CANOUPUS MTV2000
電器店でカラーテレビを見ると、一般のブラウン管テレビでは、下は1万円から上は20万円台まで価格帯は豊富にそろっているが、画質も様々。
そのテレビには電源部と、チューナー部とブラウン管部に分かれるが、MTV2000はそのうちのチューナー部をパソコン用に作った物と思えばよいが、同梱のソフトを使えばテレビ録画やビデオ録画/編集もでき、もちろん予約録画だって可能なのだ。
テレビは映像を映す時代から、ビデオデッキの登場で録画して見るに、さらにパソコンを利用して編集して見る時代に移り変わってきた。もちろん、手軽に持ち運ぶことができるビデオカメラは、”映像を撮る”という行為を、プロの世界から大衆の物へとした。

このように、映像の世界は急速に利用範囲を広げてきたが、パソコンというデータを扱うことに関し、ずば抜けた能力を持っている機械は、この映像の世界までも、ぐっと身近にしてしまった。

従来、テレビが、ビデオデッキが、編集機材があってできたことが、パソコンに一枚のカードと、少しばかりのソフトをインストールするだけで、そのすべてが手軽に利用できる環境になる。

前置きが長くなったが、MTV2000はアナログタイプのTVチューナーというのが基本。しかし、このジャンルの商品でトップクラスに君臨するだけに画質も、装備も、機能も充実している。
ゴーストリダクション機能、3次元Y/C分離回路など、いわゆる最高級テレビが持つ機能を備えているし、さらに、このカードの入力系統は大きく2つあって、アンテナ線入力とコンピポジットorS端子入力にも対応している。
アンテナ入力は当然として、コンポジットorS端子入力はまさにビデオカメラ映像の入力として使えるし、ビデオデッキと接続すれば、昔VHSビデオで撮った映像もパソコンに取り込めるということ。えっ、DV入力ができないって、それは後で解説します。

あぁ、ここで言っておきます。現在のパソコン用TVチューナーは、ただ映像をモニター上に映すだけではなく、ハードディスクなどにその映像を保存する、録画機能を備えているので、パソコンをビデオデッキとして利用できます。ハードディスクレコーダーを買わなくても大丈夫と言うわけだ。

また、少し注釈をつけておきたいことがあります。それは、テレビやビデオなどのアナログ画像を録画しようとすると、MPEGというデジタルに変換する必要がありますが、低価格TVチューナーはそれをソフト変換しているため、CPUに相当の能力がないといけません。そのため、悲しいかな、非力なCPUパワーでは高い解像度での録画はできません。
MPEG変換専用のチップを採用した物だと,CPUパワーに頼ることなく作業を行いますので高い解像度で録画できるのですが、その分TVチューナーカードの代金は高くなると言うわけです。

ここで二者択一を迫られます。つまり、「高い解像度で録画・編集したい」か、「いやいやテレビが見られれば十分です」か、の選択だ。前者を取るなら変換チップ=ハードウェアエンコードタイプのカードが必要です。

MTV2000以前にはNECの地上波TV&データボード PK-UG-X017を使っていたのですが、OSをWindows98SEからMeへ変更するまでは何でもなく使えましたが、、Windows2000に変えたら使えなくなった。これは大きな誤算でした。
テレビを観ることが出来ない状態が暫く続きました。で、どうせ新たに購入するなら観るだけではなく高画質録画が出来る商品、当然前者のハードウェアエンコードの商品の中から選択することにしましたが、価格的には幅が広く熟慮を重ねていると、MTV2000の決定的な購入動機が有りました。それは”直接DVD-RAMに録画可能”という機能です。

データの記録メディアとしてDVD−RAMを使っている私にとって、同じ機材にビデオ録画できるというのは好都合で、一旦ハードディスクに録画した物をディスクに記録するという手間を省けるからだ。
DVD-RAMのデータ転送速度は結構高く1,385KB/sもある〜CD-Rでは9倍速相当。しかし、これはDVD規格で言うところの”等倍速”なので、DVD-RAMへの書き込みには、録画したのとほぼ同じ時間がかかると言うこと。この時間を省いてくれる機能は、他製品には無いので、大きなアドバンテージだ。

では、やっと装着に入ろう。カノープスというメーカーは、信号ノイズに関して並々ならぬ気を配るメーカーのようで、PCIバスへのカード取り付けの際、ゴム製のひも状テープ装着をするようにしている。これがうまく装着されないと画像に縞状のノイズが入るという。
装着の後はドライバーのインストール、手順は説明書通りにすれば特に問題はない。Mediacruiseという専用ソフトで操作されるが、VIDEOもMUSICもTVもMediacruiseで行われるため、慣れないうちはちょっと戸惑うばかり。

特に、画面上のリモコンは、一部のボタン表示が小さく、私のように老眼がかかっている者にとってはちょっとばかり見づらい物がある。

DVD-RAM片面4.7GBというディスク容量は、約2時間※のテレビ番組録画を、VHSを遙かにしのぐ画質で録画できる。しかも、ディスク録画なので見たい場所から見ることができるのは、他のDVDビデオ同様の利便性があります。
※解像度720×480ドットで、ビットレート5bpsの場合。解像度又は、録画ビットレートを下げれば、更に長時間録画ができる。

