STEP6
essereを活用して簡単な自己紹介を
〜イタリア語・文法編4〜

名詞と形容詞の基本的な使い方を覚えたら,今度はそれを動詞でつなげてみましょう。
この名詞と形容詞をつなぐ架け橋こそが「essere(エッセレ)」という動詞です。
essereをマスターすれば,表現の世界がぐーんと広がること間違いなし。
簡単な自己紹介や質問もできるようになりますよ。


「essere(エッセレ)」の活用と,人称代名詞を覚えよう

 前のレッスンで登場したessere(エッセレ)という動詞ですが,英語のbe動詞に当たる大変に重要な動詞です。使い方としては「AはBである。」という構文を作る際に「A essere B」という形で使用します。もちろんessereは活用するので,実際にはessereという形では用いられません。それでは,ここで再びessereの現在形活用を見てみましょう。

■essereの現在形活用
人称代名詞活用形人称代名詞活用形
ioSono(ソノ)noisiamo(シアーモ)
tuSei(セイ)voisiete(シエーテ)
lui / leiE`(エ)loroSono(ソノ)

 ここで表の左側に出てきた単語は人称代名詞と言って,英語で言えば「I」とか「You」とか「He/She」に当たる言葉です。ついでなので覚えてしまいましょう。

■イタリア語の人称代名詞
単数人称(日本語訳)イタリア語(読み方)対応する英語複数人称(日本語訳)イタリア語(読み方)対応する英語
1人称単数(私)io(イオ)I1人称複数(私たち)noi(ノイ)we
2人称単数(君)tu(トゥ)you 2人称複数
(君たち・あなたたち)
voi(ヴォイ)you
2人称単数敬称
(あなた)
Lei(レイ)you
3人称単数男性(彼)lui(ルイ)he 3人称複数(彼ら・彼女ら)loro(ローロ)they
3人称単数女性(彼女)lei(レイ)she

 これがイタリア語の基本となる人称代名詞です。これからよく使うことになるので,ここまでは最低でも覚えてしまいましょう。注意しなくてはならないのは,2人称単数の敬称である「Lei」の存在です。フランス語やスペイン語をちょっとかじったことのある人ならすぐ分かると思いますが,ラテン語族の言語では,2人称単に「君」という親しい仲での呼び方と,「あなた」というややかしこまった呼び方の2種類が存在します。普通言うところの2人称単数は「君」にあたるややくだけた言い方になりますが,「あなた」というようなていねいな言い方は何をもって表すのかというと,イタリア語では3人称単数男性の「lei(レイ)」で表します。ただし,この場合は区別するために頭文字を大文字にして「Lei」と表記します。人称的には2人称ですが,文法上の扱いは3人称単数となるので注意が必要です。ちなみに,フランス語では2人称の敬称には2人称複数形の「vous(ヴ)」を使い,スペイン語ではイタリア語と同じく3人称単数の「Usted(ウステ)」を使用します。

 もう1つ注意しなくてはならない重要なポイントがあります。それは,イタリア語では人称代名詞を通常の場合,省略して話すということです。つまり,イタリア語という言葉はいきなり「動詞+目的語」でしゃべっているわけです。最初はとまどうかもしれませんが,動詞がしっかりと活用しているので人称代名詞はなくても,主語は分かるといわけなのです。驚くべき合理性というか,ものぐさというか,でも慣れると結構楽なものですから,とにかく動詞の活用形には早めに慣れるようにしましょう。


Sono」を使って簡単な自己紹介をしよう

 話はessereに戻ります。前レッスンで事物,つまり3人称単数および複数の活用を見ましたが,今回は目を人間に向けて1人称および2人称の使い方を見てみましょう。まずは,1人称,つまり自分を形容する使い方を見てみます。essereで1人称を使うということは「自分は〜である。」という文章を作ることですから,自然と自己紹介や自分の状態を表すことになりますね。まずは自己紹介から見てみましょう。

(io) Sono giapponese.(ソノ ジャポネーゼ:私は日本人です。)
(io) Sono studente.(ソノ ストゥデンテ:私は学生です。)
(io) Sono impiegato.(ソノ インピエガート:私はサラリーマンです)
(io) Sono ingeniere.(ソノ インジェニエーレ:私はエンジニアです)
(io) Sono casalinga.(ソノ カザリンガ:私は主婦です)

 このように「Sono+〜」で,簡単な自己紹介ができます。ここで注意したいのは,私が女の人である場合には,Sono以下の形容詞や名詞も女性形に変化するということです。たとえば,2番目の「Sono studente.(ソノ ストゥデン:私は学生です。)」を女性が言う場合には「Sono studentessa.(ソノ ストゥデンテッサ:私は(女)学生です。)」,3番目の「Sono impiegato.(ソノ インピエガー:私はサラリーマンです。)」は「Sono impiegata.(ソノ インピエガー:私はサラリーマン(女)です。)」と変化します。
 ただし,職業に関する多くの名詞は女性形のまま無変化で使われますし,国籍を表す国名も日本を表す「giapponese(ジャッポネーゼ)」などは変化しません。ちょっと例を見てみましょう。

