バッテリーはバイクや車には欠かせない物ですが、メンテナンスを怠っている人は多いんじゃないでしょうか。バイクに使われているバッテリーを基本に、車用バッテリーやニッカド電池についても勉強していきましょう。


 バッテリーの種類と注意

バイク用・車用バッテリーは基本的に「鉛蓄電池」を使いますが、電極に鉛を使うためこう呼びますが、この鉛蓄電池バッテリーの中には電解液として劇物扱いの「希硫酸」が入っていますから取り扱いには注意が必要です。

・手や顔、目に入ったら流水で良く洗い、医者に診てもらう

・衣服に付いたらすぐに水洗いする。放っておくと穴が開きます。

・メッキ部分についたらすぐに洗い流す事。メッキ部分が酸に侵されてはがれます。

充電・放電を絶えず繰り返し、セルを回したりライトを点けたり大電流を流す電池としては鉛蓄電池が都合が良いようです。
ただし、鉛蓄電池のデメリットは「電解液が減る」と言うことです。充放電時の化学反応で発熱と水素ガスが発生するので、これを逃がすための空気穴から水分が徐々に抜けていき電解液の量が減少していきます。



電解液の量が減ると化学反応が行われなくなり、電気を貯めることも放電することも出来なくなりますから、電解液が減ったときは「蒸留水」を基準レベルまで補充する必要があるのですが、この手間を無くしたものが「メンテナンスフリーバッテリー」、通称「MFバッテリー」と呼ぶものを使うことが多くなりました。どちらのバッテリーも電極1つの組み合わせ=セル当たりの電圧は2Vです。

通常のバッテリーは12Vですから、電極の組み合わせが6つあることになります。通常バッテリーに充電するときは、この12Vより2V高い14Vで充電するようになっていますが、MFバッテリーは15〜16Vという高い電圧で充電するようになっています。

電動自転車ではニッカド電池またはニッケル水素電池を使います。鉛蓄電池と違って電解液を使わずガスも発生しないため完全密封でき、取り付け方向も自由なのでビデオカメラでもこのタイプのバッテリーを使います。デメリットとしては使用途中での充電は出来ません、一旦使い切ってから充電しないといけない大きな約束事がありますので、車・バイク用としては不向きです。充電装置を持たないラジコンや電動自転車、ビデオではそうした使い方が主なので利用されます。


 鉛蓄電池の充放電の仕組み
バッテリーはプラス(+)側に過酸化鉛を、マイナス(−)側には海綿状鉛を使い、これを電解液である希硫酸の中に浸し、プラスとマイナスを導体(電気を消費する物)で結ぶと電極に使われている鉛が化学反応を起こし、電気エネルギーとして取り出すことが出来ます。
充電中と、放電中では両電極板の性質が変わります。これを表にすると・・・

        陽極板     陰極板    電解液の状態
放電中    硫酸鉛      硫酸鉛   極板が硫酸鉛に変化するときに水の比率が上がり比重が下がる
充電中    過酸化鉛     海綿状鉛  極板から硫酸分が返って比重が高くなる




走行中はこの繰り返しが絶えず行われていますが、電解液の硫酸が陽極に結合し電解液が軽くなる(水の割合が増える)放電中と、電解液中に硫酸が戻り比重が重くなる事を繰り返しているので、このバッテリー電解液の比重を調べれば充電状態が分かると言うことになります。


 バッテリーの寿命と保証

化学反応が繰り返し行われる中で次第にその作用が鈍くなると共に、バッテリー内部の抵抗が増えることで電気を通し難くなると「寿命」ということになります。電気を蓄えて流すという役目を考えると「内部抵抗」と言うと不思議な感じですが、後の項で説明します。

寿命は使う条件によって大きく変化しますが、一般的に1〜3年が目安です。バイク本体の保証は1年であっても、バッテリーメーカーの保証期間は6ヶ月となっているようです。ですから、新車を購入後6ヶ月を越えてバッテリーが不良となっても保証を受けることは出来ません。このことはタイヤも同様で、タイヤメーカーの保証基準が適用されることになります。


 バッテリーのメンテナンスはどうするの

バッテリーは「自己放電」と言うのがあります。一度満充電しても時間の経過と共に放電していくのです。
この自己放電、鉛蓄電池では1日に1%と言われ、自己放電に強いMFバッテリーでも6ヶ月が限度のようです。それから、特に車に言えることですが、夏場はバッテリーへの負担がとても大きいのです。気温が高くクーラーを使用することでファンを回すのに大きな電力を供給しなくてはならないからです。

