Galleria di Vittorio Emanuele II
(ヴィットリーオ・エマヌエーレ2世のガッレリア)


ガッレリアの風景
(FIGARO japon 1998 7/5号より)
 ミラノの中心地,ドゥオーモのすぐ左側にあるアーケードが「ヴィットリーオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」,通称「ガッレリア」です。ガッレリアとは英語ではギャラリーの元になった言葉ですが,画廊ではなくて回廊つまりアーケードのことです。アーケードと言っても,日本の商店街のアーケードみたいなものを思い浮かべると見当外れです。ガッレリアとは,大理石でできた5階建くらいの統一された建物の間の路地を,採光まで考えてガラス張りにした美しい屋根で飾ったもので,路面も美しいタイル張りでできています。

 確か,ナポリにも同じようなガッレリアがありますが,それよりははるかに有名です。観光資源に乏しいミラノでは,ドゥオーモ〜ガッレリア〜スカラ座という歩いて2分程度のコースが定番の観光コースになっているのです。ちなみに「ヴィットリーオ・エマヌエーレ2世」とは,19世紀末に統一された現代イタリアの前進となったイタリア王国の初代国王の名前です。イタリアには各地にこの名前を冠した地名があるので,覚えておいて損はないでしょう。

 ガッレリアの中央部分は建物の間を通る道が交差する交差点となっているのですが,天井は円くガラス張りのドーム状になっていて,そこの真下に東西南北を示すきれいな模様がタイル張りで描かれています。ちょうど,教会のクーポラ(丸天井)に似ています。教会と違うのは,ここが一般の公道であって,人の往来がかなり激しいということ。なにしろ,街の中心部にあるので,観光客やら地元のミラネーゼやらで,いつもひっきりなしに人が通っています。ちなみに,ガッレリアの中には,PRADAなど有名なブティックやら高級そうな観光客向けのバールやらが並んでいて,かなり観光地化しています。ただし,ここのバールは値段も高いので,お金があまりないという人は避けたほうが懸命です。ドゥオーモ側からガッレリアをまっすぐ抜けると,スカラ座の前に出ます。

 そんなガッレリアの中の店でよく利用したのが,レコードショップの「Riccordi(リコルディ)」です。Riccordiと聞けば音楽業界の人ならピンと来るでしょうが,オペラや歌曲などの楽譜を作っている版元でもあります。19世紀からある楽譜屋なので,その頃のオペラの版権はほとんどこのRiccordiが持っています。今では,楽譜のほかにCD制作や本の発行なども行っていますが,その本店となるのがこのガッレリアの中にあるRiccordiなのです。ここのCD売り場および地下の本屋はかなり面積が広く,しかもタワーレコードのようなカジュアルな雰囲気なので,楽しいです。時間があったら一度立ち寄ってみてください。

 それと忘れてならないのが,ガッレリアの中央部,ちょうどRiccordiのはす向かいにある公衆電話コーナーです。公衆電話コーナーなんて何がすごいのかと思うかもしれませんが,イタリアの電話事情はめちゃめちゃ悪いので,国際電話をかけられる公衆電話がなかなかなかったりするのです。でも,ここの公衆電話コーナーは,イタリアテレコムの直営なので,かなりの電話の数があって便利です。もっとも半分くらいは壊れてたりするのがやはりイタリアなのですが,ミラノから国際電話をかけようと思ったら,ここに来るのが便利でしょう。クレジットカードでもかけられるはずです。

 そのほか,ガッレリアのスカラ座方面の出口近くには,ミラノ市の観光案内所もあります。ツーリストは利用すると便利でしょう。また,ドゥオーモ方面の出口のところにあるカフェ「Motta(モッタ)」では,お菓子などが割合安く買えます。また,ここのソフトクリームはけっこうボリュームたっぷりでおいしいです。Riccordiの1Fは,以前は「Burghy」という地元のハンバーガーショップが入っていましたが,現在ではマクドナルドになっているそうです。安く早くあげたい観光客には便利かもしれません。ただし,よくスリが出没するらしいので気を付けましょう。


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