Qu'est-ce que Renault twingo m'impresse?
(トゥインゴファーストインプレッション)

2・とっても便利なイージーシステム

 トゥインゴといえば,なんと言っても「イージーシステム」が有名です。知らない人のために説明しておきますが,イージーシステムとは,クラッチペダルを踏まなくても自動的にクラッチが切れたりつながったりするという「自動クラッチ制御システム」のことです。つまり,イージーシステムを持ったトゥインゴには,クラッチペダルが存在しないのです。でも,基本的にはマニュアル車ですから,シフトレバーはちゃんと存在します。このマニュアルとオートマとの間を取ったユニークなシステムがイージーシステムなのです。

 誤解を招かないように言っておきますが,トゥインゴは基本的にはマニュアル車です。そして,日本に正規輸入されているグレードには完全マニュアルの「パック」と,イージーシステムを搭載した「イージー」の2種類があります。ですから,同じトゥインゴでも「パック」には,イージーシステムは搭載されていません。ここに書くことはすべて「イージー」のインプレッションですので,あしからず。


オートマ車のようにクラッチペダルはありません。でも,シフト操作はちゃんと行います。

 さて,では,どうしてイージーシステムが便利なのかというと,先ほども書いたとおり,クラッチペダルを踏まずに,自分の思い通りのシフトワークが楽しめるという点にあります。日本では「オートマでなければクルマじゃない」くらいのオートマ万歳文化ですが,ヨーロッパではクルマのほとんどはマニュアルです。ヨーロッパの小型車は,アクセルワークとシフトレバーを操作して自分の思い通りにクルマを操るのが楽しいのです。その楽しさを保ちながら,面倒なクラッチ操作がいらないのですから,これは女性でも楽に運転できます。今回,トゥインゴを買うに当たっていちばんに考えたのは,妻でも楽に運転できるかということでした。そういう点でマニュアルの楽しさを失わず,操作が楽に行えるイージーシステムというのは,僕たちにとってぴったりの選択だったわけです。

 ただし,ここで注意しなくていけないのは,イージーシステムはイージーなシフト操作のシステムではあっても,決してセミオートマではないということです。確かに,イージーの場合はオートマ限定免許の人でも乗れるようですが,実際に行っているのは結局のところシフトワークであり,クラッチワークであります。イージーの場合は,人間が行うべきクラッチワークを機械が自動的に行ってくれるだけで,クルマ自体にはきちんとクラッチが存在するのです。ですから,きちんとしたシフトワークを行わないと,クラッチがうまく切れずに,ぎくしゃくしたシフトチェンジになってしまいます。こうなると,クラッチ自体が極端にすり減ってしまうので,クラッチの寿命がかなり縮むことになりかねません。ですから,やはりイージーに乗るには,ある程度シフト操作の感覚を持った人でないと安心しておすすめできません。

 僕の場合は,前にイタリア車のフィアット・パンダに乗っていたこともあり,ヨーロッパ車独特のシフト感覚にはすぐに慣れることができました。実際,ディーラーに試乗に行ってすぐに慣れたくらいです。エンジン音を聴きながらだいたいの回転数を体で感じ,ここぞと思うところでひょいとアクセルペダルを戻して,シフトをチェンジする。それだけで,自動的にシフトが変わってくれるこの感覚は,ほかのどのクルマにも見あたらないような便利さと楽しさを持っています。坂道発進も楽勝です。クラッチを気にする必要がないので運転にも余裕ができ,その分カーブを曲がる楽しさや,風景を味わうゆとりも生まれます。かと言って,オートマほど発進や加速がかったるくないので,ある程度自分の好きなようにエンジンを回すことができるのも利点です。高速でも眠くなりません(笑)。とにかく,便利で楽しいシステムなのです。


クラッチワークを気にせずに,思い通りのシフトワークが楽しめるのが,イージーのよいところ。

 ただし,イージーにも泣き所はあります。その1つが,やはり機械まかせのクラッチワークのため,多少ギアが入りづらいことがある点です。イージーシステムは,速度や回転数,アクセルタイミングなどを考慮して,自動的にクラッチが切れるという仕組みらしいのですが,とっさの反応などにはやや弱いところがあるようです。たとえば,急なカーブを曲がるような場合に,4速から3速,さらに2速へとシフトダウンします。このとき,急激に速度を落とすと,マニュアル車では3速を飛ばして4→2速へのシフトダウンなども行いますが,イージーではそういう急激なシフトダウンには対応し切れません。あくまでも,ゆっくりと正確につなげていく,という感覚が求められます。そのため,加速の感覚がトゥインゴ流に矯正されていくような感じさえあります。でも,この加速感がまたたまらない感覚を持っているので,やっぱり病みつきになってしまうのです。ハイテクを駆使しながらも,かなり感覚的に操作できるという,このアナログな感じが何ともラテン的で良いのです。


前に戻る