卒業生の訪問

北海学園大学の卒業生

私が本学に来る前、北海学園大学で教えていたのだが、この2月、その時の学生さん(佐藤さん)が夫と子供二人を連れて久留米までやってきた。 ほぼ9年ぶりの再会。

10年ほど遠く離れていたけれど、これまで時折メールなどで連絡があったので、久しぶりの再会なのにそう遠い感じがしなかった。 佐藤さんは、2年前に札幌から東京に転勤になっていたので、今回九州観光もかねてやってきたようだ。 でも、今年は雨が続いたので、せっかくの九州観光(大分、熊本、長崎、久留米、福岡)もあいにくだっただろう。 阿蘇の山々はほとんど何も見えなかったとか。

夫君と二人の子供たちの紹介の後、昔の卒業生たちの話になった。 私はかなりのことを忘れてしまっていたが、大学院に進学して大月先生の研究指導を選んだ遠藤さんのことは記憶にあった。 この学年の学生さんたちは、私の夜の経営統計学の授業の関係の学生さんたちです。 半数近くが社会人で特に看護婦(看護師)さんが多かったという印象が特徴だ。

北海学園大学での夜の授業の楽しみは、社会人の熱心な方々がクラスの前部中央でしっかり授業を聞いてくれることでした。 その中での多数派が看護婦さんたちでした。佐藤さんは看護婦さんでは無かったが、私の授業を熱心聞いてくれた学生さんでした。 その授業では受講生の数が多くて大変だったが、前に座った熱心な学生さん一人ひとりの顔を見ながら授業ができることが私の負担感を和らげてくれた。 その中の数人の方の顔イメージは記憶にあるが、名前は失念してしまっている(申し訳ないですが)。 気持ちの良い講義ができたので、この授業は私に良い記憶を残してくれた。

そんなこんなの話をしているうちにあっという間に出発の時間になって、慌ててお別れとなった。 母親の役は忙しい。 また大学で勉強したいという希望があるようで、先々そういう機会があれば良いねと話しながら分かれた。

小樽商科大学の卒業生

そういえば9年前、私が久留米に来るなり直ぐにやってきた卒業生(清水さん)がいました。 仕事で福岡に来ることがしばしばあったようで、その後彼から3回ほど訪問を受けた。 春には、柳川観光をして川下りを楽しんだ。秋には、吉野ヶ里遺跡を散策し古代の空気を吸った。 最近は仕事が変わって福岡に出張する機会が失われたのか、最近の訪問はないが、近々機会をうかがっている由。

私が久留米に戻って数年して、卒業生の石田さんが結婚したばかりの奥さんを連れて、九州観光に来た。 そのついでに久留米にも立ち寄ってくれたのだ。奥さんはとても良い感じの方で、二人とも背が高かった。 彼は大学の頃、私のサポートをしてくれていたのでみんなから「秘書官」と呼ばれていたのだが、 卒業後も相変わらず「ゼミのみんなのために」という標語が守られ、同窓会などでは幹事として欠かせない存在である。 最近では、とうとう「永年幹事」という称号をもらったようだ。

もう5年ほど前になるが、フィアンセを紹介しに長崎観光と称して久留米に立ち寄ってくれた卒業生(山本さん)もある。 彼女とはかれこれ25年ほどにもなるつきあいで、家族的なおつきあいが続いている。 妻も一緒に翠香園で一緒に会食した。そしたらフィアンセの方は妻の知り合いと交流があった方でずいぶんと話が弾んだ。 職業が新聞記者というので、知見の広さ、交流の広さは抜群でした。 次の冬、札幌でお二人は結婚された。

3、4年ほど前のこと。 授業が終わって教員休憩室で「昔の卒業生の方が見えてますよ」と突然呼び出されたことがあった。 橋向さんだった。 長崎観光に向う途中だが、奥さんの紹介を兼ねて久留米まで来てくれたのだろうと思った。 奥様は健康そうな方でした。 彼は北海道妹背牛で農業をやっているからか、体格が実にがっしりしていた。 私は授業の合間だからゆっくりしている時間がなく、大学構内を歩きながらの話で終わった。 彼は、大学を卒業してしばらくソフトハウスの仕事をしていたが、やがて実家に戻り、 晴耕雨読ではなく、晴耕雨プログラミングをやっていた面白い方です。 (橋向さんは、実は私のゼミ生ではないけど、なぜか私の近辺に出没し続けています。 そうした方々は橋向さんに限らず他にも多い。ゼミで区別しないのが私の信条だから)

心意気

こうして昔の卒業生が訪ねてくれることは、なにか明るい気持ちになれる。 一緒に研究教育をした昔の気分を思い出させてくれるのもあるが、 やはり大学の一時期のつきあいではなく、「人生をともに歩むつきあい」と感じてくれることが嬉しい。 それは、結婚だったり、子供の誕生だったり、あるいは訃報だったりと、人生の一里塚ごとに、 ともに喜びや悲しみを一緒に感じようという気持ちである。 こうした気持ちの基盤は、大学時代のわずか2年ほどのゼミをともに過ごしたことが縁で育成された関係なのだが、 卒業後のつきあいがさらにこの基盤をさらに強化してくれていることを実感する。

小樽商科大学のゼミ卒業生の多くとは、メーリングリスト(ML)で連絡がつながっており(北海学園大学の卒業生とは幅さんの掲示板で)、 毎年1、2回ほど定期あるいは不定期(東京や札幌で数人集まったら)に同窓会が開催されている。 今年も定例になった3月の同窓会に20名ほど集まることになっている。 年代は1期生から最終の17期生までと幅広く集まってくれる。 集まってくる卒業生たちを観察すると、その時のゼミ仲間がとても楽しく過ごせた学年ほど集まりが良い。 つまり、教員との関係もだけど、より重要なのはゼミの友達関係だということが分かる。

本学に来て、こうしたつきあいが続いている卒業生がわずか数名ほどしかいないのは、少しさびしい。 卒業してしまうと連絡が途切れてしまうのだ。 学生との関係作りが希薄なのだろうか、それとも、もともと期待されていないのか。 だが、卒業までは単位の多くを握っているゼミの大先生に対して「卒業すればただのおじさん」と呼んだ学生さんが、 20年経過しても杉本ゼミ同窓会の運営に寄与してくれていることはありがたいと感じています。 たぶん、単位ではなくて心意気だろうと感じています。