STEP2
もう少し語彙を増やせば気分はもうイタリアン!
〜イタリア語・超入門編2〜

さて,基本的なあいさつの言葉を覚えたら
次はもう少しイタリア語でコミュニケートしてみましょう。
ここに挙げたいくつかの言葉を覚えておくだけでも
イタリア語で話してみれば,気持ちが伝わるものです。
まずはここまで覚えてしまいましょう。
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Buono / Buona
(ブオノ / ブオナ)

 「Buono」はイタリア語で「良い」という意味。英語の「Good」に当たります。前述の「Buon Giorno」の「Buon」もこれが変形したものです。これは直訳すると「良い日」となりますが,別に「晴れた日」という意味ではありませんので,天気の悪い日でも「Buon Giorno」と言います。
 「Good」という意味ですから,会話ではしょっちゅう使います。「そりゃ良かった」とか「そりゃ何よりだ」といった会話のあいずちとしても使いますし,おいしいものを食べたときにも「Buono」と言います(なお,このときに人差し指をほっぺたに当ててグリグリ動かすのがイタリア風)。かなり,応用範囲の広い言葉ですので「Grazie」同様ぜひ覚えて使いましょう。
 なお「Buona」は「Buono」の女性形です。女性名詞に対してはこちらが使われます。たとえば「日曜」という意味の「Domenica(ドメニカ)」という名詞は女性名詞ですが,この前に付いて「Buona Domenica !(良い日曜を!)」というように使います。
 これを見れば分かるように,イタリア語の名詞や形容詞は,語尾が「o」は男性形,「a」に変わると女性形となります。名詞も形容詞も語尾だけを見ればいいのですから簡単ですね。

Bene(Va Bene)
(ベーネ(ヴァ・ベーネ))

 「Buono」が形容詞なら「Bene」は副詞です。こう書くと,文法アレルギーを起こす人もいるかもしれませんので,もっと簡単に言ってしまえば「うまくいった」「調子いいよ」くらいな意味で捉えておいてくれればOKでしょう。英語で言えば「Well」に当たります。
 「Bene」も「Buono」同様,会話でひんぱんに使う言葉ですが,中でも一番よく使う例は「Va Bene(ヴァ・ベーネ)」でしょう。「Va」は英語で言うところの「Go」に当たる言葉で,英語風に言えば「Go Well」となります。「うまくいってる」「調子いい」「大丈夫だ」という感じです。日常会話で単純に「Bene」と言っている場合には,十中八九,この「Va Bene」から「Va」を省略したものです。例を挙げましょう。

 −Giorgio, Va bene ? (ジョルジョ,あんた大丈夫?)
 −Bene, Grazie. (大丈夫だよ,あんがとさん。)

 −Gina, Come va tua macchina ? (やあジーナ,君の車調子はどう?)
 −Tutto bene. (まったく問題ないわ。)

 どちらの例でも「Va Bene」の意味で「Bene」と言っています。ですから,日常会話で「Bene」に出会ったら「うまくいってる」「調子いい」「大丈夫だ」という意味だと思っていれば,まず間違いありません。
 また,初めの例でも出てきましたが「Va Bene ?」と疑問形で使うことは多いです。普通こういわれたときは「平気?」とか「調子はどう?」と聞かれているので,悪くないときは「(Va) Bene. Grazie.(ヴァ・ベーネ グラッツィエ)」とか「(Va) Bene. Anche Tu ?(ヴァ・ベーネ アンケ・トゥ)」(調子はいいよ。君は?)などと答えるようにしましょう。なお,調子が悪いときは「Sento Male.(セント・マーレ)」,悪いと言うほどではないがちょっとすぐれないような時には「Cosi Cosi(コズィ・コズィ)」と答えておきましょう。

Come ?(Come Va ?)
(コメ?(コメ・ヴァ))

 「come」という言葉は英語の「How」や「As」を一緒にしたような言葉で,用法はたくさんあるのですが,大きく分ければ「...のような」という意味の前置詞と,「どんなふうに?」という意味の疑問詞とに分けられます。ここで出てくるのは後のほうです。
 「come」を単独で用いる場合,会話をしているときに相手がけげんそうな顔をして「コメ ?」と疑問形の尻上がりで聞かれることがあります。いきなり言われるとちょっとびっくりしますが,これは「何?」という感じのニュアンスです。要するに「聞き取れなかったから,もう一度言って」という意味の使い方です。
 それと「come」の,もう1つよく使われる用法は「Come va ?」でしょう。先ほどの「Va bene.」と同様に「va」は「Go」 の意味ですから,「Come va ?」はすなわち「How are you going ?」「How do you do?」というような意味なのです。日本語なら「調子はどう?」「元気?」みたいな意味です。受け答えは先ほどの「Va bene」を使いましょう。
 先ほどの「Va bene ?」とも似ていますが,「Va bene ?」が調子が悪そうな人や,困っていそうな人に向かって「大丈夫?」「平気?」「問題ない?」と聞くのに対し(英語で言うと「OK?」「 All Right?」みたいな感じですね),「Come va ?」は通常のあいさつとして使われるので,用法的には大きく違っています。注意しましょう。
 なお「Come va ?」は,礼儀正しい用法ですから,目上の人に向かって言っても平気です。友達の間では「Come vai ?(コメ・ヴァイ?)」と言いますが,「Come va ?」でも別に問題ありません。

