朝日新聞の記事によれば、昨年までの特別警報発令自治体307市町村のうち295市町村からアンケートの回答を得て集計したところ、 避難指示対象地域住民177万3千人のうち、実際に避難所に逃げた割合が2.6%だったという。
住民が避難しなかった理由への回答では、
避難指示30万人に対して、避難した住民はわずか375人。0.1%なのだ。
避難指示30万人というニュースが全国放送され、全市的な大災害の印象を与えたのだが、 事実は久留米市内のほとんどは雨がなく被害もなかったから、避難指示に従う現実感がまったくない状況であった。
まるでイソップ物語のオオカミ少年である。これでは、警報・指示を誰もまじめに受け取りはしないであろう。 それなのに、住民の「危機感の欠如」とみなすような自治体の感覚では、本物の大災害に対処すべき時にどうなるのか心配である。
久留米市は、本当に30万人の避難者を受け入れることができたのだろうか?
30万人が移動するためのアクセスの提供がまず第一である。そして道路、駐車場など関連するインフラ。30万人の移動が何時間かかるのか? さらに、人が集まれば必要になるもの、水、食料、冷暖房施設、テレビ、椅子、備品など揃えておくべきものや管理体制。 大人も、子どもも、乳児や老人、病人まで、市のすべての住民が集まるとなると、それは大ごとになるなずのものだ。
こう考えると、現実感のない、机上の無責任な避難指示ではなかったか?
小学校の体育館で雑魚寝するくらいなら、自宅でニュースを見ながらくつろいで過ごしたいと考えるのが、普通の人の感覚ではなかろうか。 自宅のソファと体育館の雑魚寝とのあまりの大きなギャップを、どう埋めるのか?自治体には、その戦略が求められているように思う。
被害に遭えば生死を分けるかもしれないことに違いはないのだけど、 「自分は大丈夫だとする危機感の欠如」として認識されると、本当にそうだろうかと思ってしまいます。