突然訪れる災害。初心者のうちはただでさえ不安なあるのに、「突然止まった」、「転んだ後おかしくなった」、「水に浸かってしまった」など、『どうしよう』、『どうしたらいいの?』と、とまどってしまうでしょう。
対処法はケースバイケースですが、ここではケース別の基本的な対処法を説明していきましょう。

【災害のケース】
転倒した後エンジンが掛からない
水害で水に浸かった
いたずらで鍵を壊された
ある日突然エンジンが掛からない
走行中エンジンが止まった


転倒した後エンジンが掛からない
駐輪中や走行中にバイクが横倒しになると一時的にエンジンの掛かりが悪くなることがあります。原因は、キャブレター内のガソリンがエンジン内部に流入しガソリン濃度が高くなり過ぎることから起こる「かぶり」と言う現象です。
対策方法
通常の始動方法でエンジンを掛けることが出来ないときは次のように操作して下さい。
@ ギヤはニュートラル、メイン又はサイドスタンドを出しバイクを安定させる
A スロットルを全開にしてセルを長めに回す、キック車は力強く踏み切ること
B エンジンが掛かったらすぐにはスロットルを閉じず、しばらく空ふかしをする
C エンジンの吹きが軽くなり正常に戻ったらアイドリングさせる

走り出す前のチェック
@ バイクの外観を左右とも見て異常がないか点検する
A 操作系(ハンドル、クラッチ、ブレーキなど)及び、ミラーの点検
B スロットルはちゃんと戻りますか?
バイクが右に倒れたときはスロットルを開いて手を離し、即座にバネの力で戻るかチェックする (戻らない、あるいは戻りが悪いときは修理すること)
スロットルの戻りが悪い、戻らない場合は修理を行ったあと乗るようにしましょう。
減速しようとしてスロットルが戻らないと、減速できずに大惨事につながることもあり、大変危険です。自力で修理できないときはバイク店に出張or引き取り修理を依頼しましょう。


水害で水に浸かった
洪水や増水でバイクや車が水に浸かると大変なことになります。エンジンはもちろん、電装系統にも影響を与え、最悪廃車しなくてはいけない事態にもなります。
車で車両保険に入っている場合は保険で修理or買い換えする事もできますが、バイクの場合車両保険を掛けている人は極端に少なく、泣き寝入りするケースがほとんどでしょう。
テレビのニュース映像で、増水した道路を走っていく車やバイクを見ることはありますが、無謀とか、暴挙としか言えません。※但し、車両保険に入っていても、増水したところに自ら走行していった場合、保険は利きません。

事前対策
@ 集中豪雨など大雨の時は地下駐車場等低い土地に止めない
A マフラーが浸かるまで水深があるところは走行しない
B 水深が低いときでも低速で走り、水しぶきを上げない

運悪く浸かってしまったら
水没した場合は絶対にエンジンの始動操作をしないことです。エンジン内部の金属表面には油膜があり、短時間の水没であれば錆の発生も抑えられ保護されますが、始動操作するとエンジン内部のオイル通路に水が流れ、同時に油膜も切れて表面張力が強い水はそのままエンジン内部のオイル通路に残ってしまうのです。そうなると、そのエンジンは使えなくなります。
おおよそ3日以上水に浸かっていると、次第に油膜が切れて金属と水が触れあい錆が発生する確率が高くなります。修理する場合は3日以内での対処が明暗を分けることになります。

水に浸かった部分が比較的低い場所であたら、また水没して時間が経っていなければエンジンオイルを抜きます。すると、比重の違いによって先に水が出てきて、次にオイルが排出されます。その後新しいオイルを注入しエンジンが掛かれば”使える”かもしれませんが、その判断は安易には出来ない場合もあるので、自信がなければ専門家(例えばバイクやさん)に相談してみる必要があるでしょう。

どの位の範囲を分解するか
どこまでオーバーホールが必要かはケースバイケースなので、状況を各個人で判断しなくてはなりません。
エンジン全体が水に浸かった、キャブレターまでは浸かっていない、クランクケースがちょっとなど、浸かったという部位によっても分解する範囲が異なってきます。
浸かった部位
※この対処方についてはは自己責任でお願いします
@ エンジン全体が浸かってしまった
この場合は最悪廃棄する事になると思います。
運が良ければエンジンオイルを抜き、シリンダヘッド内部に水が入っていなければ復活出来る可能性は高いかもしれません。
エアクリーナーも濾紙が水で濡れて機能を失っていますので、交換が必要です。
A キャブレターの高さまで浸かってしまった
@の場合より復活できる可能性は高いでしょう。
オイル交換して、キャブレターもオーバーホールすれば取りあえずエンジンは掛かるようになると思います。
また、エアクリーナーも濾紙が水で濡れて機能を失っていますので、交換が必要です。
B クランクケースが浸かった
エンジンオイルを交換してみましょう。オイルは長く使わないので安価なオイルでかまいません。
エンジンオイルの白濁
オイルに水が混ざると白濁する「乳化」が起きます。水没後にオイル交換したあと、点検窓かオイルレベルゲージでオイルの状態を確認しましょう。この時、オイルが白濁していたら再度交換します。白濁が消えるまで短期間でのオイル交換をします。


