげなおじさんが登場した

徐々に我々の方へ近づいてきているようであった

我々はそのおじさんを横目でみつつ釣りの準備をする
こちらの様子をうかがいつつゆっくりと確実に近づいてくるおじさん

我々はおじさんはこの川の主であり
さらにこの川は釣り禁止で
釣りをしている我々を注意しにきているのではないか
という思いを抱きながらも準備を続ける

ついにおじさんが到着し
「君たちこのあたりの子かね」

ここで終わりかと思った我々であったが
続けておじさんは
私はこの川は初めてなので
どこでどういう仕掛けでやるといいか教えてもらいたい
という主旨の発言をしたのであった

要するにかのがわ初心者なのであった

川の主でなくて一安心であったが
おじさんの質問に対して答えなければならない

しかし我々もこの川は初めてであり
しかも最低のえさを所持している真の初心者なのであった

我々はおじさんに背をむけ
「魚光」(強烈な濃縮魅惑性ねり餌)を見られないようにしながら
我々も初心者であるゆえよくわからない
といってその場をなんとか逃れようとした

おじさんも我々に期待するのは無駄だとわかったらしく
とくにつっこんで聞いてこなかった

そして去っていった

ガッカリ気味のおじさん
後姿が寂しげである



さておじさんが去った後
ついに疑惑の「魚光」(魚心をつかむ魔性の釣餌)を針にとりつける

予想以上に最低のエサであった

なんともいえない色で性質はねりけし
針にはつかず手にのみ異常な吸着力を示す

魚もエサと認識しないだろう
しかしなんとか針につけ
とりあえず川に投入する

結果は予想通りであった

 

釣り場の様子
無駄に場所をかえながら
「魚光」(なんともいえない色のねりけし)を投入する


 

「魚光」を川にひたす動作のみを機械的に行う78と私
すでにやる気はなく眠くて目もほとんど開いていない

「魚光」を水につける作業は1時間程度で終了
寒いので我々はすみやかに川を後にした

つれた魚の画像を披露できなくて残念である

しかしこれで釣りに対して抵抗がなくなった我々は
海をターゲットにつり大会を行いそうな勢いである
釣りをしてきた際には報告する



もどろうか