『Riddle』

　一体何なのかしら？今までに感じたことのない、胸の痛み。きゅっと心臓が締め
付けられるような感じ。切なくて、切なくて・・・それでいながらわき上がるある
種の高揚感。私が私でないような感じ、でもはっきりと私を感じる。どうしてこん
な気持ちになるのだろう？
　いつからかしら・・・？胸の奥でちくちくと痛み始めたのは？そして、自分の気
持ちに気づき始めたのは？知らないうちにちくちくだった痛みはずきずきと痛みを
増してくる。最初は特に意識はしなかった・・・というよりも考えたくなかった。
でも、知らない間に私は彼を目で追う。彼が視界に入ることで安心感を得ていた。
ちょっとしたことでも気になる。そして、彼の一挙一動を見守る。初めて彼を見た
ときから特別な感情が生まれていた。
　勇気を振り絞って、彼に私をアピールする。廊下でぶつかってみたり、間違い電
話をいれてみたり・・・。あなたは私を知っているの？彼の写真に話しかけてみる。
彼を遠目から撮した写真はただただ微笑んでいるだけ。こんなにあなたのことを想
っている女の子がいるんだよ・・・。
　彼が他の女の子と楽しそうに話しているのを見るのが最近とても辛い・・・。私
も彼ともっとお話がしたい・・・、そう思うことはできるけど、でも彼に話しかけ
ることができない。悔しさがこみ上げてくる。
　彼の写真を見ながら考える、あなたは私の気持ちに気づいてくれているのかな？
写真を人差し指で、こつん、とつつく。笑ってばっかりじゃなくて答えてよぉ・・・。
　カレンダーを捲る。もうすぐ３月。もうすぐ卒業・・・。月日の立つのって早い
のね・・・。結局私は何もできなかった・・・。このままじゃ、結局何もかわらな
いね・・・。また写真に向かって話しかける。
　このままじゃなにも変わらない。最後の勇気が欲しい。もし、だめだったらどう
しよう？このままの方がいいんじゃないの？失敗したら・・・？ううん・・・そう
いうことじゃなくて。遠くにいることは簡単、でもそれだけじゃなにも変わらない。
失敗を恐れていてはなにも変わらない。神様、私に勇気をください。彼の写真の入っ
た写真たてをパタンと倒す。
　勇気を出して伝説の樹の下で・・・・。

・・・・・一目惚れを信じますか？

　自分の中に目覚める不思議な気持ち、人それぞれが感じる不思議。人が人を好き
になる気持ち。それは、永遠のriddle...........