Hugo Diaz
(ウーゴ・ディアス)

Hugo Diaz en Buenos Aires
(ブエノスアイレスのウーゴ・ディアス)

ビクターエンタテインメント - JAPAN/ 1999
4,100円(税抜)

 ウーゴ・ディアスという人は,アルゼンチンタンゴ界では「伝説のハーモニカ吹き」といわれる人物である。なにしろ,あの小さくて単純な楽器だけを武器に,彼はアルゼンチンタンゴのコラソンを十二分に表現できる。その演奏はエネルギッシュで情熱的。CDに納められた録音では,彼のハーモニカの音色だけでなく,その息づかいやうなり声までが同時に彼の演奏を盛り上げている。彼がハーモニカに送り込む一息一息には驚くほどの力が満ち満ちているが,と同時に,震えるほどの繊細さをも併せ持っている。ハーモニカという楽器がこれほどまでに表現力豊かな楽器だったとは,誰もが気づかなかったのではないだろうか。そう思わせてくれるほどに彼の演奏はすばらしく,そしてタンゴ的なのだ。僕も8年近く前にこの人の演奏を初めて聴いたときはかなりのショックを受けた。ピアソラもいいが,たまにはこういう泥臭い生の音がするタンゴを聴いてみると新鮮な気持ちになれるはずだ。

 このCDは,ウーゴ・ディアスが世に残した4枚のレコードのうち,3枚分を2枚のCDに納めたベスト版に近い形の復刻版だ。2枚組で4,100円という値段はタンゴとしては高いほうだが,ウーゴ・ディアスのタンゴを聴いたことのない人になら,この価格は決して高くはない。収録された演奏は,すべてピアノとギターが伴奏に付いた形のトリオ編成で行われている。通常,タンゴといえばバンドネオンがリード楽器となるが,ここではバンドネオンは入らず,すべてを彼のハーモニカがリードしている。演奏されている曲目は古典ばかりだが,ギターとハーモニカの掛け合いや,ピアノのバッキングなど,すべてに渡って,古き良きタンゴが持つ生の良さを感じさせるものだ。最近どうもモダンタンゴは食傷気味で…,という人や,古典タンゴあるいはトリオ好きな人ならぜひ聴いてみてほしい。(2000/Mar/15)


TRACK(2枚組)
Disk ADisk B
1.El Dia Que Me Quieras1.Cafetin de Buenos Aires
2.El Lloron2.Sus Ojos Se Cerraron
3.La Uktima Curda3.Pedacito de Cielo
4.UNO4.La Casita de Mis Viejos
5.Inspiracion5.El Adios
6.Palomita Blanca6.Rondando Tu Esquina
7.Milonga Triste7.La Mariposa
8.Amurado8.Patotero Sentimental
9.Sur9.Fumando Espero
10.Malena10.Lejana Tierra Mia
11.Nostalgias11.Alma de Bohemio
12.Recuerdo12.La Cumparsita
13.Mi Noche Triste13.Adios Pampa Mia
14.El Ultimo Organito14.Pero Yo Se
15.Taquito Militar15.La Purpera de Santa Lucia
16.Slibando16.Siga El Corso
17.Yo Te Bendigo17.Vida Mia
18.Suen~o de Juventud18.Milonga para Una Armonica