フェイト/ステイナイトのプレイ後感想
実に鮮やかなお話。
最後の「鞘と鞘の複製」のシーンのカタルシス、そして切なく締める「別れ」まで、この読後感は「鮮やか」の一言がふさわしいと思う。
そして、鮮やかであるからこそ、True End(と道場行きEND)しか有り得ないのだろうと思う。
この作品について、仮面ライダー龍騎のパクリである、と言う話もある。なら金色のガッシュはどうなんだ。ま、それは置いといて。僕が気に入ったのは、士郎が聖杯受諾を断るところ。どんなに苦しく辛い、目の前の惨状が無くなるとしても。やり直せるとしても。一方であった今までの思いを、無にしてしまうことは許されない。この結論、凄くカッコイイんだけど、ど、やや説明が、引き込みが、足らない様な気がする。目前の犠牲者に心から謝りながら、それでも「やり直し」を選べない思い。それをもっと強くもっと長く語りこんでも良かったのでないか。 ただ、少なくとも、この結論を導く士郎は、結局タイムベントに逃げるしか出来なかった「仮面ライダー龍騎」より数百倍上なのである。
主人公と、ヒーロー兼ヒロインであるセイバーの、短い冬のボーイミーツガール。出会いと別れ。そういう話だ。話の完成度としては、一番好きな編だ。
そして、あちらこちらにばら撒かれた謎と伏線がプレイヤーを否応無くUnlimited Blade Worksへと導く。- 2004-02-23 (Mon) 00:49:13 ブンケイ?
上記の文で、元は「井上敏樹」となっていた部分を「仮面ライダー龍騎」と訂正した。タイムベントを思いついたのは小林靖子女史、という情報があったため、改めてチェックしてみたところ。仮面ライダー龍騎最終話とその前の脚本は小林女史であり、また龍騎の「ストーリー構成」を担当しているのも小林女史であることがわかった。 以上より、訂正したものである。。- 2004-05-04 ブンケイ?
これは凛さまシナリオと言いながら、衛宮士郎のシナリオなのである。Fateのセイバーと違って、凛はある意味、正しくヒロインであり、ヒーローではない。
Fate編で、バーサーカーに向かうアーチャーの背中がいやにかっこよかったのを覚えている。あれがプレイヤーに「アーチャーのかっこ良さ」を仕込む仕組みとして考えていたなら素晴らしい計算だ。プレイヤーは、少なくとも僕は、理想の自分に憧れる士郎とアーチャーのかっこ良さを称える自分とがかなりシンクロして話を進めることが出来た。
自分の理想像が、ちょい歪んじゃった形で現れて、んでもってそれと対決する。そして、打倒し先へ、進む。
ギルガメッシュのキャラが、あのバーサーカーの最後が、ラス戦を見事飾ってくれる。士郎がギル公の呼び出す宝具を叩き落すがごとく、プレイヤーはマウスのボタンをクリックするだろう。ガツン、ガツン、ガツン。
惜しむらくは、ギル公が孔に喰われてしまう、そして最後の最後はアーチャーの狙撃に持っていかれるところか。あれ、士郎がトドメさしちゃやっぱいかんのだろうか。
ラス戦を終えると、士郎が疲れ果てているごとく、ユーザーもきっと疲れているのだ。終わりを感じ取った時特有の、達成感に近い心地よい疲労感。そこに、凛さまのヒロイン行動がパチリとはまる。
あんな形をしてはいるが、あれはやはり、戦い終えて疲れ果てたヒーローを抱きとめ癒すヒロインのシーンなのだと思う。
後日談の、士郎を引き止める凛がやたら可愛い。ああ、こうして士郎(とシンクロしている俺)は、自分の生を楽しまされるのだな、と感じてほほがにやける。そう、これはやはり、ヒロインのヒロインだけに許された役目なのではないだろうか。
憧れを乗り越え、邪悪を倒し、見目麗しき女性に癒される爽快感。形は変われど、確かに「ヒーローとヒロインのめでたしめでたしな話」とまとめたい。- 2004-02-23 (Mon) 01:08:45 ブンケイ?