以前使っていたNECのPK-UG-X017、これに比べると画質はパッと見、劇的な向上とは行かず、PCでのTV視聴独特のコントラスト、輪郭の甘さは否めないが、よくよく見ると映像の立体表現とカラー変化は滑らかだ。
少しばかり期待したほどまではなかったが、これはPCモニターの特性と言うことで諦めなければならないが、番組録画してみると、その落胆は一掃された。

録画ビットレート※を調整できるが、4.7GB DVD-RAMに約2時間録画できる5Mbitで録画すると、動きが速いスポーツ系では一部櫛状に画像が乱れる事はあるのだが、おおむね内容は把握できる状態。ちょうど、取り付けた時期が、ワールドカップサッカーが有っていたので、日本戦と決勝戦のすべてを録画し、DVD-Rに収めたが、動きが早いアップの画像ではちょいと苦しい。F-1も、カメラ固定で捕らえていると、横の動きではやはり櫛状に流れてしまう。

ただ、このような動きのあるスポーツ系を綺麗に録画したいときは、画質設定を標準ではなく、”高画質”にする事で改善される。同時に時間は短くなるが、ハードディスクに保存しておくのならば問題ないはず。これをDVDディスクに保存しようとするならば、録画時間によっては次世代のDVD〜多分24GB超になってからになるだろう。

では、動きが少ないドラマではどうだろうか、これはGOOD!です。元々リアルタイムでの画質がテレビ同等ではないので、と言うことも関係するが、録画後の映像を再生すると、リアルタイムで見たのと遜色ない画質で見ることができる。
※録画ビットレートとは、映像情報の量がどれだけあるかと言うこと。ビットレートが高いとそれだけ情報量が多く、画質が良くなると言うこと。同時に記録容量も増えるため、容量に限りがある場合、録画時間と画質はトレードオフの関係にある。

その、録画した物をPCで再生し、テレビで視聴するとそれほどの遜色はなく「良いじゃない」である。もちろん、VHSテープに録画した物とは比較にならない程良いのは言うまでもないし、見逃した部分から再生し見ることができるのはPC、あるいはディスクメディアならではで、VHSでは不可能な再生方法だ。
そこで、もう一度スポーツ系の録画はというと、再生をテレビで見ると櫛状に流れることはなく普通にちゃんと見ることができる。これはテレビとPCモニターで、画像の表示方法が違うこと、が原因だ。
だから、櫛状になるとはいえ、それが気になるならば再生映像はテレビで見れば解決できるわけだ。

更に、「まあドラマの内容が分かればいいや」程度の画質、320×240ドット(3.5インチ程度)ならば4時間を超える録画が可能だし、ハードディスク録画ならばもっと長時間の録画が可能。
画面上でオーバーレイすれば別の作業、たとえば表計算するとか、テキストを作成するとか、HPを作るとかの仕事をしながらリアルタイムでテレビを視聴する事も可能である。

コンポジット又は、S端子入力を利用することでビデオカメラの録画再生もパソコン上でできる。
しばらく前に、DV編集にチャレンジしようと、ビデオ編集ソフトを購入し、IEEE1394カードも導入して、「さあ録画しよう」と、意気込んでみたが、結果を見て愕然とした。DVを再生し、パソコンに取り込んで再生すると、とても「これがデジタル?」と、疑いたくなるほどに画質低下が大きく、一気に編集の気力を無くしてしまったものだ。

ところが、MTV2000でDV画像をS端子経由で取り込み、そのデータをCD-Rに焼いてみると、若干画質が落ちる物の十分鑑賞に堪え、それはソフトを用いたDV編集よりも格段に良い画質である。あれは何だったのだろう? DV編集ソフトに怒りさえ覚える画質です。
やはり、デジタルをソフト変換する物と、ハード的にMPEGを専用チップで変換する物との性能が違うと言うことの証明だろう。

まあ、テレビとしてみれば限度を感じる物の、いったん録画した物を再生するとMediacruseの操作性が気になるところ。
フルスクリーンで再生中、CMが入るたびに画面を小さくし、Mediacruiseを操作して早送りする。これはいささか面倒。
それを解決するのはCRM-1という、別売りのリモコン。これを利用し、ソフトの起動から再生までリモコンから操作すればフルスクリーンのまま早送り操作ができる。
チャンネル変更も、録画も、ファイル操作もほぼリモコンから操作できるので、これは必要アイテムだろうし、なぜ?最初っから付いていないのか、付いていない方がおかしい。

以上いろいろ、話が飛びながらMTV2000の使用記をまとめてきましたが、書いてきた以外にも予約録画、タイムシフト録画/再生もできます。この時がPCのスペック上一番負荷が掛かる訳ですが、高画質での録画/再生時、Pentium III 866MHz以上となっている。
低価格TVチューナーで割り切るか、中途半端なTVチューナーで後悔するか、それともMTV2000で満足するかはこれをお読みになった方の決断だ。

比較参照記事
NEC地上波TV&データボードPK-UG-X017
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