しかし、気温が高いことでバッテリー内部の化学反応は起こりやすいので、余程古いバッテリーでない限り快調に見えてしまうでしょう。しかし、負担が掛かったバッテリーの電解液は減少していますが、夏場はエンジンの始動性も良いことから電解液が減っていることには気づき難いのです。
その状態で冬場に入ると電解液減少の影響を大きく受けて、急速に供給できる電力が低下し、その状況でセルを回すとバッテリーには致命的なダメージを与える結果になります。

以上のことから注意するのは・・・・
・長期放置はしない。冬場乗らないときは月一回の補充電を行う。

・季節の変わり目には電解液の量をチェックし、減少していれば蒸留水を補充する。

・特に夏場はこまめに電解液のチェックを行う。

・長距離乗るときのは必ず電解液のチェックを行う。

・セルの回りが悪くなったら、それ以上セルを使わず電解液をチェックし充電する。



 バッテリーの取り付け取り外し
電気というのは+電極と−電極があり、これを直接くっつけるとショートといって、火花を散らしてしまいます。時にはこれが火災の原因になったりもするし、充電中は水素ガスも発生しているので爆発の危険性もあるため十分注意する必要があります。

さて、そのようなショートの事故を防ぐにはちゃんとした取り付け取り外しの順序を守ることです。ポイントは車体にはマイナス電気を流すので、作業中に誤ってプラス電気を流さない作業をすればいいのです。

取り外しはマイナス電極から
マイナスから外す作業をすれば工具が車体に触れてもショートしません。

取る付けはプラス電極から
マイナスアースを取っていないうちは、工具が車体に触れても電気としては流れませんからショートもしません。

このような手順で作業を行うと事故を防ぐ事ができます。


 バッテリーの充電
バッテリー充電には規則があります。その規則とは充電する際の時間です。「早くバッテリーの充電を終えて使いたい」と、急速に充電するとバッテリーには大きな負担が掛かり、寿命を短くします。
化学反応で充放電を行うわけですから反応を促進させる無理が寿命に影響するのです。

充電は一般に「10時間率」を使います。バッテリー容量の1/10の電流を掛けて充電するわけで、
完全放電してしまった10Aバッテリーの充電には1Aの電流で10時間充電すると言うことです。

しかし、MFバッテリーは密封されている為、水素ガスの発生を抑えなくてはなりません。そこで、通常の鉛バッテリーの充電電圧である14Vよりも高い15〜16Vと高い電圧にして、逆に充電の電流を抑えることでガスの発生も抑えています。

そうした充電方式の違いがあるため、MFバッテリーの充電には通常の充電器は使えません、必ずMF専用の充電器を使う必要があります。
少し高価なバッテリーの充電器になると充電中の電流を表示する「アンメーター」が付いています、このメーターの針の動きでバッテリーの寿命を判断する事もできます。

充電を開始してからの針の動きが・・・

・メーターの針がスーっと上がる〜健康なバッテリーです。

・暫く経ってメーターの針がじわじわ上がる〜寿命を迎えつつあるバッテリー。

・なかなか針が上がらない〜寿命を迎えています。

先の項で「内部抵抗」についてふれましたが、メーターの動きが内部抵抗そのもので、メーターの針がすぐに動くというのは電気を通しやすく、充電のために流した電気が活発にバッテリー内部を通過するからです。しかし、メーターの針が動かない、あるいはじわりじわり上がるというのは内部抵抗が高い為に電気が流れ難くなっているからで、そうなると電気を流すどころか蓄えることもできなくなります。


 ニッカド電池と電動自転車での充電
ニッカド電池が一般製品と一体化して使われだしたのは、やはりポータブルビデオデッキ、現在のビデオカメラだったと思います。
当時はカメラ部とビデオデッキ部が別で、カメラはビデオデッキのバッテリーを利用していました。
その頃から「メモリー効果」が原因で録画時間が短くなるケースは多くありました。
メモリー効果は広く知れた現象になったと思いますが、その対策については十分ではないと思います。