■職業を表す名詞(ほとんど女性形無変化)
Sono dottore.(ソノ ドットーレ:私は医者です。)
Sono professore.(ソノ プロフェッソーレ:私は先生です。)
Sono pianista.(ソノ ピアニスタ:私はピアニストです。)
Sono segreteria.(ソノ セグレテリーア:私は秘書です。)
■国籍(〜人)を表す名詞(ほとんど無変化)
Sono francese.(ソノ フランチェーゼ:私はフランス人です。)
Sono tedesco.(ソノ テデス:私はドイツ人(男)です。)
Sono tedesca.(ソノ テデス:私はドイツ人(女)です。)
Sono milanese.(ソノ ミラネーゼ:私はミラノ人です。)
Sono fiolentina.(ソノ フィオレンティーナ:私はフィレンツェ人です。)

 一概には言えませんが,こうした名詞に関してはあまり変化しないというふうに覚えておけばいいでしょう。ただし,特に女性は,いつでも頭の隅にこのことをおいておかないと,笑われてしまうこともあるかもしれないのでいちおう自己紹介をするときは気をつけておきましょう。

 自己紹介ができるようになったら,次は自分を形容してみましょう。自分はどんな人間か,今どんな状態かをessereと形容詞を使って表現します。この場合は,当然ながら「私」の性によって形容詞の語尾は変化します。それでは例をいくつか見てみます。

(io)Sono alto(a).(ソノ アルト(タ):私は背が高い。)
(io)Sono basso(a).(ソノ バッソ(サ):私は背が低い。)
(io)Sono ricco(a).(ソノ リッコ(カ):私はお金持ちです。)
(io)Sono povero(a).(ソノ ポーヴェロ(ラ):私は貧乏です。)
(io) Sono stanco(a).(ソノ スタンコ(カ):私は疲れています。)
(io) Sono occupato(a).(ソノ オックパート(タ):私は忙しいです。)
(io)Sono felice.(ソノ フェリーチェ:私は幸せです。)
(io)Sono contento(a). (ソノ コンテント(タ):私は満足しています。)

 形容詞の場合はわかりやすいですね。性に合わせて形容詞の語尾は変化します。もちろん「-e」で終わっているものに関しては変化しません。このように形容詞とessereの1人称単数「Sono」を覚えておけば,最低限の自己紹介はできるようになります。


話し相手に対しては「Sei」か「E`」で質問しよう

 では今度は,先ほどの例文を2人称単数の「Sei(セイ)」を使って表現してみましょう。

(tu)Sei alto(a).(セイ アルト(タ):君は背が高い。)
(tu)Sei basso(a).(セイ バッソ(サ):君は背が低い。)
(tu)Sei ricco(a).(セイ リッコ(カ):君はお金持ちです。)
(tu)Sei povero(a).(セイ ポーヴェロ(ラ):君は貧乏です。)
(tu)Sei stanco(a).(セイ スタンコ(カ):君は疲れています。)
(tu)Sei occupato(a).(セイ オックパート(タ):君は忙しいです。)
(tu)Sei felice.(セイ フェリーチェ:君は幸せです。)
(tu)Sei contento(a). (セイ コンテント(タ):君は満足しています。)

 なんのことはありません。SonoSeiに変化しただけのことです。もちろん,相手の性によって形容詞の語尾は変化します。相手が男性か女性かによって語尾をきちんと変化させましょう。

 さて今度は,同じ2人称でも敬称の「Lei(レイ)」を主語にしてみましょう。この場合は,3人称単数の扱いになるので,essereの活用形は「E`(エ)」になります。

(Lei)E` alto(a).(エ アルト(タ):あなたは背が高い。)
(Lei)E` basso(a).(エ バッソ(サ):あなたは背が低い。)
(Lei)E` ricco(a).(エ リッコ(カ):あなたはお金持ちです。)
(Lei)E` povero(a).(エ ポーヴェロ(ラ):あなたは貧乏です。)
(Lei)E` stanco(a).(エ スタンコ(カ):あなたは疲れています。)
(Lei)E` occupato(a).(エ オックパート(タ):あなたは忙しいです。)
(Lei)E` felice.(エ フェリーチェ:あなたは幸せです。)
(Lei)E` contento(a). (エ コンテント(タ):あなたは満足しています。)

 ここまでできればまず会話において困ることはありません。もちろん「君」や「あなた」に対して,きっぱりと「君(あなた)は〜だ。」というようなシチュエーションはあまりないでしょうから,簡単な疑問形も覚えておきましょう。疑問形と言っても難しくはないのでご安心を。単純に文末に「?」をつけて語尾を上げるだけです。いくつか例を見てみましょう。

(tu)Sei stanco(a)? (セイ スタンコ(カ)?:疲れているの?)
(Lei)E` contento(a)? (エ コンテント(タ)?:満足いたしましたか?)

 このような会話はよく使いますので覚えておきましょう。参考書などでは文法を教えるためにこうした説明はされていませんが,実際には2人称は疑問形で使うことがほとんどと言っていいでしょう。ここで,この例文をもうちょっとイタリア人っぽく言ってみるとこうなります。

Stanco(a), eh? (スタンコ(カ),エ?:疲れているの?)
Contento(a),Lei? (コンテント(タ),レイ?:満足いたしましたか?)

 まあ,これは覚えなくもかまいませんが,こういうふうに聞かれることは多々ありますので。ここまで来ると,もはやessereすら省略してしまいますが,これでは勉強になりませんので,最初から楽をせず,きっちりと文の形にして覚えましょう。


次回はSTEP 7のレッスンです
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