エンジンで発生した動力を最終的に路面に伝えるのは「タイヤ」の役目です。そのタイヤの管理を怠ると操縦性やブレーキの性能、燃費や寿命など幅広く影響します。その為にも日頃のメンテナンスは必要です。
また、タイヤの選択を誤るとバイクや車のポテンシャルを落としてしまうこともありますから、交換するときには良く検討してみる必要があります。

では、どのよう点を注意して選ぶと良いのでしょうか。タイヤはJIS規格に沿って作られているので、新車の時と同じ規格のタイヤを装着すれば基本的に問題はありません。メーカーによって若干の違いはありますが同じサイズのタイヤを選択すると、同じタイヤ幅、同じタイヤ高になります。
二輪車のタイヤ構造は図に示すようになっていますが、その中身は四輪車の物を掲載していますので、参考にして下さい。二輪車のタイヤはトレッド面を丸くしたくらいで、構造的には同じと思って結構です。

  
@ トレッド 路面と接触するゴム層
A サイドウォール タイヤ側面のゴム、メーカー名、ブランド名、サイズなどの表記がある
B ビード タイヤをリムに固定するため、補強されたリング
C カーカス コードをゴム被覆したもので、タイヤの骨格となる
D ビードワイヤー ビード部内部にある鋼線の束
E ベルト ラジアル構造のカーカスをしめつける「たが」の役割をする。ほとんどがスチール製である

表示規格の見方
 「160/60 R17 69H」と言う規格の場合
160 タイヤの幅 mm サイド面の幅を寸法とする
60 扁平率 タイヤ幅に対する高さの割合
ラジアルタイヤ バイアスには表示無し
17 ホイールサイズ径 インチ表示
69 タイヤ過重(ロードインデックス) 指数
速度記号 180km/h以下
210km/h以下
240km/h以下
VRorZ 240km/h以上

1.タイヤの大きさは何で決まるか
タイヤというのは車体を支えると言う役目も持っています。ゴムタイヤを使うことで車重を柔軟に分散し、道路を傷めないように作られているわけで、1平方センチ辺りの重量が決められていますから、
車体重量によって標準タイヤサイズが決められ、それよりも小さくなければOKです。

2.表示規格の見方
 上記の表を参考にしてください。

3.タイヤサイズを変えるとどうなる
 バイクと車の大きな違いはカーブを曲がるときに車体を傾けて曲がるか、タイヤの切れ角で曲がっていくかです。二輪車で接地面の形状が四輪車のように真っ平らだったらどうなるでしょう?非常に曲がりづらく、直進性が強く出ます。二輪車はタイヤの表面を半円状にすることで、バイクのスムーズなバンク(傾斜)が出来るようになっているのです。

同時に、バンクさせるとタイヤの接地面が中心から両サイドに移ります。両サイドは中央部よりも直径が小さいために同じ速度ならばタイヤが速く回転し”小さく曲がろう”とする力=向心力が生じます。
そこへ扁平率の小さい物(60%のところを70%の物を付けるなど)に変更したり、サイズを上げると、バイクをバンクさせたときの直径変化が小さくなるで、向心力が小さくなり、結果として曲がりにくくなります。

また、接地面積が広くなること、重量が増加することからバイクの運動性能まで落ちてしまう事があります。ハイグリップタイヤに変えたときも同じで、馬力がないバイクに付けると、その抵抗でブレーキが掛かったように速くは走れません。
結構きついカーブを曲がっていくと速度は同じでもエンジンの回転数が高くなったり低くなったりする事に気が付いた人は居ませんか?コーナーに進入していくと回転が高くなるのはタイヤの径が小さくなる分たくさんエンジンが回るためです。

因みに、昨今のスポーツバイクは軒並み扁平率の高いタイヤを採用しています。これは、単なる見せかけではなく、直進性を保ちながらもコーナリング性能を向上させるための物で、市街地でのメリットは段差にハンドルを取られにくいこと、コーナリング時に接地面積が広いことでトラクション(駆動力)を掛けやすいのです。

4.ラジアルタイヤとバイアスタイヤ
 ラジアルタイヤとバイアスタイヤ、どこの違いで呼び方を変えているかというと「カーカスの構造」です。
カーカスとはタイヤの言うなれば骨に当たり、これを挟むようにゴム層が有ります。カーカスは複数の布を重ねていて(プライス数と言う)、その重ね具合の違いでラジアルとバイアス両者が有ります。
ラジアルタイヤはカーカスの重ね方が円周方向に直角に交差させた物。バイアスは円周方向から90度ほどずらした形で重ね合わせた物。それぞれにメリット、デメリットがあり、おおむね次のような違いがあります。

@乗り心地 
バイアスの方が良い。バイアスの方がカーカスが長い分柔軟に曲がり易くクッション性がよい。ラジアルは横向きに巻かれたカーカスがクッションを妨げるので固めの印象を受けるが、タイヤサイドのゴムを薄くすることでクッション性を確保している。

A操縦性
上記の乗り心地と反比例するのが操縦性。コーナリング中に生じる横向きの力を、カーカスの横糸
が支えることでタイヤ剛性を保ちグリップを安定させる。対してバイアスはタイヤの変形が大きくなる
ことでコーナリングにおけるグリップ力は低下する。
B耐久性
縦横に変形を抑えられるラジアルタイヤの方が耐久性はある。しかし、メーカーの違い、タイヤの目的などの違いから一様に言えない部分もある。