いたずらで鍵を壊された


キー単体交換か、セット交換かの選択
バイクの鍵はメインスイッチ、タンクキャップ、シートロックなどが一本にまとめられたコンビネーションキーを使いますが、一カ所でも壊されると、その一本を交換した場合二本の鍵を持つことになります。中には3本持っている人もいます。
「そんなにたくさん持ちたくない」と言われるときはキーセットで交換をすると新車と同様一本の鍵で済ますことが出来ます。

事前の防止策
最近のスクーターではメインスイッチの鍵穴を隠すカバーが標準で付いている事が多くなりましたが、大型バイクではその装備無く、ボディーには特殊な合金を使って”破壊”に強くしている物もありますが、キーシリンダ内部のプレートは比較的柔らかい金属を使っているし、はさみなどの金属を押し込まれた場合、その部分をいたずらされると効力がありません。
そんなメインスイッチのいたずらを防ぐにはデイトナ製で「キーカバーロック」と言う物があります。特殊合金で作られた金属カバーをメインスイッチに被せてキー溝を塞いで防止する物です。5000円位の商品で各機種用が作られています。少々高いかも知れませんがメインスイッチ交換よりは安いと思います。


ある日突然エンジンが掛からない


乗ったり乗らなかったりしていて、日頃から一発で掛からない状況であれば、特におかしく思わないかもしれませんが、「毎日調子よく乗っていたのに」、エンジンが掛からないと、さあ大変です。
操作上のミスもないし、キルスイッチも”RUN”(orON)になっているし問題なければ困りますよね。
色々考えられますが・・・
@ 駐輪とガス欠が丁度重なった
A スクーターならブレーキスイッチが不作動を起こしているかも・・・
B スクーターはマフラー内部に蜂などの虫が巣を作ることがあります

解決法〜上記の番号に対する解決策
@ セオリ通りにコックをリザーブに、チョークの引き確認、キルスイッチの点検、ギヤのニュートラル確認等々
A 通常のリヤブレーキではなくフロントブレーキを掛け、ランプが点くか確認する。点かなければブレーキスイッチの故障です、要交換。
B マフラー後端のテールパイプ内部に巣を作って居る場合があります。
排気口に手を当て始動操作をしても”排気”を感じなければその可能性大です。
そんなときは、クリーニングに付いてくるワイヤーハンガーを解き、マフラー後端のテールパイプに突っ込み巣を壊します。


走行中エンジンが止まった

よくあるのが「ガス欠」。しかし、このほかにもいろいろなケースで止まっています。初心者のうちはただでさえ、周囲に気遣って走っているのに、突然の事に「あらー、どうしよう」と、パニックに近い状況になるかもしれませんね。
それでも、冷静に状況把握をしておきましょう。それが再始動の解決に有効な場合もあります。

止まったときの状況
@ 力無く「すすすー」と止まった
A いきなりエンジンが止まったようだ。(マフラーから変な音もしたような・・)
B 「ギュー!」と音がして止まった。

考えられる原因〜上記の番号に対する解決策
@ 徐々に止まるような場合はガス欠です。
タンクからのガソリン供給が無くなると、キャブレター内のガソリンが徐々に減少するので速度を維持できなくなりアクセルを開けてもスピードが落ちる感覚でエンジン停止になります。特に平坦路では急速にガス欠が襲ってきます、それはタンク内のガソリンの揺れが少ない分起こることですから、高速道路上では特に注意が必要と言えます
A スパッと止まる時、ショックを感じて止まるときは点火系統が原因している場合が多い。
燃料系統に問題がなければプラグを点検します。

・プラグキャップはしっかりはまっていましたか(あまりに軽く外れたりガタがあったら要注意)
・プラグの締め付けは緩くありませんでしたか
・電極の汚れ、電極の摩耗はありませんか
・コード類の外れや傷、切断などありませんか
・プラグの火花チェックで、火花は飛びますか?

プラグを外してプラグキャップに差し、電極を金属にアースさせてキックまたはセルを回す。火花が飛べばひとまずOK、飛ばなければ点火系のトラブルです
B 2サイクル車で起こることです。エンジンオイルの補給を知らせるランプが点いているのを無視して走っていると、オイル切れから潤滑不良を起こし「焼き付き」をします。50などはしばらく置くと再びエンジンが掛かり走れるのですが、またすぐに止まります。それを繰り返すと交換必要な部品が多くなるので走ってはいけません。
※焼き付きが軽い場合はピストンとリングの交換だけで済む場合もあります。ひどい場合はシリンダまで交換が必要です。

また、オイルを入れるだけでは駄目でして、ピストン・シリンダーのオーバーホールを実施した方が良いでしょう

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