その「メモリー効果」とは、蓄電された電気を全部消費しない内に「補充電」すると、あたかも満充電したかのように見えますが、実は充電されていないのです。ニッカド電池の化学変化上起きてしまう物です。
また、長期間バッテリーを保存していても同様のことが起きます。空になっているからと一度充電しただけでは満充電状態にはなりません。

このメモリー効果を無くし、満充電するには「リフレッシュ充電」と言って、バッテリー内部の電気を使い切ってから充電することです。モーターやMDプレーヤー、デジカメ、ビデオ、そして電動自転車もバッテリーが「空」になるまで使い切る事です。

とは言え、現在の電動自転車に付属の充電器には「リフレッシュ充電」機能が付いていますから、残りの分を消費してから充電出来るようになっているので満充電できます。しかし、このリフレッシュ充電を行っても完全にメモリー効果はなくならず、少しづつ充電容量が減少小して行くんだそうです。
そんな場合や久しぶりに使うビデオカメラのバッテリーなどはどのようにすると良いのでしょうか。

それは、リフレッシュ充電を続けて3回ほど行うと満充電できるように復活するようになります。時間
は掛かりますが確実に本来の充電状態に戻ります。特に貴重なビデオ撮影前には、充電と撮影を繰り返しておき、バッテリーの性能をフルに使えるようにしておくと後悔せずに済むでしょう。

ニッケル水素電池はニッカドよりも高価ですが、重量当たりの電気容量が大きく、その分軽量になりメモリー効果も起きにくいことから、継ぎ足し充電も可能と言われます。しかし、完全にメモリー効果が起きないと言うわけではありませんから、1ヶ月に一度位はリフレッシュ充電を行った方が良いそうです。


 MFバッテリーの特性とヘッドライト
夜間走行中にヘッドライトが突然切れてしまったら・・、そんな怖い経験した方は居られますか?私は経験あります。
電気を蓄え流すのに・・と、お思いになるかもしれませんが、通常の鉛蓄電池にも内部抵抗と言うのがあり、内部抵抗が増えると電気を流さなくなり、それは寿命や電解液の減少で起きます。一方、ヘッドライトは流すことの出来る電気=ワット数がありますから、それ以上の電気を流すことは出来ません。もし、流してしまうと切れてしまいます。

ヘッドライトの点灯にはバッテリー点灯方式と、フラマグ点灯方式の二通りあり、前者は文字通りバッテリーを電源に、後者はフライホイールマゲネトー(以下フラマグ)で発電された電気で直接点灯する方式で、バッテリーを大型化出来ない小排気量車やオフロードバイクなどで多く用いられます。

バッテリーとヘッドライトの関係の中で問題なのは、後者のフラマグ点灯方式での「球切れ事故」です。
フラマグ点灯方式のヘッドライトの場合、発電した電気で直接点灯すると言ってもバッテリーがクッションの役割をし、余分な電気を蓄えます。ですから、必要以上の電気はヘッドライトに流れません。

ところが、寿命や電解液の現象で内部抵抗が増えるとバッテリーは電気を通さなくなります。行き場を失った電気は、電気を消費してくれるところ、つまりヘッドライトに全ての電気が流れることになり、流れすぎた電気でもってライトは切れてしまいます。

現在生産されているバイクは、そのほとんどが昼間点灯仕様になっているので、昼間に電気が切れたにしても、困ることはありません。一番危険なのは夜間走行中に切れてしまうことです。
エンジンの回転が上がるに従って発電量も増加しますから、自ずとスピードを出している時ほど切れやすい状況になるわけで、切れる直前というのはそれはもう昼間の明るさになったようです。しかし、次に瞬間前方は真っ暗闇の世界が待っています。

でもご安心を、現在生産されているバイクの殆どがMFバッテリーを採用しています。MFバッテリーは寿命を迎えるとセルを回すことは出来なくなりますが、その大きな電流を流せなくなるだけでなので、ホーンやウインカーの点滅程度は正常に作動させることができ、電気も流れますからヘッドライトが切れることはありません。

ですから、日常の使用でセルを回せなくなったら寿命と判断して交換して下さい。その期間に於いて、バッテリーが原因しての球切れ事故は無いでしょう。ただし「ウインカーも点くし、ホーンも鳴るから・・」と、キックで始動していると、そのキックが壊れたり、長期間その状態で使用しているとウインカーもホーンも鳴らなくなり、その時はライト球が切れてしまうかもしれません。

2001年12月作成
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