ジブンのものさし

この数年、公務員志望の学生が卒論で地方活性化を取り上げることがある。地方公務員志望だから、こうしたことにきちんとした見識を持つことは大切だと思うが、私は「活性化」ということばには、どうにもなじめない。

なぜなじめないのか、長いこと考えてきた。その答えを得たのが、独創的なデザインで定評のある梅原真氏である。

この本の1章2「ジブン」という項目に次の文章があり、その独創性の原点が説明されている。

いつも僕自身を支えたのは、他人からどう言われようとも、ジブンはジブンであり、他人とは違う可能性があると信じられることであった。

そして

客観的なものさしに翻弄されず、自分がいる今、ここの絶対価値を見つけることこそがジブンのものさしを持つことになる。

そう、肝はこれなのだ。これさえ理解できるなら

絶対価値とは個性である。その絶対価値がなくなったのが今の日本だ。、、、この考えが僕の生き方の根本にある。

初めから東京標準のものさしで考え、地方がそれぞれの個性を失ってしまい、他力本願にすがる根性からは何も生まれない。イベント開催など、一時的な流行のモノマネでは活性化と称するものは根付くことはないだろう。梅原氏の指摘のように、価値観を大転換するしかない。

梅原氏の「僕の生き方の根本」という表現は、今の学生たちに是非とも伝えたいと思う。何故かというと、最近の学生の多くもジブンを失っているようだからだ。ゲームやSNSなどでいくらスマホを指でなで回しても生まれ出てくるものは乏しい。どうせなら、価値あるページを見てもらいたい。

カンブリア宮殿

「梅原真さん」innovators インタビュー

とうぜんだけど、私のゼミの学生で美術部や写真部のサークルに属しているものは美的感覚が多少は良い。Illustrator や PhotoShop などの道具も熱心に使おうとする。描きたいものがあれば工夫ができて面白い。そうした何かを自分の創意工夫で育てて、ジブンを確立してもらえればと思う。