調理法tips: 食事療法のコツ

基本的に、腎不全の食事療法だからと言って、食べられないものはありません。量と頻度の制限が付くだけです。
とはいえ、厳密に栄養素を計算する食事療法では注意すべき点が各種あります。

取り分け技法
こんな工夫はいかがですか?
計算への繰り込み
ざっくり食材を計算する、基本的な手順です。
しかし小魚やプチトマトなど、1個1個の重さがまちまちで、丁度計算通りのものが出てこないこともあります。
こう言う時は、なるべく計算に近い重さの物を選んで、その重量を測りましょう。
これを元に、後で計算の方をやり直します。
そうしたら、食べた量の正確な栄養が計算できます。
残飯
まず 取り分けるとき、栄養成分表の「廃棄率(%)」を見ます。 これは普通食べない骨などが、全体のどれだけの重さになるかの目安です。
取り分ける重さ=100÷(100-廃棄率(%))×計算した重さ
という計算で、大体の重さが分かります。
次に魚やカニ、種の入った果物などを解体したとき、食った分の重さは骨、甲羅、種・皮などの重さを測ります。
元の重さを量っておいて、残りの重さを引くと、食べた量が分かります。
これも後で計算を直しましょう。
肉魚の身をほぐしてから計量するのは、病人食みたいだから止めましょうね。
複数個の組み合わせ選別
一切れ大体10gくらいの鮭切り身を30g食べれるとき、小さめ大きめ、を考えて選り分けましょう。
3切れ選んで5gだけ余裕が出たとき、ひとつ大きめの身に代える
5gはみ出したとき、小さめの身に代える
という選り分けで、かなりきれいに計算に合わせることができます。
くどいけど、きっちり測りたいから ほぐし身だ というのは邪道です(シーチキンを食いたいなら構わないけど)。

計量の精度
普通の料理のレシピではカップ単位、「一つまみ」、100g単位など、結構アバウトです。
一方蛋白制限は1日35gとかですから、下手すると2桁細かい管理が必要 ということになります。 では実際、食材をどれだけ正確に量れば良いのでしょう?
それはどれだけ高蛋白の食材を使うか によって変わります。
肉(赤身)、卵などでは40%近い蛋白質になるので、これらは1g単位で量らないと誤差が大きくなります。
一方、葉っぱもの野菜の多く(脂身もかなり近い)は、蛋白質は5%以下のものが多いので、5gくらい誤差が出ても5g×5%/100=0.25gしか響きません。
ご飯、小麦粉などの粉類はこの中間ですので、そこそこシビアに量ります。

計算が生なら、計量も生で
食材は、調理前後で重量が変わります。特に肉類などは、水分や油が落ちて軽くなります。
そのため、計量は火を通す前にしなければなりません。
火を通すとき、蛋白も多少は失われますが、私はどうせ制限するものだから と無視しています。
また、揚げ物がどれだけ油を吸い取るかは、悩みの種です。 科学実験風に考えると、鍋の重さの減り具合で具が吸った油の量が測れるはずだけど、飛び散る分や天カスになる分がややこしいし。 ここはお料理教室関係のノウハウに期待です。
(フライパンで炒めるように揚げて、残り油でハーブ天ぷらを作って使い切る手もあるけど)

なお、成分表には茹でた場合や うなぎ蒲焼などの成分値の記載も、かなりあります。
こういう値に合わせて計量する手もあります。 特にカリウムなど湯通しで大幅に減るものは、成分表の調理に合わせるべきだと思います。

味付け
香辛料万歳! 七味、辛子、山葵、胡椒、ラー油その他 塩と醤油以外の調味料を活用しましょう。 (タバスコは塩分あるからちょっと迷うけど)
また、一点豪華主義の味付け というか、薄味と濃い口のメリハリを利かせましょう。
慣らせていくのは、徐々に。

計算見直し
↑で色々計算の方を修正したあと、栄養が結局どれくらいになったのかを計算し直します。
それで蛋白など多過ぎれば、次の食事(次の日)は少な目の計算を組んだら良いのです。
とはいえ、切れ食いで2日分以上の蛋白を食ったからと言って、何日も蛋白0同然の食事をするわけには行きません。 蛋白質は体を作るか、燃焼して腎臓から排泄されるだけの栄養素で、脂肪の様に何日も体に溜め込めるものではない そうなので。

create:1998/5/17,last update:2001/8/29
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