とは言っても，この通りはそれほど大きな通りではありません。前出のコルソ・ヴィットリオ・エマヌエーレより道幅も狭い裏通りといった感じです。しかも歩行者天国ではないので，ウィンドウショッピングも道の端のほうを歩いて行わなければいけません。普段は歩行者もまばらで，ミラネーゼでもそれほど頻繁に訪れることはないようです。ここを通るのは，観光客とモデルだけといった印象すらあります。

　このように，ある意味でとても地味な感じのする通りですが，そういった裏通りにこれだけの高級店が店を構えているというのが，ミラノの特徴でもあります。つまり，ミラノのこれら高級ブティックは，だれでもが気軽に立ち寄れるような場所に店を構えていないということで，モンテ・ナポレオーネを歩くという行為だけでも，少し背筋を伸ばして身だしなみを整えてから，といった雰囲気があります。ですから，もし観光に訪れる場合でも，ある程度はそういった心構えをしてから行かないと，ブティックの店員たちに白い目で見られることは確実です。よくミラネーゼは冷たいとか言われますが，こういったブティックで冷たい目にあったという場合は，自分のTPOが適当なものであったかどうかを確認したほうがいいです。イタリア人はTPOをことのほか重視するので，このモンテ・ナポレオーネおよびスピガ通りをウィンドウショッピングする際には，あまりおかしな格好でいくつものブティックの袋をぶら下げながら歩くのはやめたほうが賢明です。