Dove ?(Dov'e ... ?)
(ドーヴェ)

 「dove」は場所を聞く疑問詞です。英語でいう「Where」です。
 これに,英語で言うところの「be動詞」に当たる「essere」の3人称単数現在形「e」を組み合わせたのが「Dov'e」です。読みはいづれも「ドーヴェ」なので,それほど深く気にすることはありません。この「Dov'e」に聞きたい場所の名詞を組み合わせれば,その場所がどこにあるか聞けるわけです。英語で言うところの「Where is ... ?」ですね。
 例を挙げましょう。

Dov'e la piazza romana ? (ドーヴェ・ラ・ピアッツァ・ロマーナ?)
 ローマ広場はどこですか?
Dov'e il bagno ? (ドーヴェ・イル・バーニョ?)
 トイレはどこですか?

 簡単ですね。イタリアに旅行に行って場所を聞きたいときには,「ドーヴェ...」と聞けばOKなのです。

Quando ?
(クアンド?)

 こちらは,時間を聞く疑問詞です。英語でいう「When」ですね。
 「Quando ?」だけだと,単純に「いつ?」という感じです。
 特定の時間を聞きたい場合には「Quando e ... ?(クアンド・エ・・・?)」の後に,聞きたい時間の名前を入れ込めばOKです。
 たとえば,

Quando e la partenza di questo treno ? 「クアンド・エ・ラ・パルテンツァ・ディ・クエスト・トレーノ?」
 この電車の出発時間はいつですか?

という感じです。これも簡単ですね。

Quanto ?(Quant'e ?)
(クアント?(クアンテ?))

 「Quando」に似ていますが,こちらは「クアント」と発音します。「量」を聞く疑問詞です。英語でいうと「How much」になります。
 「量」を尋ねる機会はあまりないかもしれませんが,唯一良く口にする機会があります。それは「ものの値段を聞く」場合です。この場合,普通は「Quant'e ?(クアンテ?)」と言います。これは「Quanto e questa cosa ?(クアント・エ・クエスタ・コーザ?)」の略で,直訳すれば「これいくら?」という意味です。街のお店などで,ものの値段を聞くときは,そのものを指さして「Quant'e ?」と聞けば,「ディッチャ・オット・ミッラ・エ・チンクエ・チェント・リーレ」などと長ったらしい数字を並べて答えてくれることでしょう(数字の数え方は慣れしかありませんので覚えましょう)。
 ただし「いくらくらい費用がかかる」というニュアンスの場合は「Quanto costa ?(クアント・コスタ?)」を使います。まあ,旅行に行って聞くような場合には「クアンテ?」で十分でしょう。

Cosi(Cosi Cosi)
(コズィ(コズィ・コズィ))

 「cosi」は英語で言う「so」に当たる言葉です。ですから,単独で用いると「こんなふうに」とか「こんなくらい」といったあいまいな程度を表す意味になります。日本人はこういう表現を多用すると思いますので,なかなか便利な言葉だと思います。
 使い方としては,
(大きさを示すのに両手を広げて)
cosi grande(コズィ・グランデ)
 こんなくらい大きい

Va bene cosi(ヴァ・ベーネ・コズィ)
 これでよし

といった風に使います。結構便利ですので,ぜひ覚えましょう。

 それと「cosi」を2つ並べた「cosi cosi」ですが,これは「まあまあ」とか「それほど悪くはない」といった意味の表現です。英語の「so so」とほぼ同じでしょう。日本語の「まあまあ」よりはやや悪いという感じです。あまり良くないものを和らげて言っているようなニュアンスがあります。
 例を挙げておきます。

−Come va ?(コメ・ヴァ?)
 やあ,元気かい?
Cosi cosi.(コズィ・コズィ)
 まあまあね。

−Buona e la pizza ?(ブオナ・エ・ラ・ピッツァ?)
 このピザおいしい?
Cosi cosi.(コズィ・コズィ)
 まあまあね。

 こんな風に,あまりいい感じではありません。なお,ボディランゲージとしては,手を水平に前に差しだし,左右にパタパタさせながら「cosi cosi」と言うのが正しいやり方です。

Mi Scusi
(ミ・スクージィ)

 日本語で言う「済みません」です。英語で言う「sorry」に当たります。
 イタリア人はほかの西洋人と同じく(それ以上に?)謝りませんが,この言葉は結構ひんぱんに使われます。というのも,「Mi scusi」は「ごめんなさい」と謝まる使い方のほかに,英語で言う「Excuse me ?」に当たる「ちょっと済みませんが」というような使い方もあるからです(語彙的にはこっちが本来なのですが)。ちなみに,「scusi」は「scusare(許す)」という動詞の命令形で「mi」は「私を」という意味の目的詞ですから,まさに「Excuse me ?」なのです。
 例を挙げておきます。

