Forza! PANDA

フィアット・パンダとは?
(Que cos'e FIAT "Panda")


 フィアット・パンダとは,イタリア生まれの小型乗用車「FIAT PANDA」のことです。

 エンジンは排気量わずか1000ccしかない小さな車です。イタリア車の中でも,もっとも安い車です。

 イタリア車ですから,よく壊れます。おまけに音はうるさいですし,パワステなんてものはありませんから,ハンドルも重い,いわゆる「オモステ」です。ちなみに,僕のパンダは古いのでパワーウィンドウもなければ,エアバッグももちろん付いてません。当然ながら,カーナビなんてものは存在しません(付けたくもないが...)。

 そんな悪いところを挙げれば切りのないパンダですが,それを上回る良さがあるのもまた事実です。そのパンダの素晴らしさを知ってもらうために,このページを作りました。


うるさい...けれどよく回るエンジン

 パンダのエンジンはかなりうるさいです。僕のパンダが古いせいもありますが,エンジンが回っている最中は,いつもより知らず知らずのうちに大声で話をしていたりします。カーステレオのボリュームも大きくせざるをえないので,エンジンを切ったときなどそのうるささにびっくりすることがあります。この音を聞くと,昔,子どもの頃に見た米の脱穀機のエンジン音を思い出したりもます(育ちが田舎なもので...)。とにかく,今の車に比べたら相当うるさいです。

(パンダのエンジンルーム。エアクリーナーの下に
FIREエンジンがちょこんと収まっています)
 こんなうるさいエンジンですが,内燃機関が本来持つ機械の鼓動を直接伝えてくれるという意味では,とても分かりやすいいいエンジンです。何しろ,エンジンの音を聞いているだけで今日の調子が分かるのです。よく,雑誌などで,エンジン音のサウンド云々...といった記事がありますが,パンダのエンジンサウンドは分かりやすさではピカ一なのではないでしょうか。音がうるさいときは,まだエンジンが暖まっていないときや,オイルが不足がちなとき。静かになれば,エンジンは相当に暖まって絶好調です。オイルやガソリンを入れるだけでも,音がかなり変わります。素直な奴です。

 燃料が少なくなってくると何だか機嫌が悪くなります。ガソリンを入れてやると,たちまち静かになったりします。まったく素直というか何と言うか,本当にイタリア生まれのイタリアっ子です。憎めません。

 このエンジン「FIREエンジン」と言って,「全部ロボットで組み立てたエンジン」という意味の英語の頭文字を取ったものなのですが,僕には「熱くなるぜ!ファイアー!」のほうがしっくりくるように思えます。

 とにかく,よく回ります。タコメーターが付いていないので分かりませんが,いつも限界近くまで回っている気がします。当然ながら,かなり熱くなります。おまけにラジエーターが小さいので,すぐに水温計が100度を越えます。

 でも,パンダは回してやればやるほど元気になります。どういうわけかは分かりませんが,回してやるほどエンジンは静かになり,スムーズになります。うるさいですが,どうしても回したくなってしまいます。これぞ,まさにイタリア流・車の正しい乗り方だと僕は思ってます。


重い... けれど楽しいステアリング

 パンダのステアリングは確かに重いです。最近の新しいパンダは比較的軽いですが,うちのパンダは古いせいか,「めちゃ重」です。パワステなんて当然ついてません。急なカーブを曲がるのには,ちょっとした力が要ります。

(パンダの運転風景(ステアリングはmomoですが)。
これをひょいっと切るとひょいっと曲がります)
 それでも,カーブを曲がれば,ヒョイッとハンドルが元に戻るのが,いや,戻ろうとするのがパンダのステアリングの楽しいところ。タイヤがやや太めのせいもあって,どこまでもまっすぐに走ろうとするのです。これにブレーキとクラッチを巧みに使ったアクセルワークを組み合わせれば,何だか楽しくカーブを曲がれます。ぐうっと減速しつつ,ぐいっとハンドル切って,曲がったところでアクセルゴー!ハンドルをヒョイっと戻せば,くるっと曲がります。

 僕はパンダに乗ってから,かつて教習所で習った「スローイン・ファーストアウト」の本当の意味が分かったような気がしました。要するに,パンダは性能があまりよくない(余計な機能がない)ので,逆にドライバーの技術が問われる車なのです。車の性能に寄りかからない,ドライバーに必要な本当の技術とは何かを教えてくれる。そんなパンダの真っ正直なステアリングがとても好きです。


四角い...けれど丸いキュートなデザイン

 そして,最後にデザイン。これは,かの有名なカーデザイナー・ジウジアーロによるデザインなのです。ジウジアーロと言えばランボルギーニやVWゴルフなどのデザインで世界中に知られている超有名工業デザイナーですが,パンダも実は彼の手による作品なのです。

 別にデザイナーが有名だからとかそういうわけでパンダのデザインがすぐれているというわけではありません。パンダは一見すると別にどうということもないデザインのような気がします。日本の小型車に似ていなくもありません。

 ですが,よく見てみると,何とも味のあるデザインなのです。見ているほどに引き込まれる飽きのこない,それでいてシンプルなデザイン。まさにジウジアーロマジックです。

(パンダの丸く切れ上がったお尻。
4駆パンダのほうがリアのお尻の跳ね具合が
何となくいい感じだと思います
 まず,その構成がほとんど直線であることにまず驚かされます。とにかく,徹頭徹尾,直線にこだわったデザインと言うか,パンダの中で丸いのはタイヤくらいなものです(当たり前だ)。ここ数年で車は丸い方向へとどんどん進んでいっているようですが,そんな時代にあって,パンダの直線を軸にしたデザインは逆に新鮮に見えます。

 ゴルフやミニも悪くはないのですが,パンダの直線美にはかないません。フロントガラスも平面ガラスを使用してますし,フロントグリルのフィアットのエンブレムももちろん直線です(これはたまたま...)。インテリアでも,コンソールパネルは直線的ですし,あちこちに直線を配したいさぎのいいデザインは拍手ものでしょう。

 この直線デザインの中にあって,やはり車の中核をなすタイヤの丸さが目を引きます。また,ほんの少し丸みを帯びたボディの角の部分が(いくらパンダでも角までとがってはいません),これとは直線的なボディと対照的に丸さを引き出されて見えるのです。この辺りが四角いけれど何となく丸くキュートに見える,不思議なパンダのデザインの魅力なのかもしれません。とにかく,僕はこのデザインにぞっこんほれ込んでこの車を買ったわけです。


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