学生の方はすでに夏休み、社会人ももう間もなくまとまった休暇が取れるでしょう、そこで好きなバイクでロングツーリングを計画している方も居られるんじゃないでしょうか。
今回の特集ではツーリング初心者の方中心に、予定の組み方と注意点をアドバイス。

1.日程・旅程の組み方
  一般路と高速利用とで変わってくるが時間当たりの移動距離の目安は下記の通り

一般路のみ
単独行動(3人以下) 平均速度40km/hで計画
集団行動(4人以上) 平均速度35km/hで計画
高速併用
単独行動(3人以上) 高速区間80km/hで計画
集団行動(4人以上) 高速区間70km/hで計画

3人と4人では随分変わる。3人なら先頭と最後尾は10〜15m以内に収まり信号の変わり目になっても何とか一緒に行動できる。しかし、4人目になると20m位の差となり先頭が黄色で進入すると最後尾は赤信号に変わる。4人になると信号で引っ掛かりやすくなる分平均速度が落ちるので、行動計画には余裕を持つ必要があります。

同様に高速を利用しても車両(自動車、特にバス・トラック)の影に入ると道路幅が広いためミラーでの確認が難しくなることもあり、高速だからと安易に計画しないことだ。

また、ツーリングに慣れていない内の乗車時間は6〜7時間以内に抑えておきたい。夏場は気温が高く体力の消耗が激しく、ツーリングでどれ程疲労するのかの目安が付かないと思う。夕刻7時頃の、まだ薄明るい時間帯までに家に帰り着き、食事も自宅か自宅近くで済ませるくらいのつもりで計画すると良いだろう。少し物足りないかもしれないが、体力の残り具合で次のツーリングで距離や時間を延ばせばよいわけで、初めてのロングツーリングで「疲れて懲りた」だけは避けたい。

休憩も重要で、1時間おきは短いとしても連続走行は2時間以内に抑え休憩時は水分を必ず補給しましょう。
汗をかいて水分を補給しないと、血液濃度が上がり(血行が悪くなる)頭痛がしたり、思考力が衰えたりする原因になり、これが原因で事故を起こしてもつまらないし、体力を余計に使ってしまうので水分補給に心掛けよう。因みに糖分の多いジュース、コーラよりポカリスエットやエネルゲンなどのバランス飲料の方がリフレッシュ出来るようだ。

2.服装他
暑いと思ってTシャツでツーリングに出かけるのは絶対に止めよう。そうして出かけた日の夜寝付けないのはツーリングの疲れではなく「日焼けと皮膚の乾燥」によるもの。
暑いと汗が出る、露出した肌に風が当たると片っ端から蒸発し、体温を低下させる汗の役割が無くなってしまうし、直射日光のとりわけ紫外線を浴びるので脱力感が出る。また、乾燥した皮膚は呼吸が出来なくて疲れを増す要因となる。こうして体が火照った状態になるから寝付けないのである。
それを防ぐには肌を露出しない服装をすることだ。

下はTシャツでも良いし、上は綿/ポリエステル等、混紡で出来たジャンパーが良いでしょう。ポリだけだと汗が貯まるし、綿のみだと汗が乾きにくい。経験上、綿で吸収した汗を適当に取り込んだ風で汗を乾燥させる混紡が丁度良いようです。手首もきちんと止られるような物がベストです。

靴はスニーカーでも良いのですが、出来れば専用のレーシングシューズかスニーカー風のライディングシューズが良いでしょう。要は底が固いシューズの方が足つきが楽で停止中のバイクも支えやすいのです。
特に女性は同身長の男性より足のサイズが小さく(つま先立ちになりやすい)バイクの重量対体重差が大きいので体力的に厳しい物があり、足元には充分気を配りたい。