Mi scusi, signore. Dov'e la piazza di napoli ?(ミ・スクージィ・シニョーレ。ドヴェ・ラ・ピアッツァ・ディ・ナーポリ?)  すみませんシニョーレ。ナポリ広場はどこでしょうか?
Piazza di napoli ? Ah, a destra di qui.(ピアッツァ・ディ・ナーポリ? アー・ア・デストラ・ディ・クイ)
 ナポリ広場? ああ,ここを右に行ったところだよ。

 このように,何かを尋ねたり,話しかけたりするときに,ます「Mi scusi」と始めるのがポイントです。日本語の「すみません」に似ていますね。
 もちろん,ごめんなさいの意味もあります。

Eh! Tu e troppo tardi ! Ora e gia sette. (エー!トゥ・エ・トロッポ・タルディ!オーラ・エ・ジャ・セッテ)
 もう,遅すぎるわ!もう7時よ。
Mi scusi Maria. Il treno e tardi.(ミ・スクージィ・マリア。イル・トレーノ・エ・タルディ)
 ごめんよマリア。電車が遅れちゃって。

 このように,事前と事後の2つの使い方があるあたりも,日本語の「すみません」と似ています。「Sorry」と「Excuse me ?」を使い分けない日本人にとってなじみやすい言葉ではないでしょうか。

Permesso
(ペルメッソ)

 この言葉はイタリア語でも特殊な言葉ではないでしょうか。「permesso」とは,直訳すれば「許して,許可して」という言葉ですが(英語で言う「permit me」です),使用法がやや特殊です。英語の「permit」はやや固い言葉ですが,イタリア語の「permesso」はもっと柔らかい気がします。
 この言葉を主に耳にするのは,混んでいる電車やバスの中で自分が降りたいときに,人をかき分けながら大声で
「Permesso !」
と叫ぶ場合でしょう。要するに「ごめんなさいね,ちょっと通してね。」というようなニュアンスの言葉としてふだんは使われます。
 やや特殊な言葉なので,ここで紹介すべきかどうか迷いましたが,前述の「Mi Scusi」との違いに注意してもらえればと思って紹介しました。人にものを尋ねる場合は「Mi scusi」ですが,人を呼んだりする場合には「Permesso」が使われるのです。英語ではどちらも「Excuse me」でしょうが,それだけでは割り切れない世界がイタリア語にはあるのです。

Prego
(プレーゴ)

 実はこれもやや特殊な言葉です。「prego」とは,語源的には「pregare」の1人称形で「頼む」とかそういう意味なのですが,これを使うのは主に人から「Grazie」と言われたときの受け答えとしてなのです。つまり,「どういたしまして」という意味で使われる言葉で,元の意味はまったくありません。「Grazie」と言われたらすかさず「Prego」。これが基本です。

Ho Capito / Non Capisco
(オ・カピート / ノン・カピスコ)

 実は,この言葉は知らないととても困ります。この2つの言葉の元となる動詞は「capire(カピーレ)」で,「理解する」という意味です。「Ho capito」は,この言葉の1人称過去で「分かった」という意味,「Non capisco」は,1人称現在否定形で「分からない」という意味です。それぞれ時勢が違うのがややこしいですが,決まり文句なので1セットにして覚えましょう。
 イタリアに行って,現地の人に何か言われて何を言っているのか分からなかったら「Non capisco」と言いましょう。別に分からないことは恥ずかしくありません。逆に,場所や何かを聞いて,それが分かったら「Ho capito」と答えましょう。もちろん「Grazie」も忘れずに。

Posso / Non Posso
(ポッソ / ノン・ポッソ)

 これは「できる」という意味の動詞「potere(ポテーレ)」の1人称現在形の肯定と否定と形です。つまり「...できる」と「...できない」という意味です。この後に動詞の不定形を付ければ「...できる/できない」ということになります。英語の「can」と同じです(ただし助動詞という概念はイタリア語にはありません)。
 例を挙げると

Posso entrare ?(ポッソ・エントラーレ?)
入ってもいいですか?

Non posso mangiare piu.(ノン・ポッソ・マンジャーレ・ピウ)
もう食べられないよ。

 特に疑問形では,英語で言う「Can I ...?」「May I ... ?」と同じ意味になりますから,いろいろと使えます。ちなみに「May I help you ?」は「Posso aiutare ?(ポッソ・アイユターレ?)」です。
 これと似たようなもので「Vietato(ヴィエタート)」という形容詞がありますが,これは「...禁止」という意味です。美術館や飛行機の中などにはよく「Vietato fumare(ヴィエタート・フマーレ)」と書かれていたりしますが,これは「禁煙」という意味です。注意しましょう。

次回はSTEP 3のレッスンです
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