Qu'est-ce que Renault twingo m'impresse?
(トゥインゴファーストインプレッション)

3・ふわっと柔らかいサスペンションとシート

 トゥインゴに限らず,フランス車はサスペンションが柔らかいといわれています。一説によると,フランスの道はかなり舗装状態が悪く,都市部では石畳によるゴツゴツ感が絶えずあり,田舎では街路樹が舗装道路を盛り上げるほどに根を張っているせいで,柔らかいサスペンションは必需品なのだという話もあります。本当かどうかは知りませんが,石畳を毎日歩くパリジャンには痔持ちが多いそうで,そのあたりもクルマのサスペンション作りに影響を与えているとかいないとか。

 こうした話がどこまで真偽性があるのかはわかりませんが,とにかくシトロエン2CVの頃から,フランス車は柔らかいサスペンションを独自の持ち味としてきた歴史があります。そして,その伝統は今でもしっかりと息づいているのです。さすがにハイドロを搭載したシトロエンとまではいきませんが,トゥインゴのサスペンションもかなりの柔らかさを持っていると僕は思います。以前に乗っていたパンダに比べると,本当に雲泥の差というか,まったく異種の乗り物に乗っているという感じです。

 では,具体的にどんなふうに柔らかいのかというと,まさに「ふわっとした乗り心地」という言葉がぴったりかもしれません。サスペンションがよく動いて路面からのショックを吸収し,ふわっと走り抜けていく感覚は,フランス車独特のものです。よく言われているような,シトロエンの「宙に浮いているような感じ」や,プジョーの「猫足」とは若干違うのかもしれませんが,ルノーはルノーでしっかりフランス車らしいサスのセッティングを持っているようです。このあたりは,足の固いイタリア車とは対照的で,たとえばコーナーを曲がっていくような場合でも,「ロールはするけど姿勢変化はマイルド」とでもいうような柔らかさを持っているのです。スポーツ感という意味では期待できませんが,楽に乗りこなすという意味では本当に楽ちんなクルマなのです。


初期モデルトゥインゴのシート。雲柄のシートは単純にかわいいだけでなく,
意外とふんわり柔らかで,乗り心地もバツグンです。
しかも,シートを全部倒すと簡易ベッドにもなってしまうという多彩ぶりです。

 サスペンションと並んで,フランス車を特徴づけているものにシートがあります。フランス車のシートのできの良さは昔から言われていることですが,確かにふんわり柔らかいシートはお尻を包み込むようにやさしく抱擁してくれます(おいおい)。長距離ドライブでもまったく疲れません。本当に楽ちんな感じです。

 トゥインゴを買う前に,今話題のプジョー206にも試乗しましたが,206のシートはそれほどいいという感じがしなかったのに対し(ハッキリ言って日本車やドイツ車と変わりません),トゥインゴのほうは試乗したときから「このシートはいい!」という感覚がすでにありました。本当は現行モデル(99年モデル)の大きなシートのほうがいいんですが,96年式のやや小振りと言われるシートでも,まったく不満はありません。デザインも雲のプリント柄でかわいく,いつ乗ってもほほえましくなります。

 実はこのシート,これだけではありません。なんと,前席・後席ともにシートを倒すとフルフラットになってしまうのです。日本車ではフルフラットが大流行なので珍しくもなんともないと思いますが,なんの変哲もないヨーロッパの小型車でここまでできるのはトゥインゴだけでしょう。これのおかげで,ちょっとした長旅ならホテルいらず。そのままそこがベッドになってしまいます。うーん,トゥインゴのパッケージングは本当に感心するところばかりです。


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