大型スクーター「TNMAX」&「シルバーウイング」

ヤマハから500ccのTMAXが、ホンダからは600ccのシルバーウイングが発売される。価格はそれぞれ74万円と74万9千円です。
TMAXは昨年ヨーロッパで1万5000マルク、おおよそ78万円で発売されているのでちょっと高めの価格設定ではないかな。

近年、各社より250ccスクーターが発売されて好調のようです。しかし、500や600と言うと2倍以上であり、本当に必要か疑問を持つところだが、二人乗りでの運動性能向上には欠く事の出来ないゆとりなのかも知れません。資料を元に紹介して行きます。

1.エンジン
共に水冷DOHC4バルブ2気筒で、TMAXは498cc、シルバーウイングは582cc。出力はそれぞれ38PSと49PS、リッター当たりにするとTMAXの76.1psに対し、シルバーウイングは101.3PSもあり、排気量以上にスポーツマインドを予感させる。

更に大きな違いとしてTMAXは快適性を求めてバランスピストンを使って振動低減を行っている。カタログを見て「おやっ?3気筒」と思わせる、後方にあるピストンがそれで、燃焼用ピストンと同じ質量のバランスピストンを反対側に設けることで、慣性偶力を打ち消し振動を低減する。
尚、点火間隔は360°の等間隔だ。同爆だとシングルエンジンと同じで振動も大きくなるだろうが、等間隔点火ならば、バランスピストンの効果も併せて振動を低いレベルで抑えることができるし、キャブレターのセッティングも2気筒では高速タイプとなる180°クランクのような難しさはなく、オートマチックを採用するスクーターには良いのかもしれない。

対するシルバーウイングは燃料噴射で対抗する。機械加工精度に左右され、環境変化に対応しにくいキャブレターに対し燃料噴射は、温度、気圧(高度)、回転数、スロットル開度をプログラミングする事が可能で、幅広い環境変化に対応するのは、TMAXに対する大きなアドバンテージだ。

2.車体の作りと装備

左:TMAX
右:シルバーウィング

共にエンジンを車体に固定、スイングアームで動力を伝える方式は同じ。
大きなエンジンユニットがサスペンションの一部を担う従来のスクーターと大きく違う部分で、運動性能や乗り心地も従来のスクーターと大きく違う部分に違いない。
運動性能といえば、TMAXの重量配分がフロント47%で、通常のスポーツバイクと変わらない設定。
写真からはよく分からないが、TMAXの前輪より少し後ろにちょこんと突き出して見えるのがオイルフィルター、その上にシリンダヘッドが位置する。それほどにエンジンが前後に長い作りなのが功を奏している形で、エンジン内にベルトによるオートマチック機能を組み入れ、スイングアーム部はサイレントチェーンでの伝達機構が入っているので、外観的にすっきりしたデザインになっている。

シルバーウィングは車体中央部がエンジンユニットの先端で、その前にはガソリンタンクが置かれる為、前輪の重量分布はガソリンの増減によって変化しやすいが、基本的にTMAXより数%低い値だろう。駆動の伝達はスイングアームを兼ねる伝達ユニット内に通常のベルト駆動装置が入っている。

ホイールに関してはフロントに14インチを使うことは共通だが、扁平率がTMAXの70%に対しシル
バーウイングは80%とやや小さい。リヤはTMAXが14インチ、シルバーウイングは13インチと小さいのは理由がありそうだ。
ホイール関係でもう一つ。両車のホイールベース(前後タイヤの軸間距離)は、僅かだが2cmシルバーウイングの方が長い、それも苦し紛れか、フォークへの取り付け方がトレーリングアクスル(フォークよりも後ろに車軸を持ってくる設計の事)方式を採用する。トレーリングアクスルはフロントのアライメント設定が難しく、操縦性にも影響が出やすい部分なので、コーナリング時の安定性に少しばかり不安がある。

シルバーウイングのデザインで特徴的なのは、タンデムシートが一段高く作られ、シート後部のストッパーも大きい。シートを空ければフルフェイスヘルメットが2個入る容量があるそうで、エンジン容積、出力、シート形状、そして13インチホイールでクリアランスを確保するなど、明らかに二人乗りを意識した作りになっているようで、これは当然と言えるほどの機能だろう。

車重を見てみるとTMAXは198kg、シルバーウイングは215kgと、さすがに重量級。しかし、250ccスクーターでも経験有るように、低重心なのでスポーツ車のように取り回しを重く感じることは少ないだろうが、傾斜地での移動にはそれなりの注意が必要です。

さて、これだけの重量級スクーターを止めるブレーキシステムは両車ともに前・後にディスクブレーキを装備する。TMAXはフロントが2ポット、リアはシングルピストン。シルバーウィングはフロントが3ポットリアが2ポットと、一個ずつ多く、50ccスクーターにも装備している”コンビブレーキ”を採用している。
これは、左ブレーキ(リア)を握ると適切な配分でフロントブレーキも効くというもの。

なお、実際の走行性能は把握していませんので、どなたか購入された方はメールまたは掲示板にてインプレッションをお伝え願えれば幸いです。

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2001年8月作成
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