5.タイヤの管理
何故なのか、タイヤの空気は自然減少します。空気圧が高い自転車はその影響を受けやすく、出来れば毎月1回、少なくとも2ヶ月に一度は調整が必要です。バイクにしても4〜6ヶ月に一度は調整した方が良いでしょう。

バイクの場合
空気圧が減少するとタイヤのたわみが大きくなることでタイヤが温度が上がり摩耗を
早めます。そして、接地面積が広くなって接地圧が下がることで滑りやすくなります。
中には1年以上も空気圧を調整しないまま走っている方も居られます。特にタイヤの空気容量が少ない50ccスクーターでは空気の抜けは、大きな空気圧減少を招き、空気圧で保っていたタイや剛性が無くなると、カーブを曲がっている際にタイヤが外れて一瞬にして空気が抜け危険な状態に陥るケースが年に数件持ち込まれます。ことがあります

自転車の場合
バイクや車はエンジンの力で走るからなかなか気にならなくても、自転車は人力で走るために、空気圧の管理を怠るときつい思いをするのは乗っている「あなた」です。
バレーボールなどのボールで空気が抜けると、ボールを地面に叩きつけてもなかなか戻ってきません、弾まないのです。自転車のタイヤも空気圧による反発で、細かに弾みながら軽快に走ることが出来るのですが、タイヤの空気が抜けてくるとこの「弾み」が少なくなり、自転車に「重さ」を感じるのです。

それだけではありません、接地面積が増えることで接地圧が下がり滑りやすくなって危険です。
また、段差を乗り越えるときにチューブを挟んでパンクさせてしまうこともあり、得することは一切ありません。
走っていて少しばかり「トントン」跳ねるくらいの方が空気圧としては良いようです。空気圧の目安としてはよく「ソフトボールの固さ」と言われます。しかし、女性の場合の多くがそこまでの空気圧を入れることが出来ませんので、男性に頼むか自転車店などで備え付けのコイン式空気入れを利用されると良いでしょう。

もう一つの問題は、特にスポーツサイクルに見られる「アメ黒タイヤ」です。タイヤの軽量化とクッション性確保の為にタイヤサイドのゴム層を少なくしている物の場合です。アメ黒タイヤの場合、直射光にさらしたり、風雨にさらすことは出来る限り避けた方が良いでしょう。日光や風雨にさらされるとこのサイドの痛みが早く出るからです。

タイヤの基本構造を形成するカーカスが、日光に含まれる紫外線や湿気で亀裂が入ると糸が切れてしまい、タイヤがデコボコに変形します。そうなると空気圧を支えることが出来なくなりバーストしてしまうのです。

MTBなどを通勤用など、町乗りに使うことが多いならばその様なアメ黒タイヤを使うのではなく、若干の乗り心地と重量増加には目を瞑り、耐久性のあるオールブラックのタイヤへ交換されると良いでしょう。

6.タイヤの寿命
 タイヤには摩耗限度が設定されています。トレッド面の溝深さが二輪車では1.2mm、四輪車では1.6mm以下になると寿命と決められていますが、その溝深さをいちいち測るのは面倒です。
そこでスリップサインという物が国産タイヤには付いています。
サイドウォールに△マークが数ヶ所あり、そこからトレッド面を見ると、摩耗が進んだタイヤの縦溝が切れるように作られていて、スリップサインが現れたら交換です。偏摩耗している場合も同じと判断されますので、二輪車で「両サイドは残っているからいいでしょう」は、通用しません。
自転車の場合はタイや自体が薄く、ブレーキによっては偏って効くために、ある一カ所だけ摩耗が進むこともあります。タイヤを見る機会も、点検する機会も少ないため”野放し”状態で「エッ!こんなに減ってるの?」と、驚かれる方も多いですね。溝が薄く見えてきたら、近い将来タイヤに穴があくわけですから早めに交換してください。因みに、国産メーカー車を通勤・通学に使い、片道30分の距離を走ると1年半前後で寿命を迎えます(後輪)。

7.ミシュランタイヤと国産タイヤの違い ※個人的見解を含みます
ミシュランタイヤをお使いになった事のある方なら経験済みだが、タイヤ寿命がすごく長いですね。
タイヤ作りに関する考え方が根本的に違っているようで、タイヤの剛性は空気圧で確保し、タイヤを出来るだけ軽量化して路面に対し柔軟に追従させることでグリップを確保するのがミシュランの考え方にあるようです。
対して国産タイヤの多くはグリップをタイヤ自体の剛性とコンパウンドで確保する。その為、剛性が高いタイヤ構造を持つ国産メーカー品は重くて、空気圧減少に気が付きにくい、柔軟でないから固い乗り心地と雨天時のグリップは劣る傾向が出やすく、摩耗が進んだときのグリップ力低下も大きいようです。
市販タイヤの場合、晴天時のグリップ限界は国産タイヤの方が高いようですが、それと引き替えに耐久性で数倍の開きとなって現れる。また、20〜30%軽量化されたタイヤは操縦性を軽くする効果も高く、特に2輪車にとっては俊敏な切り返しが行い易いメリットが生まれます。もし、タイヤ交換の機会があって、ミシュランに対応する規格のタイヤが有れば使ってみてはいかがでしょうか、お奨めします。

2001年7月作成
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