やはり気になる「自己責任」

住む場所の危険を把握し、早めに避難を

朝日新聞 2019年11月12日2面 時々刻々

ご指摘の通りなのだけど

確かに、全国のすべての河川の堤防を災害が起こらないように改修するには、膨大な時間と費用が必要になるだろうとは誰にも想像がつくであろうし、危険ならば早めに避難をということも、当たり前な話ではある。

「あなたの命は、あなた自身で守りなさい」ということも、当然ではある。

しかし、こういう言い方は「自己責任論」とすり替わり易い。「そんな危険な場所に住んでいるから、被災するのだ」とか、「なぜ危険性を自分で調べなかったの?」とか、「もっと早く避難すれば良かったのに」とか、「それってあなたの自己責任だよ」とか、さまざまな言い方ができる。

果たしてすべてが自己責任なの?

こんなこと初めての経験

被災者の多くが「こんなことは初めて」という。また今年は気象庁の特別警報も多く出された。8月の九州北部豪雨、台風15号の千葉県の風水害と停電被害、台風19号の長野県、福島県、宮城県などの河川の決壊など、想定外の被害となった。

個人の責任を問う前に

日本は、基本的人権をうたう新憲法の下、戦後七十有余年過ごしてきた。毎年の台風、梅雨の長雨、地震、津波など多くを経験してきた。国も自治体もそれなりに努力してきただろう。その結果、数十年住民が無事に過ごしてこられたならば、住まいを安全な場所と感じても不思議は無いではないか。行政もこれまで被害が無ければ、自己満足できたに違いない。

しかし、次の事例のように、自己責任を問う前に、行政として、専門家として、やるべきことがもっとあるように感じられてならない。

自己責任を問えない事例

NHK Web 2019年7月10日

日経新聞 Web 2019年11月13日