ゼミ誕生から30年

私が大学教員として最初に赴任したのは、北海道小樽市にある小樽商科大学という国立大学の中でも「商学部」だけの小さな大学であった。商学部管理科学科の演習を担当したのが1980年4月からだったので、今年はそれから30年。元学生たちは30周年の記念イベントとして、6月19日小樽商科大学の同窓会事務局のあるサンシャインビルで集まった。

1980年のゼミ生が1期生。それから18期生までが小樽在任中のゼミ生です。今回、1期生から18期生まで集まって互いに祝ったのです。事前の呼びかけもなされていましたが、常連の中でも日程の都合が付かなくて集まれなかった方々が多かった。

小樽商科大学は来年創立100周年を迎える伝統ある大学で、小林多喜二や伊藤整など輩出した大学です。今回の30周年記念イベントを主催してくれた幹事によれば、この創立100周年の記念号に30年間毎年同窓会を継続してきた杉本ゼミの活動を報告したいという考えがあるらしい。創立から100年の中の30年間は、約3分の1なわけで、確かにそれなりの時間の長さであろうか。それだけの時間の経過によって、卒業生たちは各界でトップとして、あるいは中堅として様々に活躍中で、実に頼もしく感じています。

私は小樽商科大学を捨てて他大学に出た教員だから、小樽商科大学の名の下に集まることに多少の違和感を感じない訳でもない。だが教員の気持ちとは無関係に、100人あまりの卒業生を残したことは事実であるし、そのうちの約6割の卒業生から私の還暦を祝ってもらえ、その多くは母校への強い気持ちを持っており、100周年記念事業募金を本気に考えている方々である。

母校をこんなに愛する卒業生たちを間近にして、彼らは大学にとって貴重な財産だなと感じました。もちろん、私自身にとっても家族のような方々です。

私がゼミ卒業生を数回送り出してから、ゼミの卒業生たちが卒業後も大学のことを振り返って理解してくれることを期待して、同窓会の立ち上げを持ちかけたのは1985年の秋のことでした。4期生までが卒業し、5期生と6期生が4年生、3年生として在学中という時期でした。今の同窓会の主要なメンバーの多くが、このときの設立集会に参加された方々だったということに、最近気がつきました。自分たちで同窓会を立ち上げたことで、同窓会が自分たちのものという実感がするのでしょうか。

それから25年。長い方は30年の長い付き合いが続いています。結婚、出産、入学、会社での昇進、海外赴任など、私が母校を離れても、そして北海道を離れて九州に出ても、1期生から18期生までの卒業生の方々との付き合いが続いています。多くの卒業生とはメーリングリストで繋がっているので、日常的な話題が聞こえてきます。このメーリングリストは1996年頃インターネットに詳しいOBの力で始まり、当時在校生と同窓生とのコミュニケーションで「私のお母さんと同じ年だわ」というような話が出て、17年も年が違えばそうなるかもしれないと感じました。18年間の縦の流れが、互いのコミュニケーションによって輪になって親しい仲間となれるなら、とても良いことです。私は還暦を既に祝ってもらった。今度は、あと9年で同窓生の方々が還暦を迎える番が来る。