工具の使い方
自転車やバイクを問わず、機械物を整備するには”工具”が必要です。
一般のユーザーがどの範囲まで整備をするか、或いはどこまで出来るかと言うのは大変個人差が大きいものがあります。
今回の特集では初めて取り上げることでもあり”調整+α”のところで、揃えたい工具とその使い方について2回程度に分けて特集していきます。
第一回目として、工具を使った整備の考え方と基本的にそろえたい工具からお話を進めたいと思います。

ちょっと厳しい言い方をすると、自分で整備する以上覚えると言う努力は必要で、技術は”盗む物”が基本であることをご理解頂きたい。
道具を使った作業は頭で覚えても体が覚えないことには整備技術の習得にはならないのです。基本的な工具の使い方は頭で覚えられる。しかし、実際に工具を使っても力加減が分かりにくい為、ねじを潰したり、ボルトを折ったりは当たり前のようにおこします。そうした失敗の経験=授業料は必要でしょう。

工具の種類
ハンドツール 手に持ち、手の力を使って作業する工具。スパナやメガネレンチ、プライヤー類がこれに当たります。
エアーツール 迅速に作業をするには空気圧を使ったエアーツールは欠かせません。
これを利用するには空気タンクを持つエアーコンプレッサーを必要とするたため、個人では所有が難しいかもしれない。
特殊(専用)工具 ある部分の整備にのみ必要となる工具。チェーンカッター、オイルシールリムーバー、オイルシールプッシャー、ロータープーラーなどがある 。
電動・電気工具 ドリルやサンダー、ハンダ、テスターなどがある。

何が必要かを考える
調整+α程度の整備ではハンドツールの中でもごく限られた工具で充分ですが、経済的な事もあって必要の都度買いそろえるのは仕方ないが、工具の中には組み合わせて使うことで便利さを発揮する物もあるので、計画性を持って工具の購入に心がけて行くと良いだろう。

中には一気にセット工具を購入される方も居るだろう、しかし、工具60点がセットになった物があって、実際に使える物、或いは使いやすい物は7割くらいです。無駄が多いこともあって結局高く付く事もあるし、それならば使いやすい工具を慎重に選んで購入した方が良い場合もある、充分考えて購入されることだ。

以下に、必要な工具のリストを作ったので参考にして下さい。  ◎.○.△.−(必要度 大−−小)

工具写真 工具名と説明
コンビネーションレンチ
オープンとクローズ(片目、片口)一対のレンチ。1本で1サイズだから効率は悪いように思えるが、ユニバーサルレンチと併用すれば問題ない。クローズ側は力を掛けても広がらないので、ボルトやナットの頭を潰さなくて済む。
フレキシブルレンチ
レンチの両端がソケットになった首振りタイプのレンチ。多少深いところでも作業できる。
首振り板ラチェット
自転車の整備に使っている工具で、13.14.15.17と自転車の車軸ナットのサイズにちょうど合う。
板ラチェット
スパナを何度も掛け直さないといけない場所でも、ラチェットで素早く作業できます。
ドライバー
運転手ではありません。+や−の形状をしたボルトを締めたり緩めたりするのに使います。これにもサイズがあり、違ったサイズのドライバーを使用するとねじを潰したり、滑って怪我をしたりもするので、きちんとしたサイズの物をつかうようにしましょう。また、古くなって滑りやすくなったら交換しましょう。
(−)ドライバーを使うところはほとんどありません。(+)ドライバー含め、先端から柄の部分まで貫通しているタイプのドライバーを購入すると良いでしょう。
一番下の黄色のドライバーはラチェットドライバーで、先端のビットが交換できます。
オフセットレンチ(メガネ)
チェーン調整時にはオフセットレンチを使うようにしましょう。お持ちのバイクのナットに合わせて揃えれば良いでしょう。
ユニバーサルレンチ(モンキー)
200mmでは22のナットまで、250mmなら27のナットまで対応できます。
プライヤー類
プライヤー類は実に多彩ですが(これでも手持ちの半分くらい)、是非作業にあった物をお使い下さい。
バイスプライヤー
挟んだ状態で固定できるプライヤーです。その力は1トンにもなり、物を強力に掴んだり固定できます。
ラチェットレンチ
上から1/2、3/8首振り、3/8、3/8ショート、1/4インチ。 3/8の250mmの物が有れば良いでしょう。
ラチェットドライバー
多くは10mm以下のソケットやヘキサゴン(6角)を回すのに使います。
緩め・締め付け両方に手首を回すだけなので、作業のスピードアップが図れます。
アダプター
ラチェットレンチを更に便利に使うための小道具たち。これらがなければバイクの狭い場所での作業は出来ないこともある。
ソケット
同じメーカーで、必要の都度買い揃えて行きましょう。写真は1/4インチラチェット用です。
タイヤレバー
先端が平べったい物が使いやすい。オフ車に乗る方は必要でしょう。必ず2本セットで購入。
インパクトレンチ
エンジンの分解・組立、車体整備には欠かせない(全部って事?)。空気圧による衝撃でねじを緩めるので、コンプレッサーが必需。
エアーガン
汚れやゴミを吹き払うのに必要な道具。特にキャブレターの整備では必需品。


エアーグラインダー
加工部や溶接部分の修正などに使います。
バリ取りカッター
イスラエル製のもの。くるりと回すだけで面取り、バリが取りが出来ます。
ケーブルインジェクター
錆びかけて重くなったクラッチやブレーキワイヤー内部に潤滑剤を入れる際の道具。

2000年12月作成
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