そして僕は、桜と金髪ライダースーツ男が序章にてお話してることなんてすっかり忘れていたのだった。
このページは感想文という趣旨なので好き勝手を言うと、僕はあまり好きでない。というのは、そもそも、可哀想な女の子の話は読んでて辛い。桜可哀想、イリヤ可哀想、そうだね、そうだね、うん、そうだね。黒くなったね、うんうん、わかるよ、うん。よかったね。・・・それで終わってしまう。
姉妹話としては、桜が可哀想になればなるほど、逆にあの凛さまの抱きとめシーンが引き立つ始末。凛さまについては、更に後日談の一瞬見える立ち絵もステキ。
戦闘シーンについては、黒セイバーVSライダー+士郎は良かった。素直に評価。特に、Fate編でエクスカリバーの強さが刷り込まれているのが効いている。
Heavens Feel、についてはこんな感じ。- 2004-02-23 (Mon) 01:17:54 ブンケイ?
きちんと巡回してないんでアレなんだけど、オタク世間様的に評価はどうなんですかね。「面白い」けど月姫ほど「絶賛ではない」ってとこなんですか?
僕は「絶賛」です。月姫の3倍くらい好きですね。
まず僕の素地として、
ってのがまずありますかな。
人によってはテキストが冗長って人もいるみたい。僕はそうは思わなかった。月姫の方がよほど冗長で後々は読むのが億劫だった。
戦闘シーンの描写も良く出来ていると思う。後から思えば、やや同時多発バトルを追うための「カット割り」が煩いかなとも。でもそれも後から思ったことだ。読んでる途中は気にならない。
特に評価したいのが、ゲームの中の世界設定の消化具合。若い読者の間では(そして、10年前の僕もそうだったけど)書ききれず、使われきれなかった設定の多さをして「世界が壮大・深い」と捉え評価する向きもあるだろう。今の僕には、それは余分なものでしなくて、あくまで必要な設定を使って必要な伏線を張り、きちんとひとつの話の中に織り込んでいく、それが筋だと思う。その点で、フェイトは評価できる。ちゃんとまとまりがついている。
フェイトを月姫より高く評価する理由のひとつとして、衛宮士郎がある。彼の能力は、あくまで後天的なものだ。(あの世界の魔術の素養うんぬんがイマイチ先天的・後天的が微妙だが、少なくとも士郎は生まれつき魔術の素質抜群、って書かれ方はしてないので後天的と捉えていいだろう)いやまて、遠野志貴の直死の魔眼も事故による後天的なもの、と書けるか。ならば、「当人が努力してるか否か」を判断基準に据えたい。
社会人としてもう何年も過ごしていると、理由や当人の努力もなく、ぽーんと与えられた能力と、それによって得られる嬉しい状況、ってのは見ててイライラする。
また、月姫の志貴がしばしば「自分がわからなくなる」(なにせアルク17分割にしてからそうだ)シキがまざったりすることにより、「プレイヤーのシンクロをしにくくしている」ことは確かだと思うのだ。何度も言っていることなのだが、「いきなり女を17分割しちゃいたくなる男に、どう感情移入しろと?」
そこへ行くと、士郎には楽に感情移入できる。現実の自分ならば無理な「ヒーロー的自己犠牲」も物語の中なら簡単だ、僕も素直に士郎にシンクロすることができた。
月姫は、常に死の香りが付きまとう話だ。それはヒロインがそもそも吸血鬼だったり、主人公がいつ死ぬかわからんと宣告されてたりする所から来ているのかもしれん。
フェイトは生の話だ、と感じた。ヒドイ状況になっても、なんとか他人を生かそうと足掻く話だ。そういう意味では、士郎も生き汚い。
僕がフェイトを高く評価するところ。結局は、士郎のそこに帰るのかもしれない。- 2004-02-23 (Mon) 01:53:05 ブンケイ?