ガンダムTheRPG用シナリオ「機動戦士ギャンダム」

キャンペーンシナリオ「機動戦士ギャンダム」

これはガンダムTheRPG用のオリジナルキャンペーンシナリオである。
このキャンペーンは、以下の連続したシナリオからなる。

・サイド6 66番地通称「ダミアン」
・大気圏突入
・アジア
・キャリフォルニアベース
・ア・バオア・クー

(1)ダミアン
[背景ーサイド6 66番地「ダミアン」]
サイド6は一枚岩の国家ではない。
コロニー毎の自治があるていど認められており、そのコロニーによっては親連邦であっ
たり、親ジオンであったりする。その結果サイド6全体の方針としては中立ではあるが
コロニーによっては連邦の秘密のMS研究や、ジオンのMS研究を行っているところが
出てきている。

66番地コロニーは典型的な親ジオンコロニーである。
もともとサイド6の中でも最後発に作られ、サイド6のコロニー群のはずれに建設された
このコロニーは地球の最下層の虐げられた人々が多かった。すなわち当時の地球連邦政
府に対して不満をもったやからが多かったのである。
1年戦争当初、66番地では、ジオンを支持する声明を住民の間で採択するほどであったと
いう。サイド6が中立を表明したあとも、66番地からはジオン義勇軍に参加する若者があ
とをたたなかった。そのため、66番地はジオンの民間船が頻繁に出入りをする特異なコ
ロニーとなった。
このコロニーには密かにジオンのMS実験施設がある。
広大な領土を持つ地球連邦ですらアレックスの開発をサイド6で行っていたことからもわ
かるように、ジオンもMS開発を本国だけでは行えない事情があったのである。

[背景ーギャン]
ジオンは2つのMSを次期主力MSにと考えていた。一つはジオニック社のゲルググ。もう
一つはツィマッド社のギャンである。
ジオニック社はザクを世に送り出したMS界の雄である。当然その後継機はザクの拡大発
展型である。
ザクは高機動を生かした兵器であり、曲線を主体として非常に繊細なデザインである。
当時の通常兵器に比べて若干の装甲と高い機動性、そして多彩な武器の運用能力で戦争
序盤を圧倒したジオン躍進の立役者であった。
序盤は圧倒的であったザクの優位性であったが、連邦がガンダムシリーズを投入したこ
とによってジオン内部にはいわゆる「ガンダムショック」というものが発生した。
全ての点でザクを凌駕するガンダムの出現はジオニック社にとって衝撃であった。
ジオニック社もザクがいつまでも通用するとは考えず、必ずや投入されるだろう連邦のM
Sに対抗すべく二つの発展型を考えていた。その一つは陸戦型のグフであり、宇宙戦用の
高機動型ザクであった。グフは火力を重視するであろう連邦のMSに対して、効果的な戦
闘を展開するために、対MS戦用の格闘兵器を中心とした武装をを施した機体であった。
無論装甲は想定される連邦のMS用火器に十分対抗できるものとなっていたはずだった。
しかし実際に出現した連邦のガンダムの火力は想像を大きく上回りグフの装甲ではガ
ンダムに接近する前にビームライフルで撃破されるという結果をまねいた。またグフの
装備した格闘兵器はガンダムのビームサーベルに対して明らかな威力不足が発覚した。
そのためオデッサを中心に配備されていたグフはまったくいいところなくガンダムやGM
に撃破されるケースが目立っていた。これはそれまでジオニック社に肩入れをして、カ
スタムタイプのグフまで保有していたマ・クベ大佐すらジオニック社離れを誘発するほ
どの失敗であったという。
また、宇宙では高機動型ザクであったが、こちらは宇宙という広いフィールドでの射撃
戦になることが多く、装甲や火力の差を機動力で十分に埋めることができたため、ある
程度GMなどの連邦MSに対抗することができた。だが、これは高機動力を十分に生かせる
熟練のパイロットが多く宇宙に配属されていることも原因があった。
このことから、ジオニック社では次期MSであるゲルググは以下のような設計思想によ
って開発することとなった。

 ・ザクのフレームを強化しより高機動および大火力を与える
 ・ダメージコントロールは強化するものの、対して装甲は強化せず、機動力でかわす

ザクにおける豊富な実績と、実際は大きなザクに武器と推進機だけを乗せ変えたのと同
様なゲルググは早い時期に完成し、十分なテストを経て採用テストに望むことができた。
ベテランパイロットあがりが多いジオン高官にたいして、大きな政治力を持つジオニック社
はツィマッド社に対する妨害工作のかいもあり、無事採用の運びとなった。
しかし、熟練パイロットが減っていた末期ジオンにおいて、扱いにくく装甲の薄いゲル
ググが大した働きができなかったのは悲劇であったと言えよう。