3.ヘルメット
男女問わずフルフェイスヘルメットをすすめます。ジェット型は確かに顎付近の通気性がありフルフェイスよりも良いように思われますが、逆にその通気性が目の乾燥や虫の進入を引き起こす。
もっと注意しなくてはいけない事、それはコンタクトレンズ使用の方は絶対フルフェイスを選択すべきです。
ジェット型の場合入ってきた外気にコンタクトレンズが浮き上がり紛失してしまうことがある。特に景色を見ようと首を横に向けたときシールド内で空気が乱れた時に外れやすいようです。フルフェイスでもシールドを開  けたまま走ると同様のことが起きるので注意が必要です。

4.グループツーリングでのマナー他
・リーダーとスイーパーを決めよう
リーダーは先頭を走る人、常に後続の仲間をミラーで観察しつつ道順、信号の変化に気を配る事。
スイーパーは最後尾を走り集団に遅れた人を連れ戻す役割を持たせる。リーダーのサブ的役割。人数が10名以上になれば連絡係も必要です。グループに何かトラブルが起きればスイーパーが処理するが、トラブルがあったことをリーダーに伝える役割を持った人が必要になる。スイーパーの前を走り、常に対処できるような体制を整えておく必要がある

最近では携帯電話が増え連絡を取りやすくなった。ツーリングに出かける時は各人の携帯番号を確認し合う事も必要でしょう。出発前に軽くミーティングを行い確認すると良い。
  
・ガソリンは満タンで参加する
グループで無駄な時間を費やすのがツーリング中のガソリン補給。各人バラバラに給油すると時間だけが無駄に過ぎていく。
スポーツバイクは満タンで200〜300kmは走るので、参加メンバーの中で一番航続距離の少ないバイクに合わせた給油&休憩を取り入れるのが優れたリーダー。200kmという距離は一般路でのペースで行けば午後の休憩時当たりだろう、休憩がてら給油すると効率的。

・個人行動の厳禁!
峠でカットんで行く人、ペースを上げたり下げたりグループの中をうろうろする人。また、大人数になると帰宅後の予定がある人や途中から別行動する人も出てくる。そんなときは少なくともリーダーとスイーパーには事前に伝えておくこと。      

5.ツーリング前の点検も忘れずに
ツーリング中のマシントラブル程しゃくに障るものはないし、付近に修理するところが無い時は途方に暮れてしまう、そうならないように事前のチェックでトラブルを回避しよう。
点検を行う箇所は次の通り

 点検するところ
@ ドライブチェーンの張り具合
一部のアメリカンバイクを除き3〜4cm位の振れ幅が正常、4cmを越えたものは調整しておこう。チェーンへの給油も忘れずに
A タイヤ空気圧
そのバイクのタイヤラベル記載の空気圧に調整しておきましょう。4〜6ヶ月たてば5%以上圧力が減少しているので調整が必要です
B クラッチの調整
レバーの動きはスムーズで軽いか?ワイヤーの切れは起こっていないか、遊びは適当にあるか等をチェックし調整しておこう。軽く操作できるように遊びを大きくしている方もいるが、最後まで握りきらないとクラッチが切れないので、かえって疲れることになる。やはり標準の調整(レバー先端で25mmくらいの遊び)をしておこう
C バッテリー・電装のチェック
日頃あまり乗っていない人はエンジンの掛かり具合、ウインカーやブレーキランプ、テール・ヘッドランプの点灯・点滅をチェックする。
D ブレーキのチェック
ブレーキレバー・ペダルの遊び、ディスクパッドorシューの摩耗具合をチェックし限度に近いなら何れ交換する部品、摩耗具合では早めに交換した方が良いかもしれない。
E オイル
予定の走行距離から見て、交換時期に近ければ早めに交換しよう。オイルの劣化が進むとチェンジが重くなり足に負担が掛かる。特に夏場の渋滞に掛かるとニュートラルに入りづらくなることがある。

少なくともこれくらいの箇所は点検しておき、ツーリング中の故障を避けたい物です。

2000年8月作成
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