改造を考える〜改造は自己責任
改造の是非を考える〜「迷惑が掛からないように」

まず、これだけは言っておきたい。
大きな音の出るマフラーの取り付け、これはいけないね。
これらは直接他人に迷惑を掛ける物ではないが、純正外の大きな音の出るマフラーは周囲にいる人に迷惑が掛かる事を忘れてはいけない。
店先でお客様と話をしている最中にそんなバイクや車が通過すると、会話がとぎれたりして商売どころではない、暴走族の方が未だまし。彼らは自分が暴走族と認識している?が、普通の格好をして大きな音を出して走る輩は「俺、フツーだよ」と、当たり前のように平然としているのは・・どうも。せいぜい「JMCA」認定のマフラーに留めておいてください、これでも大きいけど・・・。
因みに、”JMCA”の認定マークがあろうと改造には変わりないので、上記の理由で当店では修理・調整の一切をお断りしています。

他にも変形ハンドルに変える、ロングフォークに変える。これらの改造は直接他人に危害を加える物ではないが、ひとたび事故が起きて改造に原因があると責任を追及された場合、その責任の矛先は紛れもなく改造した人。
メーカー標準車と操縦性に大きな差異があれば逃れることは出来ないでしょう。

改造車両の売買と整備

車やバイクを標準の状態から別の部品(非純正部品)に取り替える事を「改造」と言います。改造と言っても「合法的改造」もあれば、「違法(不正)改造」もあります。純正外の部品を取り付け、あるいは交換をした後各地の陸運事務所、いわゆる車検場に持ち込み「改造申請」をします。必要書類を提出し実車の検査で合格するとその改造は「合法的改造」となり、違法(不正)改造車両とはならないのです。

しかし、その車両の改造を行った人が他人に転売したときはどうなるのでしょうか?
「改造車」であることを告げずに売買をし、譲り受けた人が事故を起こしてしまい、事故の原因がその車両にあったとしたら・・・。

ロングフォークは見た目の格好良さと引き替えに機敏な操縦性はありません。それ故に国土交通省は認可を下ろさないし、メーカーもそのような冒険はしません。それが車検場でOKとなるのは、所有者or使用者が自己責任をとる形で「合法」としているのです。つまり、改造が原因での事故の責任は使用者にあり、陸運事務所及び国土交通省は責任を取らない事を約束させられるのです。もちろん、メーカーも「当社の標準仕様の車両ではない」として、責任を取りません。

メーカーの標準仕様車か改造した物なのかは素人(バイクに詳しくない人)には判断が付かない場合もあるでしょう。改造申請でOKとなったとは言え、譲り受ける人がその事を了解していなければ、売った人に責任が及ぶかもしれません。この点は注意と確認が必要かと思います。

このような理由で、当店では改造用品の取り付け、及び改造された車両の整備はお断りしています。

メーカーの研究・開発

キャブレター、エアクリーナー、マフラーは区切りのない仕事です。
ただ単に馬力を上げれば良いという物ではありません。燃費や騒音、エンジンの始動性に加速性能・・・・。
馬力を上げると音が大きくなる、燃費も悪くなる。マフラーで消音すると馬力が下がる。また上げる・・・と、またうるさくなる。何か一つ仕様が変わればその度にエンジン特性を調査し直すと言う大変な仕事で、この繰り返しが開発中ずっと続くのです。

メーカーはいろいろなテストを繰り返し行い、一年の四季を通して問題が無いように調整されて出荷されます。
ですが、エンジンに関して吸気から排気までのどれか一つでも部品を変えればそのバランスは崩れ、調子が悪くなって当然と言えます。部品を取り替えれば変化するのは当然ですが、その全てが「良くなる」とは限りません。それどころか悪くなることの方が多いという現実を知っておくべきでしょう。
因みに、日本には四季があり年間の気温差は30度程有ります。Tシャツ一枚で過ごす夏から5〜6枚着込む冬まで、人間だって季節に合わせた生活をしています。エンジンにしても30度も変わるとそれは大きな変化、チョークが必要でない時期からチョークがないと始動できない季節まで影響を受けています。

部品を変えて調子が悪くなった状態で「直して下さい」と言われてもそれは基本的に無理。技術がないから、下手だから直せないと言うことではなく、改悪となった物を正常に直すことなど、その”正常な状態”というのが基本的に存在しないのだから直せるわけがない、そう言う理屈。
メーカー標準の状態で調子が悪くなればそれは””故障”として直せますが、改造の場合は故障ではないので直しようがないのです。
また、このように改造を行った車両の修理は原則としてメーカーの保証対象から外れることをお忘れなく。

1999年9月作成
Copyright (C) 1998-1999 カサブランカ、All rights reserved.