ジオニック社に対して、ツィマッド社は後発であったがゆえに過去の栄光に引きずられ
る事無く独自の路線を歩むこととなった。ジオンの正式採用に食い込むためにツィマッ
ド社がとった作戦は徹底的な専門性であった。汎用性が極めて高かったが故に地上では
いまいち機動性を発揮できずGMの前に破れたザク/グフに対して、地上戦に特化して重装
甲と高機動、大火力に徹したドムは遂に表れた連邦のMSに対しても安定した優位性を維
持する事に成功した。そしてガンダムショックに揺れるジオン軍部に対してツィマッド
社は大きな賭けにでることとなった。次期主力MSの開発である。
過去の栄光に引きずられることのなかったツィマッド社は、その手本をザクではなく
なんと連邦のガンダムにおいた。
ツィマッド社はそれまでの情報収集においてガンダムを以下のようにとらえていた。
それは極めて優れた白兵戦用MSを中心に各種パーツ交換によって汎用性を持たせた機体
であった。
しかしそれは苦難の開発であった。特に難航したのはビーム兵器の開発で、ビームサー
ベルの開発に手間取り過ぎ、ビームライフルの開発が終了せぬまま採用試験に望まねば
ならなかったのである。試験対策で仕方なくシールドにミサイル発射機を装備した試作
機は十分な機動力も与えられぬままゲルググと相対したのであった。
そう、あのマ・クベ大佐が使用したギャンこそこの試作機であった。
重力下での格闘戦でこそゲルググを圧倒し、開発者の溜飲を下げたものの、まともな火
器を装備していなかったギャンはいいように無重力戦闘でゲルググに翻弄されたという。

次期主力MSのコンペでは敗退したものの、ツィマッド社はギャンをあきらめなかった。
ゲルググはいずれその貧弱な装甲と格闘戦能力が問題視される。そのときギャンの改良
型を提示すればよい。そうツゥマッド社は考えたのである。

ギャンーDAM(Destroyer Anti MobileSuite=MS駆逐型) はギャンシリーズの中核となる
白兵戦用MSである。
そのボディは仮装甲しかなかった試作1号機にくらべてはるかに重装甲であるが、正式
な大型バックパックによりかなり高い機動性も有する。
その特徴は大型のシールドでこのシールドには廉価版のIフィールド発生機が格納され
ており、短時間ならばGMのビームスプレーガンを完全に無力化することが可能である。
武装も豊富で、宇宙空間用にはビームバズーカ、ビームサーベル、ビームランスがあり
、悪天候用にはヒートホークやヒートハンマー(通称ギャンダムハンマー)がある。
また、上半身と下半身を換装することで、ギャンキャノン、ギャンタンクとしても使用
することが可能である。
換装機材の運搬および長距離の侵攻用に専用の大型輸送機ギャンペリーや、宇宙空間で
の単機長距離侵攻用のギャンファイターパーツも開発されていた。

ギャンダムの開発は、サイド3や月ではなく、中立のサイド6で行われていた。
これは、度重なるジオニック社の妨害工作を防ぐためにツィマッド社がとったせめてもの
抵抗であった。しかしそのことが、新たな物語を生む。

「背景-機動強襲艦「オーディン」」
ミノフスキークラフトにより、大気圏内で活動できるペガサス級母艦の性能に目を見張ったジオン
は急遽、開発していた両用母艦ザンジバル級を建造した。
それまでのムサイ級、ガウ級に比べて、同一艦で大気圏内外で活動できるザンジバル級は、
特に宇宙からの降下作戦において、MS単独ではなくあるていどの補給源となることと、大火力を
有することで非常に有効な艦であった。
この成功で気を良くしたジオンは、次世代の母艦の建造に着手した。
それがこのオーディン級一番艦「オーディン」である。

この艦はそれまでのジオンの全ての技術を取り入れた画期的な艦となった。
まず、ジオンで初めてミノフスキークラフトの使用により、大気圏内で低速で行動することが
可能となった。また単独で大気圏突入と離脱が可能である。

また、MS運用には十分なカーゴスペースが必要であることから、船体の大きさはザンジバル級より
はるかに大きく、グワジン級に匹敵する大型艦となっている。
この時期のジオン宇宙艦隊は、徐々に制宙権を失いつつあり、このような敵前降下を行う場合には
脆弱な艦では不可能であるとの判断もあった。
また、この艦は船体のかなりの部分がジェネレータにあてられている。そのため、非常に大型の
艦になってしまったのだ。

そのジェネレータの出力はIフィールド発生器のためであった。
オーディンは、連邦のマゼラン級、およびMSの搭載するビーム兵器の中を突破、降下するため、
Iフィールド発生器を搭載している。オーディン用に開発されたIフィールドは、後にMAにも搭載された。
そう、ビグザムである。ビグザムに搭載されたIフィールドは、MAに搭載されたため、わずか10分という
短い活動時間であったが、それでもソロモンでの活躍は、もはや伝説と呼んでも良いほどであった。

オーディンには、他にも有線サイコミュ、拡散ビームなど、MA用兵器の実験機としての機能を
併せ持ち、一種の超大型MAと呼んでもさしつかえないほどの強力な武装と機動力を有している。
かの、ドズル・ザビにも、「オーディン量産の暁には、連邦などひとひねりにしてくれるわ!」と言わしめたとも
言われているが、あまりに建造にコストがかかりすぎるオーディン級はついに1隻しか作られる
ことは無かったという。